【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

文字の大きさ
50 / 156
二度目の人生にあなたは要らない。離縁しましょう。

【28】

しおりを挟む
「坊ちゃん、さっさと城へお帰り。そしてアイリーンを牢から出すんだ」

「アイリーンは罪を犯している、牢から出すことはできない」
 アイリーンを解放すればまた何をしでかすかわからない。

「ふうん、じゃあイリアナとお腹の赤ちゃんは死んでもいいんだ?」
 ニヤニヤ笑うマリーン。
 オーグは何か魔法をかけられているのだろう。どうにか抗おうとしているのがわかる。生汗をかき唇を噛み締めて必死で体に力を入れているのがわかる。

 イリアナはずっと周りを見ていた。
 何かが見えるのだろうか?………妖精?リデンの森には妖精がいるとオーグが話してくれたことがあった。魔法が使えない俺にはわからないがイリアナはこの森の妖精達に愛されていると言ってたな。

 この状況をなんとかするには……俺は、ポケットに手を入れてイリアナへのプレゼント用の小さな箱を気づかれないように握りしめた。

 ーーこれなら……

「イリアナ達は確かに大切だ……しかし、俺はこの国の王太子だ。この国の民の命が危険な目に遭うかもしれない。お前の言うことは聞けない……だが、マリーン、君はアイリーンを助け出したいほど彼女に愛情を持っているようには見えない」

「ふん、アイリーンはわたしの道具だ。道具をお前らから好き勝手にされているのは面白くない。それに、脅威になる錠なんてこの世にあっては困るんだよ。アイリーンを連れ戻し、しばらくはその錠を使って対策を練らないとあたしも落ち落ちとのんびりとしていられないからね」

 ーー娘が道具?

 オーグと無理やり関係を結び子を産んで、自分の道具としてしか見ていない?
 ーー吐き気がする。

 アイリーンに対して思わず同情の気持ちが湧いてしまった。愛されて生まれたわけではない彼女に。

 マリーンが夢中で話している間そっとイリアナは俺に視線を向けた。

 ーーイリアナ……待ってて……君達は俺の命に替えても守るから。

 “セデン、じゃま”
 “セデン、じっとしてて”

 ーーえっ?

 “オーグは動けない”
 “マリーンやっつける”
 “わたし達とイリアナで”

 ーー待って、俺の手の中にイリアナへのプレゼントがあるんだ。アイリーンの黒魔法を防ぐためのピアスを贈ろうと思って持ってきたんだ。

 “これ?”
 “イリアナにわたす?”

 ーー渡してもらえるのか?

 “いいよ”
 “セデン命かける?”

 ーーもちろんだ

 “だったらマリーンを怒らせて”
 “マリーンに殺されそうになって”
 “褒めちぎってもいいよ”
 “やさしくはなしかける?”


 ーーああ、いいだろう。国民の命は差し出せないが俺の命ならいくらでも差し出す。
 隙を作ればいいのか?

 褒めるか怒らせる?両極端な頼みだな?

 “うん”
 “ふふふっ”


「マリーン、君はオーグを愛しているからアイリーンを産んだんだろう?」

「はあ?あたしがオーグを?バカ言っちゃ困るね?オーグとの子供を産むのは最強の魔法使いを作り出すためだった。なのにアイリーンはあたしほどの魔力も持っていなかった。オーグの魔法の才能も引き継いでいないしね。
 オーグの娘のイリアナは最強の力を持って生まれたくせに力を使えずにいる。だったらさっさと殺すか洗脳してあたしのおもちゃにする予定だったのに、イリアナには親からの保護魔法が効いていて簡単に手が出せない。だからアイリーンを使って心を壊すことにしたんだ。心が弱れば保護魔法だって弱る、最後はイリアナもあたしのおもちゃにして粉々に壊す予定だったんだ」

 ーーふざけるな!

 握りしめた手が震える。殴りつけたい。でも今は……この女に俺が殺されるほど怒らせるんだ。いや、褒める?どちらが隙を作れる?

 マリーンが愉しそうに嗤う姿を見て俺は……





しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

処理中です...