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幼馴染が大切ならわたしとは離縁しましょう。
忘れてしまっていた。
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『あなたはだれ?』
その言葉に体が凍りついた。
「ミ……ミズナ……」
俺はもう一度名前を呼んだ。
「……うーん、ごめんなさい。もしかしたらわたしの記憶がなくなった頃会ったのかな?」
ーー記憶がなくなった?どう言うこと?
周りの子達が、話し出した。
「ミズナはちょっと前まで田舎に行ってたんだけど、なぁ?」
「うん、突然帰ってきて田舎でのことはなにも覚えてないんだ」
「あそこで辛い思いをしたんだと思う。お前、何かしたのか?」
「えっ?俺?」
突然そんなことを言われて慌てて頭を横に振った。
「ミズナが突然いなくなって、探しにきたんだ」
言い訳のように慌ててそう言うとミズナが俺の顔をじっと見つめて……
「ぐふっ」
突然吐き出した。
家の中から「ミズナ!!」と急いで駆けつけたのはミズナのお母さんだった。
「ミズナ!家に入りましょう」
「ダレン、ごめんなさい。ここにはもう来ないでちょうだい」
おばちゃんの冷たい声が耳に残る。
いつも「ダレン!」と優しく俺を呼んでくれたおばちゃんがもう来るなと言った。
だけどその顔はとても辛そうにしていた気がする。だから、コクンと頷いて家に帰った。
誰もいない馬車の中で家に帰るまでずっと泣いていた。
ロウドが降りる時「どうなさったんですか?」と訊いてきたけど、「なんでもない」と返事をした。
だってよくわからない。
ばあちゃん達はミズナなんて知らないって言うし、ミズナは記憶をなくしたって言うし。
父さんに訊こうと思ったら父さんは仕事でいないし。
家に帰って部屋から出ないで泣き続けていたら、母さんが部屋に入ってきた。
「ダレン、ミズナに会いに行ってしまったのね?」
優しく頭を撫でながら母さんがすまなそうに言った。
「ミズナは俺のこと知らないって………ばあちゃん達はミズナなんて知らないって!」
耐えられなくなって大きな声で泣き出した。
「う、うわぁーーん!!」
「母さんも父さんもうまく説明できないの。ただ、ミズナはあんたを助けたいと自分の記憶を魔女に渡したんだよ」
「……………??」
俺の頭では理解不能だった。
「…………?ま、ま、じょ?」
「あんたが死にかけて、ミズナはあんたを助けるためにあんたに関わる記憶を魔女に渡してしまったんだって。記憶をなくす前に手紙を書いていてそれを読んで私達も知ったの」
「で、でも、ばあちゃん達村の人もミズナの記憶がないのは?」
「魔女の悪戯じゃないかと思うの」
「ま、魔女の悪戯?」
「じゃあ、もうミズナに会えないの?おばちゃんがもう家には来ないでって言われた」
「ミズナは、あんたのことを思い出そうとすると体調が悪くなるの。あんたが無理やり会いにいって、自分のことを思い出して欲しいと言ったら、体調が悪くなるように魔女が魔法をかけたの。
迷いの森の魔女は気分屋で人を助けることもするけど嫌がらせをするのも大好きなの。ミズナは気に入られてあんたを助けることができたけど……代わりにあんたのことを思い出さないように呪いをかけたの」
「ミズナ………はもう俺のことを思い出さないの?ずっと、もう会えない?」
「………今はどうしようもないの……でも、それでも、ミズナはダレンの命を助けたかったのよ」
俺は……泣くのをやめた。
ミズナが助けてくれた命。
泣いたらミズナに申し訳ない。
ミズナは大好きな友達で大好きな女の子。大人になったらお嫁さんにもらうと約束していた。
なのに……くそっ。
俺はもう一度ばあちゃんのところへ行くことにした。
親には、もう少しの間、向こうで療養したい、ミズナに会いに行きたくなってしまうからと言い訳をして。
絶対に魔女に会いに行ってやる。
それが、幼馴染、アデリーナとの出会いになるとも知らずに。
その言葉に体が凍りついた。
「ミ……ミズナ……」
俺はもう一度名前を呼んだ。
「……うーん、ごめんなさい。もしかしたらわたしの記憶がなくなった頃会ったのかな?」
ーー記憶がなくなった?どう言うこと?
周りの子達が、話し出した。
「ミズナはちょっと前まで田舎に行ってたんだけど、なぁ?」
「うん、突然帰ってきて田舎でのことはなにも覚えてないんだ」
「あそこで辛い思いをしたんだと思う。お前、何かしたのか?」
「えっ?俺?」
突然そんなことを言われて慌てて頭を横に振った。
「ミズナが突然いなくなって、探しにきたんだ」
言い訳のように慌ててそう言うとミズナが俺の顔をじっと見つめて……
「ぐふっ」
突然吐き出した。
家の中から「ミズナ!!」と急いで駆けつけたのはミズナのお母さんだった。
「ミズナ!家に入りましょう」
「ダレン、ごめんなさい。ここにはもう来ないでちょうだい」
おばちゃんの冷たい声が耳に残る。
いつも「ダレン!」と優しく俺を呼んでくれたおばちゃんがもう来るなと言った。
だけどその顔はとても辛そうにしていた気がする。だから、コクンと頷いて家に帰った。
誰もいない馬車の中で家に帰るまでずっと泣いていた。
ロウドが降りる時「どうなさったんですか?」と訊いてきたけど、「なんでもない」と返事をした。
だってよくわからない。
ばあちゃん達はミズナなんて知らないって言うし、ミズナは記憶をなくしたって言うし。
父さんに訊こうと思ったら父さんは仕事でいないし。
家に帰って部屋から出ないで泣き続けていたら、母さんが部屋に入ってきた。
「ダレン、ミズナに会いに行ってしまったのね?」
優しく頭を撫でながら母さんがすまなそうに言った。
「ミズナは俺のこと知らないって………ばあちゃん達はミズナなんて知らないって!」
耐えられなくなって大きな声で泣き出した。
「う、うわぁーーん!!」
「母さんも父さんもうまく説明できないの。ただ、ミズナはあんたを助けたいと自分の記憶を魔女に渡したんだよ」
「……………??」
俺の頭では理解不能だった。
「…………?ま、ま、じょ?」
「あんたが死にかけて、ミズナはあんたを助けるためにあんたに関わる記憶を魔女に渡してしまったんだって。記憶をなくす前に手紙を書いていてそれを読んで私達も知ったの」
「で、でも、ばあちゃん達村の人もミズナの記憶がないのは?」
「魔女の悪戯じゃないかと思うの」
「ま、魔女の悪戯?」
「じゃあ、もうミズナに会えないの?おばちゃんがもう家には来ないでって言われた」
「ミズナは、あんたのことを思い出そうとすると体調が悪くなるの。あんたが無理やり会いにいって、自分のことを思い出して欲しいと言ったら、体調が悪くなるように魔女が魔法をかけたの。
迷いの森の魔女は気分屋で人を助けることもするけど嫌がらせをするのも大好きなの。ミズナは気に入られてあんたを助けることができたけど……代わりにあんたのことを思い出さないように呪いをかけたの」
「ミズナ………はもう俺のことを思い出さないの?ずっと、もう会えない?」
「………今はどうしようもないの……でも、それでも、ミズナはダレンの命を助けたかったのよ」
俺は……泣くのをやめた。
ミズナが助けてくれた命。
泣いたらミズナに申し訳ない。
ミズナは大好きな友達で大好きな女の子。大人になったらお嫁さんにもらうと約束していた。
なのに……くそっ。
俺はもう一度ばあちゃんのところへ行くことにした。
親には、もう少しの間、向こうで療養したい、ミズナに会いに行きたくなってしまうからと言い訳をして。
絶対に魔女に会いに行ってやる。
それが、幼馴染、アデリーナとの出会いになるとも知らずに。
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