3 / 73
3話 リュシアン初めての父との対面
しおりを挟む
リュシアンは妹ができたことを喜び数ヶ月しか違わないのに仲良く遊ぶ二人の姿に癒される。
子供部屋は旦那様がいる執務室や私室から離れた場所にあるので運が悪くなければ今の所会わなくて済む。
旦那様が帰ってきて慌てて子供部屋を移したのはジョンソンだった。
ソフィアは片言だけどお喋りが上手。でもリュシアンのことは旦那様の前で話そうとしない。
幼いながらにわかってるのか、ただ話さないのか……ただ旦那様が怖いのか……
旦那様に抱っこされ我が家にやって来たはずなのにソフィアは旦那様にどう見ても懐いてはいなかった。
「ソフィア?」と旦那様が話しかけるとビクッとして私のスカートの後ろに隠れてしまう。
モジモジと照れているというより慣れていなくて怖がっているようにしか見えない。ここに来た時は一番顔見知りだったから仕方なく黙って抱っこされていたのかもしれないわね。
今では家令のジョンソンやメイドのサラに懐いている。ジョンソンにはリュシアンと同じくらいの孫がいるしサラはリュシアンのお世話をしてもらっているので、今はソフィアも一緒にお世話をお願いしている。
少し給金をあげてお礼をしないといけないかな。
悪戯盛りの二人はとても手がかかる。
「奥様、それよりももう一人誰か回してください!」
サラに給金を上げる話をしたら懇願された。
「わかったわ、サラが子供達と気が合いそうなメイドを一人選んでちょうだい」
サラは長年この伯爵家でメイドをしているので彼女ならいい人を選んでくれるだろう。
それに私の気持ちも理解してくれているので極力旦那様の目にリュシアンが触れないように配慮してくれる。
というか、ここの屋敷の使用人みんながリュシアンを可愛がり大切にしてくれているから旦那様の前ではリュシアンのことには触れない。
私がお願いしたわけでもないのに、徹底しているのはジョンソンや執事のセバスチャンのおかげかもしれない。
旦那様が帰ってきてからは彼は執務室に籠ってひたすら執務に追われていた。
一応仕事は滞りなくやっているのでそんなに必死にならなくてもいいのに。
元々無口な人ではあったけど笑うと優しい人だった。何気ない優しさを感じることもあった。
なのに今の彼は真面目で堅物、笑うことを忘れてしまったようだ。
朝食は私とソフィアと三人でいただく。
昼食は執務室で食べるので私は子供達と三人で食べている。
夕食は旦那様の仕事に合わせて……だけど、気疲れしたくないしリュシアンを蔑ろにしたくないので
「可愛いソフィアと二人でどうぞお召し上がりになってくださいませ」と宣言した。
「はっ?」と何か言いたそうにしたけど私は有無を言わさず無視した。
仕事は伯爵夫人として今まで通り手伝いはするけど極力旦那様とは同じ空間にいることは避けた。
私は私の執務室で自分が嫁いでから手掛けた仕事をすることにした。
「旦那様、私がこの4年間で始めた事業はもしよかったらこのまま自分がしたいと思っているのですが」
「ああ、うん、いいんじゃないか」
旦那様は書類をじっと見ながら了承してくれた。旦那様がいない間の仕事内容はわからないことも多くジョンソンがサポートしながらなんとかこなしているようだ。
私なんか嫁いでひと月で訳も分からずなんとかやってきたのだもの。旦那様には弱音は吐いてほしくないわ。
チラリと旦那様の顔を窺うと険しい顔つきで書類を見ていた。ソフィアに話しかけるくらいの気遣いはあるのに私には「すまない」とか「よろしく頼む」なんて言葉は一度もない。
ハァーと小さくため息を吐き旦那様の執務室から出た。
ふと庭を見るとそこには手入れされた子供用の遊び場があった。リュシアンのために作った砂場やシーソー、小さな木のお家などもある。
旦那様は廊下を歩く時窓の外に目をやることはないのかしら?
リュシアンのことに気が付かないまま2週間が過ぎた。リュシアンはなんとなく今の状況に不安を感じているのかやっと外れたオムツがまた必要になりそう。
おねしょが再び始まった。昼間はあんなに楽しそうに笑って過ごしているのに、やはり変化を敏感に感じているみたい。
ソフィアは少しずつ落ち着いて安定している。
突然連れてこられたソフィア。子供には罪はない。それに前世で娘と息子を育てた私としては二人を育てることに違和感はない。自分が産んでいなくても子供は可愛い。懐いてくれたらさらに可愛さが増す。
リュシアンが私の膝の上に座るとソフィアも座りたそうにしている。
「ソフィア、おいで」
と声をかけるとモジモジしながら膝の上にちょこんと座る。
リュシアンも怒らずに二人で仲良く膝の上でくっついている。
二人の頭を撫でながら「明日はピクニックに行きましょう」と声をかけた。
「やったぁ!」リュシアンはとても喜んだ。
「ぴくにっく?」キョトンとするソフィア。
「ソフィアはピクニックが分からないのね?お外に出て遊んだり食事をしたりするの。サラやリズ達とみんなでいっぱい遊びましょう」
二人が喜んで遊ぶ姿が思い浮かぶ。もうそれだけで夜遅くまで仕事を詰め込んで頑張った甲斐がある。
旦那様が帰ってきてから意地になってリュシアンを隠しているため、あまり外で遊ばせてあげられないでいた。
仕方なく旦那様が外出中を狙って外で遊ばせてはいるけど自由にさせてあげられないでいる。
意地を張るのもそろそろ限界かしら?でも少し周りに目をやればソフィア以外に子供がいることだってわかるだろうと思うのだけど。
ハァー……またため息が出た。
明日は旦那様にはソフィアを連れてお出かけをすると伝えてあるので子供達と一日中しっかり遊んで過ごそう。
子供部屋は旦那様がいる執務室や私室から離れた場所にあるので運が悪くなければ今の所会わなくて済む。
旦那様が帰ってきて慌てて子供部屋を移したのはジョンソンだった。
ソフィアは片言だけどお喋りが上手。でもリュシアンのことは旦那様の前で話そうとしない。
幼いながらにわかってるのか、ただ話さないのか……ただ旦那様が怖いのか……
旦那様に抱っこされ我が家にやって来たはずなのにソフィアは旦那様にどう見ても懐いてはいなかった。
「ソフィア?」と旦那様が話しかけるとビクッとして私のスカートの後ろに隠れてしまう。
モジモジと照れているというより慣れていなくて怖がっているようにしか見えない。ここに来た時は一番顔見知りだったから仕方なく黙って抱っこされていたのかもしれないわね。
今では家令のジョンソンやメイドのサラに懐いている。ジョンソンにはリュシアンと同じくらいの孫がいるしサラはリュシアンのお世話をしてもらっているので、今はソフィアも一緒にお世話をお願いしている。
少し給金をあげてお礼をしないといけないかな。
悪戯盛りの二人はとても手がかかる。
「奥様、それよりももう一人誰か回してください!」
サラに給金を上げる話をしたら懇願された。
「わかったわ、サラが子供達と気が合いそうなメイドを一人選んでちょうだい」
サラは長年この伯爵家でメイドをしているので彼女ならいい人を選んでくれるだろう。
それに私の気持ちも理解してくれているので極力旦那様の目にリュシアンが触れないように配慮してくれる。
というか、ここの屋敷の使用人みんながリュシアンを可愛がり大切にしてくれているから旦那様の前ではリュシアンのことには触れない。
私がお願いしたわけでもないのに、徹底しているのはジョンソンや執事のセバスチャンのおかげかもしれない。
旦那様が帰ってきてからは彼は執務室に籠ってひたすら執務に追われていた。
一応仕事は滞りなくやっているのでそんなに必死にならなくてもいいのに。
元々無口な人ではあったけど笑うと優しい人だった。何気ない優しさを感じることもあった。
なのに今の彼は真面目で堅物、笑うことを忘れてしまったようだ。
朝食は私とソフィアと三人でいただく。
昼食は執務室で食べるので私は子供達と三人で食べている。
夕食は旦那様の仕事に合わせて……だけど、気疲れしたくないしリュシアンを蔑ろにしたくないので
「可愛いソフィアと二人でどうぞお召し上がりになってくださいませ」と宣言した。
「はっ?」と何か言いたそうにしたけど私は有無を言わさず無視した。
仕事は伯爵夫人として今まで通り手伝いはするけど極力旦那様とは同じ空間にいることは避けた。
私は私の執務室で自分が嫁いでから手掛けた仕事をすることにした。
「旦那様、私がこの4年間で始めた事業はもしよかったらこのまま自分がしたいと思っているのですが」
「ああ、うん、いいんじゃないか」
旦那様は書類をじっと見ながら了承してくれた。旦那様がいない間の仕事内容はわからないことも多くジョンソンがサポートしながらなんとかこなしているようだ。
私なんか嫁いでひと月で訳も分からずなんとかやってきたのだもの。旦那様には弱音は吐いてほしくないわ。
チラリと旦那様の顔を窺うと険しい顔つきで書類を見ていた。ソフィアに話しかけるくらいの気遣いはあるのに私には「すまない」とか「よろしく頼む」なんて言葉は一度もない。
ハァーと小さくため息を吐き旦那様の執務室から出た。
ふと庭を見るとそこには手入れされた子供用の遊び場があった。リュシアンのために作った砂場やシーソー、小さな木のお家などもある。
旦那様は廊下を歩く時窓の外に目をやることはないのかしら?
リュシアンのことに気が付かないまま2週間が過ぎた。リュシアンはなんとなく今の状況に不安を感じているのかやっと外れたオムツがまた必要になりそう。
おねしょが再び始まった。昼間はあんなに楽しそうに笑って過ごしているのに、やはり変化を敏感に感じているみたい。
ソフィアは少しずつ落ち着いて安定している。
突然連れてこられたソフィア。子供には罪はない。それに前世で娘と息子を育てた私としては二人を育てることに違和感はない。自分が産んでいなくても子供は可愛い。懐いてくれたらさらに可愛さが増す。
リュシアンが私の膝の上に座るとソフィアも座りたそうにしている。
「ソフィア、おいで」
と声をかけるとモジモジしながら膝の上にちょこんと座る。
リュシアンも怒らずに二人で仲良く膝の上でくっついている。
二人の頭を撫でながら「明日はピクニックに行きましょう」と声をかけた。
「やったぁ!」リュシアンはとても喜んだ。
「ぴくにっく?」キョトンとするソフィア。
「ソフィアはピクニックが分からないのね?お外に出て遊んだり食事をしたりするの。サラやリズ達とみんなでいっぱい遊びましょう」
二人が喜んで遊ぶ姿が思い浮かぶ。もうそれだけで夜遅くまで仕事を詰め込んで頑張った甲斐がある。
旦那様が帰ってきてから意地になってリュシアンを隠しているため、あまり外で遊ばせてあげられないでいた。
仕方なく旦那様が外出中を狙って外で遊ばせてはいるけど自由にさせてあげられないでいる。
意地を張るのもそろそろ限界かしら?でも少し周りに目をやればソフィア以外に子供がいることだってわかるだろうと思うのだけど。
ハァー……またため息が出た。
明日は旦那様にはソフィアを連れてお出かけをすると伝えてあるので子供達と一日中しっかり遊んで過ごそう。
1,711
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる