【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

文字の大きさ
117 / 156
嫌です。別れません

24話

しおりを挟む
 リオが帰ってくるまで、ソファに座っていたが、やはり体が怠くまたベッドに横たわることにした。

 数日眠っていただけなのに、体調が良くなった今、リオに会うのは久しぶりのような気分だった。

 最近キツくてリオのこともしっかりみてあげられなかったもの。
 ダンのことでショックを受けて国を出て、新しい暮らしに慣れようとしていたばかりだったのに。

 リオがまさか余命僅かだったなんて……気がついてよかった。わたしに癒しの力がなければリオの寿命の短さに気が付かなかった。

 神よ、リオを見守ってくださりありがとうございます。

 わたしにとってリオはかけがえのない息子で失うことなど考えられない。1歳の時からずっとそばにいてリオの成長だけを楽しみに過ごしてきた。

 リオが笑えばわたしも幸せな気持ちになれた。

 ダンへの執着は愛だったと思う。だけどそれは家族のいなかったわたしにとって、家族としての愛だったのかもしれない。

 あの神殿からわたしを救い出してくれてお嫁さんにしてくれて、リオという息子をくれて、わたしに家族をくれた。

 ダンとの生活は温かい家庭とはいえなかったけど、リオと魔女さんと三人で暮らす日々は家族として暮らしていた気がする。

 ダンの浮気はとても辛かったし、帰ってこないダンを待つのも、妻として相手にしてもらえなかった日々も今は懐かしい思い出になってきた……気がする。うん、そう思い込もう!


 早くリオに会いたい。

 わたしはリオを待っていたはずなのに疲れてウトウトとまた眠りにつき始めた。



「母さん」

 知らない人の声が聞こえる。

 誰?

 まだ意識がはっきりとしない中、耳のそばでわたしを呼ぶ。

『母さん』?
 いつものリオは子供らしい声で『かあちゃん』と呼ぶのに。

 わたしの手をギュッと握り締め、わたしの頬に温かい雫が落ちてきた。

「……………」

 少しずつ目を開けると……

「………………だ…れ?」

 知らない男の人がわたしの顔を覗き込んで目を真っ赤にして泣いていた。

 知らないのに、不思議に怖いと感じない。

「母さん……いや、かあちゃん……目を覚ましたんだね……よかった……」

「かあちゃん?………」

 まさか………リオ?

 でもリオはまだ8歳のはず。

 今目の前にいる男の人はどう見ても20歳を過ぎている立派な大人……だわ。

「母さん、魔女さんからなにも聞いていないの?」

「魔女さんから?魔女さんはリオが帰ってくるとしか言わなくて。なにを聞いても笑って教えてくれなかったわ。魔女さんは気分屋さんだから」

「ははっ、魔女さんらしい」

「あなたは、リオなの?」

「うん、母さん……いや、マナはずっと眠っていたんだ。あなただけ、時を止めていたんだ。死なないようにね。僕はもう小さなリオじゃない。マナ、あなたと歳は変わらなくなっているんだ。僕はもう23歳だよ。あなたはまだ25歳のままだけどね?」

「……リオが23歳?わたし……15年も眠り続けていたの?魔女さんは変わらないのは…魔女さんだから?」

「あら?あたしは老けたよ。あんたに寿命を分けてやったからね……ヒャヒャヒャッ」

 魔女さんが笑いながら言った。

「マナのその顔がみたかったんだ!15年の苦労がやっと報われたよ」

 魔女さんはわたしの驚く顔を見るのが楽しみだったとまた笑った。

 リオはそんな魔女さんを呆れながらも一緒に笑った。




◆ ◆ ◆

この話もあと少し。

読んでいただきありがとうございます。



しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした

凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】 いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。 婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。 貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。 例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。 私は貴方が生きてさえいれば それで良いと思っていたのです──。 【早速のホトラン入りありがとうございます!】 ※作者の脳内異世界のお話です。 ※小説家になろうにも同時掲載しています。 ※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)

もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~

桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜 ★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました! 10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。 現在コミカライズも進行中です。 「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」 コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。 しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。 愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。 だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。 どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。 もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。 ※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!) 独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。 ※誤字脱字報告もありがとうございます! こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。

【完結】私が貴方の元を去ったわけ

なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」  国の英雄であるレイクス。  彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。  離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。  妻であった彼女が突然去っていった理由を……   レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。      ◇◇◇  プロローグ、エピローグを入れて全13話  完結まで執筆済みです。    久しぶりのショートショート。  懺悔をテーマに書いた作品です。  もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します

佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。 セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。 婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

処理中です...