【完結】戦争から帰ってきた夫が連れてきたのは彼が愛する人の子供だった。

たろ

文字の大きさ
33 / 73

33話  パーティー ⑥

しおりを挟む
「レベッカ様はどこ?」

 パーティーの中動き回る使用人達に声をかけた。彼らが一番お客様のことを把握している。

「レベッカ・ジャクソン様でしょうか?」

「ええ、そうよ。今どこにいるのかわかるかしら?」

「気分が悪いと仰って、医務室へと行かれました」

「ありがとう。医務室はどこにあるのかしら?」

「あちらです」

 指さす方向へと裸足のまま走った。

 何人もの人が私の姿に驚き振り返る。もう格好なんて気にしていられない。

 早く、彼女に会って伝えて、リュシアンを取り戻さなければ。理由なんてわからない。
 でもあの男はソフィアに似ていた。

 答えは彼女が持っているはず。



 バンッ!


 扉を勢いよく開いて「レベッカ様っ!!」と叫んだ。

 驚いた看護師らしき人が「なに?」と顔を覗かせた。

「レベッカ様がここにいると聞いて……」
 はぁはぁと肩で息をしながら周囲を見渡した。

「ああ、そのお方なら奥で……「奥?」

 看護師の言葉を聞くとそのまま奥へと走った。

 王宮内の医務室ってやたらと広い!

 イライラしながら奥へ行くと豪華なソファにゆったりと座りお茶を飲むレベッカ様がいた。

 ソフィアは見当たらないので侍女にでも預けているのかもしれない。

「レベッカ様っ!!」
 大きな声で何度も名前を呼んだ。

 なのにプイッとそっぽを向いて私を見ようともしない。

「レベッカ様!……き、金髪の男性が『じゃぁな、レベッカに俺がこの国にいると伝えろ』と言われました………あ、あの、その男性は……誰なんですか?その男性がリュシアンを……リュシアンを連れ去ったんです!」

「……………ふうん……で、私に何のようなの?」

「リュシアンが……リュシアンが攫われたんですっ!!」

「どうして助けに行かないの?私のところへ来てどうするの?」

 横目で私をチラリと見た後、興味がなさそうに自分の爪を触っているレベッカ様。

「伝言が……伝言を伝えれば…リュシアンが…………「助かる?そんな訳ないじゃない………」

 呆れたように私を見るとクスッと笑って肩をすくめた。

「私には関係ないことだわ。貴女の息子が攫われようと殺されようと……その男の伝言を態々私に言いに来てあなたは何を求めているの?私はこんなか細い腕で自分を守るのが精一杯なの」

「貴女のせいでリュシアンが………「私のせい?ふんっ、そんな言い掛かりをつけないでちょうだい!悪いのはきちんと子供のことを見ていなかったあなたのせいでしょう?」

「貴女が……貴方が……私とリュシアンの生活を一変したんじゃない!!貴女が私の前に現れなければ……離縁だって…リュシアンが攫われることだって…なかったはずだわ」

「伯爵夫人として堂々と過ごしてきた貴女もただのみっともない女なのね」

「なんて言われてもいい。……リュシアンを…助けたいの。どうして…リュシアンは攫われ…たの?……貴女はあの男性と…どう言う関係?どう…したら助け…られるの?」

 私はレベッカ様のドレスを鷲掴みにして泣きながら訊いた。

 するとレベッカ様は私の腕を掴んで振り払った。

「私には関係ないわ。ここは王城内なのよ?優秀な騎士がたくさんいるのだから彼らに頼るべきだわ」

 そう言うとソファから立ち上がりどこからともなく現れたメイドに向かって「気分が悪いから帰るわ」と言った。

 そのメイドは……いつもリュシアンのお世話をしてくれていたリズだった。

「………リズ……」

 リズは申し訳なさそうに頭を下げてソフィアを抱っこしたままレベッカについて行った。

「レベッカ様ぁ!!」

 私は追いかけようとしたら後ろから手首を掴まれた。

「やめなさい」

 知らない騎士が私の腕を掴んで「彼女に何を言っても何も答えてはくれない。今我々があの男性を追っているからもう少し辛抱してください」と言った。

「何も?どうして?なぜ息子が攫われたの?私が……私が悪いんだわ……仕事なんかにかまけて……自分の子でもないソフィアの世話を焼いて……リュシアンをちゃんと見ていなかったから……」

 裸足で走り回った足は傷だらけで、髪の毛は乱れ、泣きじゃくった私の顔も化粧がはげてボロボロだった。

 だけどそんなことよりリュシアンが攫われた。そのことが一番辛くてどうしようもなく苦しくて……騎士達が私を部屋に閉じ込めなければ泣き叫んで王城の中を探し回っていただろう。

 なのに今の私は探し回ることも出来ない。暴れて……部屋に軟禁された。

 それも精神安定剤を打たれて。

 ーーリュシアン………




 ………ごめんなさい


しおりを挟む
感想 295

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

処理中です...