【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。

【21】

 オーグはフラフラしながら立ち上がった。

「まだもうしばらくここに居た方がいいよ」

「もう大丈夫だ。みんなにも心配かけてすまなかった」
 オーグはまわりにいる妖精に話しかけた。

 “しんぱいした”
 “死んじゃうかとおもった”
 “オーグよかった!”

 みんながオーグのそばに行っても力が奪われることはなくなった。わたしも神聖樹のそばにいるせいなのか体がどんどん楽になって力が湧いてきたのがわかる。

「イリアナ……お前……お腹に……」

 オーグはわたしのお腹を見てハッとした顔をした。

「分かるの?」

 ーー何も伝えていないのに。

「優しい魔力を持った別の小さな存在を感じる」

「うん、お腹の赤ちゃんがわたしに力を与えてくれるの……アイリーン様の魔法にも打ち勝てたのは赤ちゃんのおかげかも」
 わたしはまだ大きくなっていないお腹に優しく触れながらオーグの顔をみた。

「オーグ、わたしを助けてくれてありがとう。巻き戻ってわたしは前と同じ人生は歩まないように必死で頑張ってリンデの森へ来たの……だけど……わたしのそばにずっといてくれたミーナを放って逃げてきた、それが心残りなの」

「あの子はお前に尽くしてくれた。ミーナを助けたいのか?」

「うん……出来ればアイリーン様に魔法で操られている人たちを助けたい」

 ーーわたしは聖女じゃないしどこまでできるかわからないけど、このままリンデの森でオーグと暮らすためにもアイリーン様やマリーンさんをなんとかしないと安心して暮らせない。

「……俺は黒魔法には敵わない。だがあの二人をやっつける方法がないわけではない。神聖樹の幹に少しだけ穴を開けるとそこから液が流れ出る……その液を飲ませることができればいいんだが俺はあの二人のそばに寄ることができない……何度か接触しようとしたが黒魔術に弾かれてしまうんだ」

「オーグはアイリーン様の父親でしょう?やっつけるなんて言っていいの?」

「俺の知らぬ間に生まれた子供だ……向こうも俺のことなんて興味もないだろう。マリーンは今も俺に対して執着しているみたいだが愛情からではない。俺の魔法の力がただ必要だったんだ。世界一の魔法使いを生み出すために。
 俺が黒魔術に対しては弱く拒否してしまう体質だと知っていれば俺を子種として選ばなかったと思う」

「強いオーグにも欠点はあるのね?」

「当たり前だ。俺はお前の涙に弱い、それに君の母親……彼女のことも忘れてしまおうと何度も思っているのにいまだに未練たらしく思い出してしまう」

「お母様のこと?まだ愛しているの?」

「いや……幸せになって欲しいと願っている。ただ俺のことを忘れてしまっていることよりも、お前がどうして生まれたのか、お前の存在を嫌ってしまっていることが悔しい……何もできない……すまないイリアナ」  

「オーグがいてくれたからずっと一人でも耐えられた。お父さんだって知って嬉しかった。なのにオーグのことを忘れていてごめんね」

「俺は遠くから見守るしかできなかった。アイリーンのことも突然娘だと知って戸惑い、どうすればいいのか悩んだ……」

 ーーそうだよね。オーグにとってわたしもアイリーン様も娘だもの……



 オーグはまだ体調が悪くベッドに横になりしばらく眠ってもらった。

 あの城へもう一度帰る?
 やっと逃げ出したのに……

 わたしという邪魔な存在が居なくなればアイリーン様の洗脳は消えるかもしれない。

 アイリーン様がセデンと幸せに暮らすのならそれでいい。お腹の子供はわたしだけの子供として育てる。

 でも安心して暮らせるのかしら?

 ミーナは……

 “お城、しらべてあげる”
 “ミーナ、ミーナ”

 妖精たちがフッと消えた。




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