【完結】わたしはお飾りの妻らしい。  〜16歳で継母になりました〜

たろ

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継母、会えないの

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アイリス様が倒れて数日、まだ意識が戻らない。

リイナとミナは、その間アイリスを懸命に看護した。

アイリスは突然震え出し、無意識のうちにベッドの上で暴れる。

落ちては危ないので、押さえてなんとかその場を凌ぐ。
今度は突然体が冷えて、体温が下がっていく。

それを毛布や温かいお湯を入れた布袋を何個も作りアイリスを温める。

今度は高熱が出る。
それを今度は布袋に氷を入れて冷やす。

この症状は、加護の使い過ぎで起こるらしい。
ただ、こんなに酷い症状は初めてだと先生が仰った。

もしかしたら助からないかもしれないと先生に言われたが二人は絶対に助かると信じて交代で看病した。

「必ず助かるわ」
どんなにキツくてもアイリス様を見捨てない。

アイリス様は数千人の命を救った緑の使い手。

わたし達の救世主だった。

そしてわたし達の大事な家族。

セルマ様はアイリス様が心配で
「まま、ねんね?」
と度々会いにくる。

10歳のアナがずっとセルマ様の面倒を見てくれている。


そんな状態が二週間続いたある日、やっと旦那様が会いに来られた。

「旦那様、どうしてこんな状態なのにアイリス様に会いに来て下さらなかったのですか?」
ミナは悔しそうにしていた。

「すまない、ルイーズのワルシャ領が落ち着くまで離れられなかったんだ」

「自分の妻より恋人が大事なんですね?アイリス様が必死でみんなを守るために作った薬を黙って持ち出して、恋人の所から帰ってこない!旦那様、それならアイリス様と結婚なんかしなければよかったのではありませんか?」

ミナは感情を抑えることが出来なかった。

一人でも救いたいと自分の力以上に無理やり薬作りをする姿を見てきた。倒れて初めて触った体は軽くてやせ細っていた。

今も加護の力を使いすぎて意識が戻らない。

それなのに旦那様は言い訳すらしない。

しないのではなく出来ないのだとさらに腹が立っていた。

そんな時、セルマ様がトコトコ歩いて来て、旦那様を蹴飛ばした。

小さな足でコツンと。

旦那様はその小さな子どもの襟首を掴んで、持ち上げた。

「小僧がセルマか?俺には似ていないな?誰の子なんだ?タマラとは4年前に別れているんだ」

「でしたら計算的には合うのでは?セルマ様は3歳と4ヶ月でございます」
リイナは澄まして答えた。

「ままは、ぼくがまもりゅの、おじちゃん、あっちいけ!はなせぇ」

「これは一度タマラと会って話し合う必要があるな」

旦那様は溜息を吐いていた。

「今夜はアイリスの看病は俺がする、みんなは休んでくれ」

旦那様の言葉にミナは腹立たしく
「結構です、わたしが致します」
と言ったが、そこは旦那様であるロバートのほうが力関係は強いのでミナは引き下がるしかなかった。

セルマ様は、旦那様に

「ままは、ぼくの、らいすきな、ままなの!」
と言ってなんとか部屋から出ないように逃げ回っていたが、簡単に旦那様に取り押さえられて

「出て行け!」
と部屋から放り出された。

「まぁま!まぁま!」
セルマ様はドアをドンドン!と叩いたが、ドアが開くことはなく、セルマ様も諦めてアナと自分の部屋へ戻った。
わたしとミナは、久しぶりに帰って来たジャンに当たることしか出来ず、ジャンは妻と娘の怒りを一身に受けてひたすら項垂れて聞いていた。

旦那様はアイリス様の看病をすると言いながら放置して、机で仕事でもしているのではないか。

わたしは心配で、何度かドアを叩いた。

「アイリスが寝ているんだ、静かにしろ、大丈夫だ!」
一応返事はあるが部屋を開けてはくれなかった。

自室に戻るとジャンは、椅子に座りお酒を飲んでいた。

「リイナもゆっくりお酒でも飲まないか?」
呑気なジャンの声にイラッとしたわたし。

「よくもそんな事が言えますね、男達はわかっていないのよ、アイリス様は倒れるまでずっと薬を作り続けたの、旦那様が勝手に持って行った薬のことを責めもせず、足りなくなれば人が死んでしまう……と悲しそうにしながら必死で作ったの。
誰も知らないかもしれないけどこの国を救ったのはアイリス様よ、なのに倒れて今死にかかっているのよ、呑気にお酒なんか飲む気なんて起きないわ」 

「呑気になんかしていない、君たちが作ってくれた薬を持って国中を駆け回って助けたのは旦那様だ。もちろんアイリス様が作ってくれなければ助けることは出来なかった。でも薬を届けるのも大切な事だったんだ」




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