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83話 五人のお茶会
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「まだわからない、でも何かあると思うんだ。だから王宮に戻ったんだ。あそこには訳のわからない昔からの財宝や古書など色々あるからね」
「そうですか……わたしもどうしてこうなったのかわかりません。
前回処刑された時
『貴方達を死んでも許さないわ。
地獄で呪ってやる!』
と心の中で叫んで首を切られたのです。その次の瞬間、6歳に巻き戻っていました。だから、痛みも憎悪も嫌悪感も全てそのままでした。だからお父様もクロード殿下も死ぬほど嫌いで顔も見たくなくて、今度は上手くやろうとしたけど駄目で、孤児院へ逃げました。なのにマリーナ様には目をつけられるしユイナ・ミレーヌ様にはよくわからない理由で殺されそうになるし、死にかけたらユシリス様の過去に行ってあの糞気持ち悪いニューベル公爵に会うし……戻るとわたしが知っている世界ではなくなっているし……」
「エリーゼ……わたしはお前が処刑された時の気持ちを初めて知った。すまなかった、本当にすまなかった。助ける事ができなくて、お前に寄り添う事が出来なくて……」
「……僕はもう謝罪はしない……」
クロード殿下はわたしを見て苦しそうにしていた。
「いくら言葉を重ねても、いくら時が戻っても君がされてきた事は今も君の心に残っているんだ。
もう僕は表面だけの謝罪は辞めるよ。そしてもう君を苦しめないように関わらないと誓う。
僕の所為で前回も今回も酷い目にあったんだ。今日はレンスとの顔合わせと手紙の話をきちんと聞いておきたかったんだ。僕は南の領地から用事がない限り出ない。だからエリーゼが僕の所為で被害に遭う事はないと思う」
そう言ってクロード殿下はわたしに深く頭を下げて静かに出て行った。
わたしは未だに彼を許せない。
でもだからと言ってこんな別れ方でいいの?
だけど止めることは出来なかった。
だって彼からの申し出はもう断っている。
彼からの謝罪もわたしは受け入れなかった。
全てわたしが望んだことだ。
「エリーゼ、泣いているのか?」
「え?わたしが泣いている?
どうして?泣く必要なんて何もないわ」
どうしてお兄様は変なことを言うのだろう。
やっと殿下から解放されたのに。
これからは新しい生活の中で好きに生きていけるのに……
わたしは作り笑顔でレンス殿下を見た。
「時間が出来たらユシリス様に会いに行ってもよろしいでしょうか?わたしが原因で悪化したのなら、わたしはもう一度ユシリス様と話したいです。約束をしていますから」
そう、お別れの時にユシリス様と約束をした。
『「わたし達にユシリスを預けてくださいますか?この子をこれから幸せにしていきます」
ユシリス様の祖父母様がわたしに聞いた。
「ユシリス様をお願いします」
わたしが頭を下げると
「お姉ちゃんもそばにずっと居てくれる?」
「ごめんね、お姉ちゃんもお父様に会いに行かないといけないの。ずっと素直になれなくて嫌ってばかりだったけど、もう一度やり直してみたいの」
「お姉ちゃんにもう会えない?」
「会えると思うわ、どんな形になるかどんな未来になっているか今はわからないけど、ずっと先で会えると思うの」』
そのことをレンス殿下に伝えたら、
「では、お父上ときちんとやり直してください、そして胸を張って母上に会ってください。
兄上のことは許せないかもしれません。
でも、あれは前回のことです。
今回の兄上はとても誠実で貴女だけをずっと今も愛しています。
だから諦める選択をしたのだと思います。
愛しているからこそ諦めるんだと思います。兄上を許して欲しいとは思いません。
でもその涙の意味がいつか分かる時が来るといいですね」
そしてレンス殿下とはまた何か分かれば話をしようと約束して別れた。
お父様は「エリーゼ、わたしもそろそろお前の顔色を伺うだけの情けない父親はやめようと思う。お前に胸を張れるように公爵としても父親としても頑張るからな」
わたしは素直に「はい」とは言えず、下を向いてコクンと頷いた。
「そうですか……わたしもどうしてこうなったのかわかりません。
前回処刑された時
『貴方達を死んでも許さないわ。
地獄で呪ってやる!』
と心の中で叫んで首を切られたのです。その次の瞬間、6歳に巻き戻っていました。だから、痛みも憎悪も嫌悪感も全てそのままでした。だからお父様もクロード殿下も死ぬほど嫌いで顔も見たくなくて、今度は上手くやろうとしたけど駄目で、孤児院へ逃げました。なのにマリーナ様には目をつけられるしユイナ・ミレーヌ様にはよくわからない理由で殺されそうになるし、死にかけたらユシリス様の過去に行ってあの糞気持ち悪いニューベル公爵に会うし……戻るとわたしが知っている世界ではなくなっているし……」
「エリーゼ……わたしはお前が処刑された時の気持ちを初めて知った。すまなかった、本当にすまなかった。助ける事ができなくて、お前に寄り添う事が出来なくて……」
「……僕はもう謝罪はしない……」
クロード殿下はわたしを見て苦しそうにしていた。
「いくら言葉を重ねても、いくら時が戻っても君がされてきた事は今も君の心に残っているんだ。
もう僕は表面だけの謝罪は辞めるよ。そしてもう君を苦しめないように関わらないと誓う。
僕の所為で前回も今回も酷い目にあったんだ。今日はレンスとの顔合わせと手紙の話をきちんと聞いておきたかったんだ。僕は南の領地から用事がない限り出ない。だからエリーゼが僕の所為で被害に遭う事はないと思う」
そう言ってクロード殿下はわたしに深く頭を下げて静かに出て行った。
わたしは未だに彼を許せない。
でもだからと言ってこんな別れ方でいいの?
だけど止めることは出来なかった。
だって彼からの申し出はもう断っている。
彼からの謝罪もわたしは受け入れなかった。
全てわたしが望んだことだ。
「エリーゼ、泣いているのか?」
「え?わたしが泣いている?
どうして?泣く必要なんて何もないわ」
どうしてお兄様は変なことを言うのだろう。
やっと殿下から解放されたのに。
これからは新しい生活の中で好きに生きていけるのに……
わたしは作り笑顔でレンス殿下を見た。
「時間が出来たらユシリス様に会いに行ってもよろしいでしょうか?わたしが原因で悪化したのなら、わたしはもう一度ユシリス様と話したいです。約束をしていますから」
そう、お別れの時にユシリス様と約束をした。
『「わたし達にユシリスを預けてくださいますか?この子をこれから幸せにしていきます」
ユシリス様の祖父母様がわたしに聞いた。
「ユシリス様をお願いします」
わたしが頭を下げると
「お姉ちゃんもそばにずっと居てくれる?」
「ごめんね、お姉ちゃんもお父様に会いに行かないといけないの。ずっと素直になれなくて嫌ってばかりだったけど、もう一度やり直してみたいの」
「お姉ちゃんにもう会えない?」
「会えると思うわ、どんな形になるかどんな未来になっているか今はわからないけど、ずっと先で会えると思うの」』
そのことをレンス殿下に伝えたら、
「では、お父上ときちんとやり直してください、そして胸を張って母上に会ってください。
兄上のことは許せないかもしれません。
でも、あれは前回のことです。
今回の兄上はとても誠実で貴女だけをずっと今も愛しています。
だから諦める選択をしたのだと思います。
愛しているからこそ諦めるんだと思います。兄上を許して欲しいとは思いません。
でもその涙の意味がいつか分かる時が来るといいですね」
そしてレンス殿下とはまた何か分かれば話をしようと約束して別れた。
お父様は「エリーゼ、わたしもそろそろお前の顔色を伺うだけの情けない父親はやめようと思う。お前に胸を張れるように公爵としても父親としても頑張るからな」
わたしは素直に「はい」とは言えず、下を向いてコクンと頷いた。
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