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幼馴染が大切ならわたしとは離縁しましょう。
迷いの森の魔女に会いに行く。
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ばあちゃん達は俺がまた戻ってきて喜んでくれた。
だけど、迷いの森へ行こうとしたら止められた。
って言うか場所もわからない。
「あそこは入って仕舞えば帰ってこれない。それに簡単に森へは入れない。
魔女が人間を拒むんだ」
だったらどうやってミズナは魔女に会ったんだろう?
俺が知っているのはあの薬草の場所だけ。
考えてみたら俺は体調が悪くてあんまり家から出なかった。たまに出ても近所だけ。
あの時はたまたまミズナの後を追ったんだった。
みんなの目を盗んではミズナが薬草を積んだ場所へと行った。
迷いの森の魔女のことは誰も話してくれない。
そんな人は本当はここには居ないのか、それともみんな会ったことがないのか。
ミズナのことを忘れたみんな。
俺のことを忘れたミズナ。
やっぱりつい悔しくて悲しくて涙が出る。
弱い自分にまた腹が立って涙が出る。
俺はしゃがんで薬草を採った。
俺のために摘んでくれた薬草。
これを乾燥させて他に困った人のために持って帰ろう。ふとミズナの気持ちになってひたすら薬草を摘んだ。
「こら、クソ坊主!そんなに採ったら本当に必要な時に困るだろう!」
しゃがれた怒鳴り声が背中に聞こえてきた。
ーークソ坊主?
お、俺?
そんなこと言われたことなんてなかった。
「………俺のこと?」
恐々と聞き返す。
「お前しかいないだろう!そこ、ほら、手を止める!ったく、最近のガキは!」
ーーガキ?
それも俺のこと?
「俺の名前はダレンです。クソ坊主でもガキでもありません!!」
「はぁ?そんなことどうでもいいだろ。それよりさっさと立ちな!そして二度とこの場所に来るな!わかったかい?」
「おばあちゃん、ここはあなたの持っている土地ですか?でしたらごめんなさい」
「はああ?ここがあたしのかって?そんな訳ないだろう?それに、『おばあちゃん』って!あんた、あたしのこといくつだと思ってるんだ!!」
さっきより不機嫌になって俺を睨むおばあちゃん。
でもどうみても、俺のばあちゃんよりおばあちゃんだと思うんだけど。
「ふうん、あんたからあたしの匂いがするね?」
鼻をクンクンさせていた。
「匂い?」
思わず自分の手を嗅いでみた。
「????」
「あっはははははは、坊主、あんた自分で自分を匂ってわかるのかい?」
「………わかんないです……別に臭くないです」
「はああああ?臭い?あたしの匂いがするからってなんで臭いなんて言うんだ?全く近頃のガキは!!」
ーーうわっ!
ますます怒らせたみたい。
「あんた、あたしが作った薬を飲んで命が助かった子だろう?」
ニヤッと笑ったおばあちゃん。
「違う!ミズナが助けてくれたんだ!魔女さんに記憶を……渡して………その代わりに俺を助けてくれたんだ……」
思い出すとまた涙が出そうになる。
くそっ。俺は死ななかった。だけどミズナは俺のことを忘れたし思い出すことはない。
「魔女はどうやってあんたを助けたと思う?」
「わかんないよ!目が覚めたら病気が治ってた!だけどみんなミズナのこと忘れてた。王都に戻ったら……ミズナが俺のこと忘れてた。俺のことを思い出そうとしたら体調が悪くなるんだって………だからミズナとはもう会えないって言われた」
「へぇ、だから、ここで毎日グズグスと泣いて過ごしてたんだ」
「……泣いてた……けど……魔女さんに会おうと思って……でも、どこにいるかわかんないし、毎日うろうろして回ってても……魔女さんの顔もお家も知らないし……だからミズナが毎日俺のために採ってきてくれた薬草を俺も摘んで誰かの役に立てようかと思って……」
「ガキの頭ん中はやっぱりガキだね」
「俺はガキじゃない!もうすぐ10歳になるんだ!!」
「すぐムキになる!だからガキなんだよ!ミズナはこんなクソガキのために必死で頼んだんだ」
「クソガキって……おばあちゃんはどうしてそんなに意地悪なことばかり言うの?」
「意地悪?あたしが?あたしゃ優しいよ。あんたの命を助けるために魔力を込めた薬を作ってやったんだから。おかげであんたは生きてるだろう?」
「おばあちゃん……が魔女さん?」
「あんた、今気がついたのか?クソガキで馬鹿なのかい?」
ーーなんかいちいち俺のことを腐す。
ムスッとして返事をするのをやめようと思った。だけど、俺の命を救ってくれた人。
「魔女さん、俺の命を助けてくれてありがとうございました」
俺は頭を下げてお礼を言った。
「へえぇ?クソガキのくせにお礼はちゃんと言えるんだ?」
「……だって……ミズナが俺のために魔女さんに頼んだんだろう?助けてもらったことはちゃんと感謝してお礼は言わないと……だけど、どうしてミズナが俺のことを忘れるなんて酷いことをしたの?」
「酷い?どこがだい?してもらったことに対して対価は必要だ。だからミズナが一番大切なものをもらったんだ」
「大切なもの?」
「そうだ、ミズナはあんたの命が大切だと泣いていた。なんとか助けたいと。死んでしまうとわんわん泣きながらこの場所にいたんだ」
「ミズナが……」
ミズナの気持ちが嬉しかった。だけど、だからと言って、俺のことを忘れるなんて……
「本人に聞いたんだ。ダレンを助ける代わりにミズナからダレンの記憶は消える。それがこの魔法を使うための対価だと。それでもいいと本人が言ったんだ」
「……他に対価は……だって、じゃあ、俺との約束が……」
「ああ、大人になったらお嫁さんにもらうって話だったよね?」
魔女さんが馬鹿にした笑いを浮かべる。
大人にとっては馬鹿馬鹿しい約束かもしれない。でも俺は本気でミズナをお嫁さんにするつもりだ。
ミズナだって「うん」って言ってくれた。
だけど、迷いの森へ行こうとしたら止められた。
って言うか場所もわからない。
「あそこは入って仕舞えば帰ってこれない。それに簡単に森へは入れない。
魔女が人間を拒むんだ」
だったらどうやってミズナは魔女に会ったんだろう?
俺が知っているのはあの薬草の場所だけ。
考えてみたら俺は体調が悪くてあんまり家から出なかった。たまに出ても近所だけ。
あの時はたまたまミズナの後を追ったんだった。
みんなの目を盗んではミズナが薬草を積んだ場所へと行った。
迷いの森の魔女のことは誰も話してくれない。
そんな人は本当はここには居ないのか、それともみんな会ったことがないのか。
ミズナのことを忘れたみんな。
俺のことを忘れたミズナ。
やっぱりつい悔しくて悲しくて涙が出る。
弱い自分にまた腹が立って涙が出る。
俺はしゃがんで薬草を採った。
俺のために摘んでくれた薬草。
これを乾燥させて他に困った人のために持って帰ろう。ふとミズナの気持ちになってひたすら薬草を摘んだ。
「こら、クソ坊主!そんなに採ったら本当に必要な時に困るだろう!」
しゃがれた怒鳴り声が背中に聞こえてきた。
ーークソ坊主?
お、俺?
そんなこと言われたことなんてなかった。
「………俺のこと?」
恐々と聞き返す。
「お前しかいないだろう!そこ、ほら、手を止める!ったく、最近のガキは!」
ーーガキ?
それも俺のこと?
「俺の名前はダレンです。クソ坊主でもガキでもありません!!」
「はぁ?そんなことどうでもいいだろ。それよりさっさと立ちな!そして二度とこの場所に来るな!わかったかい?」
「おばあちゃん、ここはあなたの持っている土地ですか?でしたらごめんなさい」
「はああ?ここがあたしのかって?そんな訳ないだろう?それに、『おばあちゃん』って!あんた、あたしのこといくつだと思ってるんだ!!」
さっきより不機嫌になって俺を睨むおばあちゃん。
でもどうみても、俺のばあちゃんよりおばあちゃんだと思うんだけど。
「ふうん、あんたからあたしの匂いがするね?」
鼻をクンクンさせていた。
「匂い?」
思わず自分の手を嗅いでみた。
「????」
「あっはははははは、坊主、あんた自分で自分を匂ってわかるのかい?」
「………わかんないです……別に臭くないです」
「はああああ?臭い?あたしの匂いがするからってなんで臭いなんて言うんだ?全く近頃のガキは!!」
ーーうわっ!
ますます怒らせたみたい。
「あんた、あたしが作った薬を飲んで命が助かった子だろう?」
ニヤッと笑ったおばあちゃん。
「違う!ミズナが助けてくれたんだ!魔女さんに記憶を……渡して………その代わりに俺を助けてくれたんだ……」
思い出すとまた涙が出そうになる。
くそっ。俺は死ななかった。だけどミズナは俺のことを忘れたし思い出すことはない。
「魔女はどうやってあんたを助けたと思う?」
「わかんないよ!目が覚めたら病気が治ってた!だけどみんなミズナのこと忘れてた。王都に戻ったら……ミズナが俺のこと忘れてた。俺のことを思い出そうとしたら体調が悪くなるんだって………だからミズナとはもう会えないって言われた」
「へぇ、だから、ここで毎日グズグスと泣いて過ごしてたんだ」
「……泣いてた……けど……魔女さんに会おうと思って……でも、どこにいるかわかんないし、毎日うろうろして回ってても……魔女さんの顔もお家も知らないし……だからミズナが毎日俺のために採ってきてくれた薬草を俺も摘んで誰かの役に立てようかと思って……」
「ガキの頭ん中はやっぱりガキだね」
「俺はガキじゃない!もうすぐ10歳になるんだ!!」
「すぐムキになる!だからガキなんだよ!ミズナはこんなクソガキのために必死で頼んだんだ」
「クソガキって……おばあちゃんはどうしてそんなに意地悪なことばかり言うの?」
「意地悪?あたしが?あたしゃ優しいよ。あんたの命を助けるために魔力を込めた薬を作ってやったんだから。おかげであんたは生きてるだろう?」
「おばあちゃん……が魔女さん?」
「あんた、今気がついたのか?クソガキで馬鹿なのかい?」
ーーなんかいちいち俺のことを腐す。
ムスッとして返事をするのをやめようと思った。だけど、俺の命を救ってくれた人。
「魔女さん、俺の命を助けてくれてありがとうございました」
俺は頭を下げてお礼を言った。
「へえぇ?クソガキのくせにお礼はちゃんと言えるんだ?」
「……だって……ミズナが俺のために魔女さんに頼んだんだろう?助けてもらったことはちゃんと感謝してお礼は言わないと……だけど、どうしてミズナが俺のことを忘れるなんて酷いことをしたの?」
「酷い?どこがだい?してもらったことに対して対価は必要だ。だからミズナが一番大切なものをもらったんだ」
「大切なもの?」
「そうだ、ミズナはあんたの命が大切だと泣いていた。なんとか助けたいと。死んでしまうとわんわん泣きながらこの場所にいたんだ」
「ミズナが……」
ミズナの気持ちが嬉しかった。だけど、だからと言って、俺のことを忘れるなんて……
「本人に聞いたんだ。ダレンを助ける代わりにミズナからダレンの記憶は消える。それがこの魔法を使うための対価だと。それでもいいと本人が言ったんだ」
「……他に対価は……だって、じゃあ、俺との約束が……」
「ああ、大人になったらお嫁さんにもらうって話だったよね?」
魔女さんが馬鹿にした笑いを浮かべる。
大人にとっては馬鹿馬鹿しい約束かもしれない。でも俺は本気でミズナをお嫁さんにするつもりだ。
ミズナだって「うん」って言ってくれた。
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