【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ

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24話  クリス殿下編②

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アイシャの誕生日。

11歳になるアイシャ。

僕はどうやってお祝いを渡そうか悩んでいた。
学園が終わりアイシャを探し、追いかけたら王立図書館へ行った。

誕生日なのに自宅へすぐに帰らないのか……

やはり本当の娘ではないからお祝いもしてもらえないのか。

僕は心配になり後を追った。

どう声を掛けようか悩んで、ついいつものような口調になってしまった。

『おい、アイシャ!お前何こんなところにいるんだ?』

アイシャは僕の声を聞いても知らんぷりして本を読み続けた。

『ったく、何無視しているんだ。アイシャのくせに!』

アイシャの読んでいる本を取り上げると
『へえ、『遺伝における魔法学』ふうん』
僕はニヤッと笑った。

『返してくださいませんか?』
アイシャは僕の顔も見ずに言った。

『気にしてたんだ?お前が誰の子か?』

しまった!また意地悪な言い方をしてしまった。


アイシャは冷たい目で一瞬だけ僕をみた。

『その本の返却よろしくお願いします。では失礼いたします』
そう言うと僕の顔を見ないままその場を立ち去ろうとした。

『お、お前!誰に向かって言ってるんだ!』

僕はアイシャに謝らなければいけない。

そう思ったのについ頭にきて、分厚く硬い表紙の本をアイシャの顔に向かって投げつけてしまった。

本気じゃなかった。

顔に向けるつもりもなかった。

バコッ!

アイシャの頭に本が当たった。

アイシャはとても痛そうな顔をして、言葉も発さずにその場に蹲ってしまった。

『アイシャ様!』

護衛騎士のロウトはアイシャを遠くから見守っていたがアイシャが蹲ったのを見て慌てて駆け寄ってきた。

『頭から血が出ております。急いで医務室へ行きましょう』

アイシャはそう言われて生温かいものが顔に流れているのに気がついて触れてみると、手が真っ赤になっていた。

『ロウト、本は汚れてないかしら?』

『本ですか?』

ロウトがアイシャの近くに落ちている本を見て言った。
『大丈夫です』


『よかった……大切な本だから』

『お前は、馬鹿じゃないのか?こんな怪我しているのに本の心配なんかして!』

僕は本のことを気にするアイシャに呆れながら、またつい口の悪い言葉を吐いてしまった。

アイシャは傷にハンカチを押し当ててとりあえず傷を押さえながら立った。

『ロウト、行きましょう』

僕の言葉を無視して立ち去ろうとした。

『おい、待てよ!』

『まだわたしにご用ですか?怪我させたんだからもう満足でしょう?素敵な誕生日プレゼントをありがとうございました。一生忘れられない日になると思いますわ』

あー、失敗した。
本当は『誕生日おめでとう』と言ってプレゼントを渡すつもりだった。

なのにあんな酷い血が出ている。

女の子に怪我をさせてしまった。

ポケットに入っているアイシャのプレゼントを握りしめながら僕は恐怖で震えていた。

あの血は止まるのだろうか……
アイシャは大丈夫なのか……

僕はとんでもないことをしてしまったんだ。

部屋に帰りソファに座り僕は震えが止まらなかった。

アイシャの血だらけの顔が僕の頭から離れない。

どうしよう、どうすればいい?

そんな時、エレン夫人がたまたま来ていることを思い出した。

僕は使用人にエレン夫人を呼び出してもらった。




「どうしたのですか?」

エレン夫人が心配そうに聞いて来た。

僕は真っ青な顔をしていたのだろう。

さっきの出来事を少しずつ話した。

エレン夫人はとても優しい人だ。

僕のことを呆れて嫌いになるかもしれない。

優しい夫人にまで嫌われるのが怖かった。
だけど夫人は
「怖かったでしょう……忘れなさい。殿下は何もしていません、辛い事は忘れるのです」

「え?でも……父上と母上に報告して謝らなければいけないと思っているんです。ただ、まだ、こ、怖くて……」

僕が涙ぐんで膝の上に手を握りしめて震えていると、

「クリス殿下はまだ子どもです。罪はありません、お忘れなさい。アイシャ様の怪我は癒しの魔法で治療できます、心配はございません」

エレン夫人は僕の頭を撫でてそっと抱きしめてくれた。

そうか……
アイシャの怪我はすぐに治るんだ。
僕がした事はたいしたことではないんだ。
エレン夫人は僕のことを思ってくれている。

なんて優しい人なんだ……








◆ ◆ ◆

『今日も女の香水の匂いをさせて朝帰りする夫が愛していると言ってくる。』

気分転換で短編を書きました。

こちらは軽いお話です。

もしよければ読んでみてください、よろしくお願いします。

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