【完結】浮気などしません、愛しているのは貴方だけです

たろ

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2章  ある騎士の物語

第8話

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とうとう、恐れていた日が来てしまった。
俺は団長室に居るアンナに、「何があってもここから出るな」と言って鍵を閉めた。
影はアンナの前に姿を現して「貴女をお守りいたします」と言ってくれた。
これでアンナは安心だ。
次はあの女、セシリア様だ。
俺はいつものようにあの女の部屋の前で護衛をした。
前回もこうやって護衛をしていたら、セシリア様が部屋から出てきて
「護衛はしばらくここで待機していてね」と言って何人かの侍女を連れて出て行った。
侍女と言っても王女の侍女だ。ある程度体術も出来るので戦うことができる。
だから護衛がついていけない場所は侍女が数名ついて回るのは普通なのであの時も何も疑うことなどなかった。
まさかセシリア様が俺を態とに置いていってアンナにひどいことをしている姿を見て楽しんでいたなんて前回は思ってもいなかった。

公爵とハック、セシリア様が会っていたり連絡を取ったりしていないことは影が見ているし調べているのでわかっている。
だがどうやってセシリア様は拉致されたアンナの居場所が分かったのだろう。

ハックが何かしら連絡係りとして動いているのはわかっているんだが、細かいところがわからない。
今日はハックは休暇を取っている。調べてみると態々1ヶ月ほど前に休暇申請を出していた。

アンディは騎士として王宮の見回りの仕事に出ていた。怪しい者を探してくれていた。そして今俺と合流した。

俺はあの女の動きを探りつつ護衛をしているところだ。

しばらく立っていると部屋からセシリア様が現れた。
「しばらく侍女を連れて出かけるわ。貴方達は下がっていてね」

俺たちは何も言わず頭を下げた。

今からアンナを攫って連れ込んだ場所に行くんだな。

セシリア様は俺の顔を見てクスッと笑って去って行った。
この笑う顔を見て思い出した。
前回もあの小馬鹿にした笑いを俺に向けた。

今から何があるか気づきもしない俺を嘲笑ったんだ。

俺は今回も馬鹿な振りをした。
アンディは今のところ特に動きはありませんでした。と言った。

どうやってお互いが連絡を取っているんだ。
セシリアが部屋を出てから誰もいない部屋に俺ともう一人の相方、アンディと入った。

外から覗くいつもの部屋と変わらない。
上には影がいるが、影も気づかない。
手紙は全てチェックされている。
何を見落としているのか。

部屋を見て回る。
わからない。どんなに探しても見つけられない。影の目を盗んで連絡なんて取れるわけがない。わからない。何かないのか。
考えながら窓から見える景色を眺めていたらふと気づいた。

庭のベンチに人が座っている。
そこで指で合図が出来る。
「アンディ、外!」
アンディも俺と同じことを思ったみたいだ。
「俺、下に行ってみます」

アンディが窓の下のベンチに座ると指で合図を送る。こちらも目を動かすだけなら影はわからない。

「影さん、ここでセシリア様は外を見ますか?」

「ああ、最近はよく外を眺めていた、これだったのか。俺たちは上からしか見ないから窓からただ外を眺めていたと思っていたんだ」

「合図していたのに気づきましたか?」

「いや、全くわからない」

「やっと連絡の仕方がわかった。侍女達にはアンナが拉致されて捕まった場所まではついて行っても外で待っていろと言えば中には入ってこない。そしてセシリアは公爵と二人で男達がアンナを犯しているところを楽しんで見ていたんだ!」

俺はセシリアの部屋の椅子を持って机に叩きつけた。
あとでどんな罰を受けようと知ったことではない。

ふざけんな、ふざけんな。あいつら殺してやる!

俺は拉致されたであろう女騎士の無事を祈った。
もちろん仲間たちを信用している。
必ず守ってくれる。

俺たちは急いで団長の元へ向かった。
連絡の仕方がわかれば裏を取るのも簡単だ。今までのハックの休みと休憩を調べて日にちを調べる。そしてベンチに座っている姿を見ているやつはいるはずだ。
あとは怪しい動きをしていなかったか確認を取ればいい。
影のすごいところは守っている間全ての動きを書類に纏めている。それを照らし合わせれば証拠として採用される。

ハックは俺のアンナを犯すつもりでいた。いや前回は犯したんだ。
絶対に許さない。





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