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離縁してあげますわ!
【1】
「出て行って!」
わたしは部屋に落ちていた脱ぎ散らかした服を思いっきり掴んで窓の外へと放り投げた!
「なっ、何するんだ!」
「やめてっ!きゃっ!」
「ふざけんな!ここから出て行ってよ!」
怒りに震えて真っ赤な顔で怒鳴り上げるわたし。
ーー許せない!
ベッドの上にいる裸の二人を睨みつけ、思いっきり指差した。
「出て行って!ほら、早く!気持ち悪い!そこはわたしのベッドよ!」
「ふんっ!夫に愛されない可哀想な女のくせに!」
「裸のあなたに言われても、ねっ?ふふふっ、さぁ出ておいき!」
「…あっ……ふ、服、何か貸しなさいよ!」
女は我に返りわたしに服を要求した。
ニヤッと笑って窓の方へと視線を向けた。
「どうぞ窓の外に放り投げたので拾って着たらいかが?あっ、この部屋はわたしの部屋なのでシーツ一枚、タオル一枚すらお貸しできないのでもちろんそのままで、出てくださいな?あなたももちろん、ねっ?」
夫をジロッと見て、二人を部屋から追い出した。
「アリア……お、お前、鬼畜か?俺とミュエルをこんな格好で追い出すなんて」
夫が情けない顔をして文句を言い始めた。
いや、あなたがわたしのベッドに他の女を連れ込んだのでしょう?
他の女と性行為がしたいなら自分の部屋でしなさいよ!
二人は抱き合いながらお互いの大事なところを見られないようにわたしの部屋から出て行った。
その姿は何とも間抜けで……思わず苦笑いしてしまった。
窓の外は我が家の庭園になっている。庭園は外を行き交う人たちからも見える場所。
わたしは窓から外をそっと見つめた。
恥ずかしそうに服を拾った二人は急いで家に入ろうとした。しかし玄関の扉の鍵は固く閉じていた。
鍵を閉めたのは使用人のヨハン。
うん、いい仕事をしてくれたわ。
仕方なく人目を気にしながら二人は服を着ている。
夫とわたしは結婚して3年が経つ。
あるお屋敷の執事として働く夫。
わたしは夫のハンクスと恋愛結婚をした……つもりだった。
彼からの熱烈なプロポーズを受け、愛されていると思い彼と知り合って3ヶ月ほどですぐに入籍。
でも……本当は『結婚した』という肩書きが彼は欲しかっただけだった。
高位貴族の屋敷で働くハンクスはその屋敷で先祖代々執事として働いているらしく、ハンクスも幼い頃から執事教育を受けて育った。
ハンクスの家は子爵の爵位は持っているが大きな領地などは持たずに高位貴族の執事として従事するために受け賜った爵位らしい。
ただいくつかの建物を所有していて財産はそれなりにある。その財産を引き継ぐためにも、執事として認めてもらうためにも結婚する必要があった。
家庭を持ってこそ立派な成人として貴族として認められる。
ハンクスは、今思えば男爵家の次女であるわたしを狙い、うまく利用しただけだった。
貴族の誰か知らないのところに嫁がなければ、いずれは平民になるしかないわたしは結婚を焦っていたし、でももう半分諦めていた。
そうわたしは爵位もお金もたいしてない付加価値すらない男爵家の次女。
しかも見た目も最悪。
目が悪くて眼鏡を手放せない。地味で何の取り柄もない大人しい……ううん、暗い令嬢で誰もわたしのことなんか相手にしてくれない。
そんなわたしにハンクスが『愛してる結婚しよう』と言ってくれた。
馬鹿なわたしは簡単にその言葉を信用してしまった。
結婚して夫は執事として忙しく働き、わたしは結婚前から働いている仕事が忙しくてすれ違っていた。
寝室も最近は夜遅く帰る夫と朝早く出勤するわたし、あまりにもすれ違う時間が増えてゆっくり睡眠をとるために部屋を分けた。
その結果が……
わたしは部屋に落ちていた脱ぎ散らかした服を思いっきり掴んで窓の外へと放り投げた!
「なっ、何するんだ!」
「やめてっ!きゃっ!」
「ふざけんな!ここから出て行ってよ!」
怒りに震えて真っ赤な顔で怒鳴り上げるわたし。
ーー許せない!
ベッドの上にいる裸の二人を睨みつけ、思いっきり指差した。
「出て行って!ほら、早く!気持ち悪い!そこはわたしのベッドよ!」
「ふんっ!夫に愛されない可哀想な女のくせに!」
「裸のあなたに言われても、ねっ?ふふふっ、さぁ出ておいき!」
「…あっ……ふ、服、何か貸しなさいよ!」
女は我に返りわたしに服を要求した。
ニヤッと笑って窓の方へと視線を向けた。
「どうぞ窓の外に放り投げたので拾って着たらいかが?あっ、この部屋はわたしの部屋なのでシーツ一枚、タオル一枚すらお貸しできないのでもちろんそのままで、出てくださいな?あなたももちろん、ねっ?」
夫をジロッと見て、二人を部屋から追い出した。
「アリア……お、お前、鬼畜か?俺とミュエルをこんな格好で追い出すなんて」
夫が情けない顔をして文句を言い始めた。
いや、あなたがわたしのベッドに他の女を連れ込んだのでしょう?
他の女と性行為がしたいなら自分の部屋でしなさいよ!
二人は抱き合いながらお互いの大事なところを見られないようにわたしの部屋から出て行った。
その姿は何とも間抜けで……思わず苦笑いしてしまった。
窓の外は我が家の庭園になっている。庭園は外を行き交う人たちからも見える場所。
わたしは窓から外をそっと見つめた。
恥ずかしそうに服を拾った二人は急いで家に入ろうとした。しかし玄関の扉の鍵は固く閉じていた。
鍵を閉めたのは使用人のヨハン。
うん、いい仕事をしてくれたわ。
仕方なく人目を気にしながら二人は服を着ている。
夫とわたしは結婚して3年が経つ。
あるお屋敷の執事として働く夫。
わたしは夫のハンクスと恋愛結婚をした……つもりだった。
彼からの熱烈なプロポーズを受け、愛されていると思い彼と知り合って3ヶ月ほどですぐに入籍。
でも……本当は『結婚した』という肩書きが彼は欲しかっただけだった。
高位貴族の屋敷で働くハンクスはその屋敷で先祖代々執事として働いているらしく、ハンクスも幼い頃から執事教育を受けて育った。
ハンクスの家は子爵の爵位は持っているが大きな領地などは持たずに高位貴族の執事として従事するために受け賜った爵位らしい。
ただいくつかの建物を所有していて財産はそれなりにある。その財産を引き継ぐためにも、執事として認めてもらうためにも結婚する必要があった。
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ハンクスは、今思えば男爵家の次女であるわたしを狙い、うまく利用しただけだった。
貴族の誰か知らないのところに嫁がなければ、いずれは平民になるしかないわたしは結婚を焦っていたし、でももう半分諦めていた。
そうわたしは爵位もお金もたいしてない付加価値すらない男爵家の次女。
しかも見た目も最悪。
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そんなわたしにハンクスが『愛してる結婚しよう』と言ってくれた。
馬鹿なわたしは簡単にその言葉を信用してしまった。
結婚して夫は執事として忙しく働き、わたしは結婚前から働いている仕事が忙しくてすれ違っていた。
寝室も最近は夜遅く帰る夫と朝早く出勤するわたし、あまりにもすれ違う時間が増えてゆっくり睡眠をとるために部屋を分けた。
その結果が……
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