102 / 156
嫌です。別れません
9話
しおりを挟む
「やっと起きたか」
「あなたは……ダン?」
薄暗い部屋だけど、ダンの面影がある。
「ダン?はっ?あいつと俺を一緒にするな!」
「じゃああなたは?」
どこから見てもダンに似てる。だけど、ここ数年会ってないから違うの?
「ダンはもういないよ。俺とダンは従兄弟なんだ。似てるだろう?」
そう言ってニヤッと笑うこの男を見てダンではないんだと確信した。
ダンはもっとカッコよく笑うもの。こんないやらしい笑いはしないわ。
「あんたを捕えて、神殿に連れ戻すように依頼されていたのに、ダンの奴はあんたを隠してしまった」
「わたしを連れ戻す?」
「ああ、あんた、聖女だろう?あんたが消えて神殿はかなり困っているらしい。金が入らなくなったからな」
わたしを狙ってたの?
じゃあ、リオは?
「息子は?どこに?」
「リオか?あの子はな、ダンの義姉の息子だ。それも相手は高貴なお方の息子だからあんな寂れた村に隠していたんだろうな」
「あそこはダンの家、実家ではないの?」
だってダンはそう言ってたし、村の人たちもダンの子供の頃のことを知ってるわ。
「あそこはダンの従者だった男の実家だ。幼い頃、ダンを連れて何度かあそこにお忍びで遊びにきていたんだ。まさかあんなところにあんたもリオもいるとは思わなくて探すのに時間がかかったんだ。やっと見つけたと思ったらあんたたち二人はさっさと隠れて捕まえることはできなかった」
迷いの森に隠れ住んでいたから?捕まらなかったの?でも、今回リオの学校のために村に戻ってきたから?
「もう諦めて王都に戻ってたんだけど、ちょっと用事があってこの辺に来たらあんた達を見つけたんだ。
しっかり魔術で目眩しされていたからなかなかわからなかったけど、ほら、これ」
そう言って見せられたのはわたしがダンに渡した魔石だった。
「どうしてダンに渡した魔石を持っているの?」
「だ・か・らダンはもう居ないって言っただろう?あいつを殺して俺がもらったんだ」
「嘘!ダンは死なないわ!」
「死んだから俺が持ってるんだろう?」
「あなたのこと、絶対許さない!」
手は縛られたまま。だけどなんとかここから逃げなきゃ。
ダンとリオを探しにいかないと!
わたしは寝転がされていた体をなんとか起きあがろうとジタバタしていた。
「聖女も間抜けだな。こんなとコロで寝転がって!は?でもよく見たらなかなかいい女だな?」
舌を出してベロっと舐め回すようにわたしを見た。
ゾワゾワっと鳥肌が。
ダンと顔が似ていても全く違う。
気持ち悪い!!!
「ダンには可愛がってもらったのか?あいつはモテるだろう?俺と違って侯爵家の息子だからな。従兄弟なのに俺は男爵家の息子だ。ほんとムカつくよな、女だってあいつにばかり群がってくる」
「ダンはかっこよくて優しくて顔も良くてモテるもの」
「へぇ、あんたマジで惚れたんだ?だけどダンはリオの母親に惚れてたんだ。だからリオを必死で守った、あんたは利用されただけだ」
「ダンが好きだった女性……はリオの母親だったの?」
ショック?ううん、だって、ダンはいつもわたしに『リオのことすまない。だけど頼む、お前しか頼めない』と言ってくれた。
リオが『かあちゃん』って言ってくれるのがとても嬉しかった。
血は繋がっていなくてもわたしとリオとダンは家族だった。
「あなたのこと絶対許さない!」
「うわあああああああ」
突然男が床に倒れ込んで苦しみ始めた。
わたしが唯一闘える魔法は、『返報』。
癒してあげた人達の病をわたしは少しずつ魔力の中に貯めておいた。
それをジタバタしながらこの男の足首に近づき、縛られた手で必死で触った。
そしていろんな種類の病気を彼に移した。
「ぐえっ、がほっ、な、なんだ!気分が…悪い、か、体が……痛い、さ、寒…い、頭…が痛い、…………痒い、息…が…苦…し……い」
「あなたは……ダン?」
薄暗い部屋だけど、ダンの面影がある。
「ダン?はっ?あいつと俺を一緒にするな!」
「じゃああなたは?」
どこから見てもダンに似てる。だけど、ここ数年会ってないから違うの?
「ダンはもういないよ。俺とダンは従兄弟なんだ。似てるだろう?」
そう言ってニヤッと笑うこの男を見てダンではないんだと確信した。
ダンはもっとカッコよく笑うもの。こんないやらしい笑いはしないわ。
「あんたを捕えて、神殿に連れ戻すように依頼されていたのに、ダンの奴はあんたを隠してしまった」
「わたしを連れ戻す?」
「ああ、あんた、聖女だろう?あんたが消えて神殿はかなり困っているらしい。金が入らなくなったからな」
わたしを狙ってたの?
じゃあ、リオは?
「息子は?どこに?」
「リオか?あの子はな、ダンの義姉の息子だ。それも相手は高貴なお方の息子だからあんな寂れた村に隠していたんだろうな」
「あそこはダンの家、実家ではないの?」
だってダンはそう言ってたし、村の人たちもダンの子供の頃のことを知ってるわ。
「あそこはダンの従者だった男の実家だ。幼い頃、ダンを連れて何度かあそこにお忍びで遊びにきていたんだ。まさかあんなところにあんたもリオもいるとは思わなくて探すのに時間がかかったんだ。やっと見つけたと思ったらあんたたち二人はさっさと隠れて捕まえることはできなかった」
迷いの森に隠れ住んでいたから?捕まらなかったの?でも、今回リオの学校のために村に戻ってきたから?
「もう諦めて王都に戻ってたんだけど、ちょっと用事があってこの辺に来たらあんた達を見つけたんだ。
しっかり魔術で目眩しされていたからなかなかわからなかったけど、ほら、これ」
そう言って見せられたのはわたしがダンに渡した魔石だった。
「どうしてダンに渡した魔石を持っているの?」
「だ・か・らダンはもう居ないって言っただろう?あいつを殺して俺がもらったんだ」
「嘘!ダンは死なないわ!」
「死んだから俺が持ってるんだろう?」
「あなたのこと、絶対許さない!」
手は縛られたまま。だけどなんとかここから逃げなきゃ。
ダンとリオを探しにいかないと!
わたしは寝転がされていた体をなんとか起きあがろうとジタバタしていた。
「聖女も間抜けだな。こんなとコロで寝転がって!は?でもよく見たらなかなかいい女だな?」
舌を出してベロっと舐め回すようにわたしを見た。
ゾワゾワっと鳥肌が。
ダンと顔が似ていても全く違う。
気持ち悪い!!!
「ダンには可愛がってもらったのか?あいつはモテるだろう?俺と違って侯爵家の息子だからな。従兄弟なのに俺は男爵家の息子だ。ほんとムカつくよな、女だってあいつにばかり群がってくる」
「ダンはかっこよくて優しくて顔も良くてモテるもの」
「へぇ、あんたマジで惚れたんだ?だけどダンはリオの母親に惚れてたんだ。だからリオを必死で守った、あんたは利用されただけだ」
「ダンが好きだった女性……はリオの母親だったの?」
ショック?ううん、だって、ダンはいつもわたしに『リオのことすまない。だけど頼む、お前しか頼めない』と言ってくれた。
リオが『かあちゃん』って言ってくれるのがとても嬉しかった。
血は繋がっていなくてもわたしとリオとダンは家族だった。
「あなたのこと絶対許さない!」
「うわあああああああ」
突然男が床に倒れ込んで苦しみ始めた。
わたしが唯一闘える魔法は、『返報』。
癒してあげた人達の病をわたしは少しずつ魔力の中に貯めておいた。
それをジタバタしながらこの男の足首に近づき、縛られた手で必死で触った。
そしていろんな種類の病気を彼に移した。
「ぐえっ、がほっ、な、なんだ!気分が…悪い、か、体が……痛い、さ、寒…い、頭…が痛い、…………痒い、息…が…苦…し……い」
897
あなたにおすすめの小説
旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?
白雲八鈴
恋愛
我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。
離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?
あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。
私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します
佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。
セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。
婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる