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嫌です。別れません
1話
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テーブルの上に乗った今日の夕飯。
そろそろ片付けるか。
捨てるのは勿体無いので上にお皿を重ねて明日の朝食用に取っておくことにする。
湯浴みを済ませ息子のリオの寝ているベッドの横にそっと入ると、毛布を被って寝つく。
カーテンの隙間から入る朝日で目が覚めた。
「かあちゃん、はらへった」
2歳のリオはわたしの顔を見て嬉しそうに言った。
まだ食べ盛りのリオは起きた瞬間「はらへった」が口癖。
「すぐに用意するわ」
リオを抱っこして台所へ向かった。
昨日の夕飯の残りを温めてリオの座るテーブルに置くと
「いただきます!」と嬉しそうにパクパク食べ始めた。
「かあちゃん、おいしい」
「いっぱい食べてね」
リオの笑顔についわたしまで笑顔になってしまう。
「リオ、かあちゃん、お仕事に行かないといけないの。隣のおばちゃんのお店でいつものように待っててくれる?」
「えーー、かあちゃんについていく!」
「ごめんね、今日は森の奥まで行くからリオは危ないの」
「…………わかった」
「待っててくれたら美味しい木の実をたくさん採ってくるわ」
「ほんと?」
「約束ね?」
隣のおばちゃんのところにリオを連れて行く。
おばちゃんはリオに「おいで!」と手招きをした。
「リオ!いらっしゃい!」
「おばちゃん!おねがいしますっ!」
元気なリオの声におばちゃんが抱きついて自分の頬でリオの頬をウリウリするのでリオが「やめて、もう!」とおばちゃんの顔を手で押して逃げようとしていた。
「リオは今日はお店番だからね?『いらっしゃいませ!』は言える?」
「うん!いらっちゃいませ!だよね?」
「そうそう、リオがお店番するとうちのパンの売れ行きが良くなるからね。リオはうちの福の神だ」
「ふくのかみ?ぼく、かみのふくなんて、きてないよ?」
「うーん、リオはお店にいるだけで、可愛いって意味だよ」
「ぼく、かわいくない!かっこいいんだもん!」
おばちゃんとリオのやり取りを楽しみに聞いているとおばちゃんがわたしのそばに来て小さな声で聞いてきた。
「マナ、ダンは昨日も帰ってこなかったのかい?」
「……うん」
「あの男は!」
おばちゃんが大きな声でダンのことに文句を言おうとした。
「おばちゃん、リオが聞いてるから」
慌てておばちゃんに「やめて」と小さな声で言った。
「ああ、ごめん。リオは2歳ながらにしっかり大人の話を理解してるから」
「リオはわたしが悲しむからダンのことを聞いてこようとしないの」
「はああ、不憫だね」
「おばちゃん、今日はいつもより奥まで行くつもりだから少し遅くなると思います。ご迷惑をおかけしますがリオのことよろしくお願いします」
「リオは任せて。それにマナが持って帰ってきてくれるお土産も楽しみだしね」
「うん!たくさん採ってくるわ」
「よろしく頼むよ」
わたしは薬師をしている。
森の奥に入れば貴重な薬草が採れる。ついでに木の実も毎回お土産に持って帰るので、パン屋のおばちゃんは喜んでくれる。
今日のお目当てはワイルドブルーベリー!
薬効高い実でありながら、フルーティーな味なので、多めに採れればリオにも食べさせたい。
あとモミジイチゴも欲しい!
あ、仕事用の薬草が先!しっかり探さなきゃ!
「ふぅ、遅くなっちゃった。リオ泣いてないかしら?」
今日はかなりの収穫だった。
なかなか手に入らない薬草も見つけられたし、リオの好きなワイルドブルーベリーもたくさん採れた。
パイやジャムもたくさん作れそう。
背中のカゴはかなり重たいけどリオの顔を思い浮かべれば全然平気。
やっと山を下りて家に近づくと大きな声がしてきた。
「ダン!ダンはどこ?」
綺麗なワンピースを着たわたしよりも少し年上の女性がわたしの肩を両手で掴んだ。
「きゃっ」
彼女の勢いで思わず転んでカゴの中身が散らばった。
「ダンをどこに隠したの?」
「夫は……」
「夫?違うわ、ダンはわたしの恋人よ!あなた、何を言ってるの?」
ああ、またか。
ダン…わたしの夫は、『女好き』でいつも遊んで回ってる。
今回は年上の女性に手を出したのね。
「ダンはわたしの夫です」
バチっ!!
えっ?どうしてわたしが叩かれるの?
それもかなり……痛いっ!
「ダンは結婚なんてしてない!毎日わたしの家に帰ってきていたのよ!それなのに最近帰ってこないの!返して!返してよ!」
「………ダンがどこにいるかわたしの方が聞きたい。いつか帰ってきたらあなたのところへ行くように言います。お名前は?」
「アイリス!ダンの恋人のアイリスよ!早く返して!」
転んだわたしを睨みつけて去って行くアイリスさん。
カゴから落ちた薬草を拾いながら大きなため息しか出てこない。
家に帰ったら頬を冷やさなきゃ。リオがわたしの顔を見たら心配するかな。
転んだと言い訳しないと。
そう思ってカゴを拾って立ち上がると、そこにリオが立っていた。
「おかあちゃん……」
リオが目に涙をためていた。
「おかあちゃん………とうちゃん、わるいの?」
「そんなことない、父ちゃんはお仕事に行ってるの、だからさっきの人は間違ってうちに来ただけなの」
「……とうちゃん、しごと?」
「うん、お仕事なの」
その日のリオは落ち込んであまり食欲がなかった。
半べそでわたしの服を掴んで離さない。
隣のおばちゃんはそんなリオに「かあちゃん守ってあげな。男だろう?」と言うと「ぼく、おとこだからまもるの」と言ってくれた。
そしてその日の夜遅くダンが久しぶりに帰ってきた。
そろそろ片付けるか。
捨てるのは勿体無いので上にお皿を重ねて明日の朝食用に取っておくことにする。
湯浴みを済ませ息子のリオの寝ているベッドの横にそっと入ると、毛布を被って寝つく。
カーテンの隙間から入る朝日で目が覚めた。
「かあちゃん、はらへった」
2歳のリオはわたしの顔を見て嬉しそうに言った。
まだ食べ盛りのリオは起きた瞬間「はらへった」が口癖。
「すぐに用意するわ」
リオを抱っこして台所へ向かった。
昨日の夕飯の残りを温めてリオの座るテーブルに置くと
「いただきます!」と嬉しそうにパクパク食べ始めた。
「かあちゃん、おいしい」
「いっぱい食べてね」
リオの笑顔についわたしまで笑顔になってしまう。
「リオ、かあちゃん、お仕事に行かないといけないの。隣のおばちゃんのお店でいつものように待っててくれる?」
「えーー、かあちゃんについていく!」
「ごめんね、今日は森の奥まで行くからリオは危ないの」
「…………わかった」
「待っててくれたら美味しい木の実をたくさん採ってくるわ」
「ほんと?」
「約束ね?」
隣のおばちゃんのところにリオを連れて行く。
おばちゃんはリオに「おいで!」と手招きをした。
「リオ!いらっしゃい!」
「おばちゃん!おねがいしますっ!」
元気なリオの声におばちゃんが抱きついて自分の頬でリオの頬をウリウリするのでリオが「やめて、もう!」とおばちゃんの顔を手で押して逃げようとしていた。
「リオは今日はお店番だからね?『いらっしゃいませ!』は言える?」
「うん!いらっちゃいませ!だよね?」
「そうそう、リオがお店番するとうちのパンの売れ行きが良くなるからね。リオはうちの福の神だ」
「ふくのかみ?ぼく、かみのふくなんて、きてないよ?」
「うーん、リオはお店にいるだけで、可愛いって意味だよ」
「ぼく、かわいくない!かっこいいんだもん!」
おばちゃんとリオのやり取りを楽しみに聞いているとおばちゃんがわたしのそばに来て小さな声で聞いてきた。
「マナ、ダンは昨日も帰ってこなかったのかい?」
「……うん」
「あの男は!」
おばちゃんが大きな声でダンのことに文句を言おうとした。
「おばちゃん、リオが聞いてるから」
慌てておばちゃんに「やめて」と小さな声で言った。
「ああ、ごめん。リオは2歳ながらにしっかり大人の話を理解してるから」
「リオはわたしが悲しむからダンのことを聞いてこようとしないの」
「はああ、不憫だね」
「おばちゃん、今日はいつもより奥まで行くつもりだから少し遅くなると思います。ご迷惑をおかけしますがリオのことよろしくお願いします」
「リオは任せて。それにマナが持って帰ってきてくれるお土産も楽しみだしね」
「うん!たくさん採ってくるわ」
「よろしく頼むよ」
わたしは薬師をしている。
森の奥に入れば貴重な薬草が採れる。ついでに木の実も毎回お土産に持って帰るので、パン屋のおばちゃんは喜んでくれる。
今日のお目当てはワイルドブルーベリー!
薬効高い実でありながら、フルーティーな味なので、多めに採れればリオにも食べさせたい。
あとモミジイチゴも欲しい!
あ、仕事用の薬草が先!しっかり探さなきゃ!
「ふぅ、遅くなっちゃった。リオ泣いてないかしら?」
今日はかなりの収穫だった。
なかなか手に入らない薬草も見つけられたし、リオの好きなワイルドブルーベリーもたくさん採れた。
パイやジャムもたくさん作れそう。
背中のカゴはかなり重たいけどリオの顔を思い浮かべれば全然平気。
やっと山を下りて家に近づくと大きな声がしてきた。
「ダン!ダンはどこ?」
綺麗なワンピースを着たわたしよりも少し年上の女性がわたしの肩を両手で掴んだ。
「きゃっ」
彼女の勢いで思わず転んでカゴの中身が散らばった。
「ダンをどこに隠したの?」
「夫は……」
「夫?違うわ、ダンはわたしの恋人よ!あなた、何を言ってるの?」
ああ、またか。
ダン…わたしの夫は、『女好き』でいつも遊んで回ってる。
今回は年上の女性に手を出したのね。
「ダンはわたしの夫です」
バチっ!!
えっ?どうしてわたしが叩かれるの?
それもかなり……痛いっ!
「ダンは結婚なんてしてない!毎日わたしの家に帰ってきていたのよ!それなのに最近帰ってこないの!返して!返してよ!」
「………ダンがどこにいるかわたしの方が聞きたい。いつか帰ってきたらあなたのところへ行くように言います。お名前は?」
「アイリス!ダンの恋人のアイリスよ!早く返して!」
転んだわたしを睨みつけて去って行くアイリスさん。
カゴから落ちた薬草を拾いながら大きなため息しか出てこない。
家に帰ったら頬を冷やさなきゃ。リオがわたしの顔を見たら心配するかな。
転んだと言い訳しないと。
そう思ってカゴを拾って立ち上がると、そこにリオが立っていた。
「おかあちゃん……」
リオが目に涙をためていた。
「おかあちゃん………とうちゃん、わるいの?」
「そんなことない、父ちゃんはお仕事に行ってるの、だからさっきの人は間違ってうちに来ただけなの」
「……とうちゃん、しごと?」
「うん、お仕事なの」
その日のリオは落ち込んであまり食欲がなかった。
半べそでわたしの服を掴んで離さない。
隣のおばちゃんはそんなリオに「かあちゃん守ってあげな。男だろう?」と言うと「ぼく、おとこだからまもるの」と言ってくれた。
そしてその日の夜遅くダンが久しぶりに帰ってきた。
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