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47話
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緊張の中、王太子殿下との謁見が終わり、ホッとしながらリュシアンを抱っこして王宮から出たところでネージュ様が待っていた。
「ルシナ………」
伯父様やマシューは一瞬警戒をした。
でもネージュ様のあまりにもしょんぼりとした姿にすぐに二人の緊張は解け、ネージュ様の次の言葉を待った。
「君はとても聡明で凄いと思う。俺は君に辛い思いをさせることしか出来なくて、さっきも何も言えずただ立って見守っているしか出来なかった」
頭を腰のところまで下げて「すまなかった」と言った。
驚きながらもわたしは困った顔をした。
伯父様とマシューは「向こうで待ってるよ」と少し離れた場所へ移動してくれた。
どう答えようかと悩みながらも……
「その言葉は『ルシナ』に伝えて欲しかったです。わたしに言っても伝わらないわ。だって貴方にされたのはルシナであってわたしではないのですから」
「君は本当に記憶はないのか?」
申し訳なさそうに首を横に振った。
「ごめんなさい。日記を読んだり色んな人に話は聞いているのだけど、ルシナの時の記憶は思い出せないの。ただ、たまにふととても悲しくなったり……」
抱っこしていたリュシアンの頬に自分の頬を寄せた。
「リュシアンを見ると可愛くてたまらなくなるの。でも貴方のことはごめんなさい。今のわたしは何も思わない。腹も立たないし……でもリュシアンのために話し合いはしたいと思っていたの」
「リュシアンのために……そうだな。うん、リュシアンには離縁する時に話したと思う……あ、いや、すまない。改めて君と話し合いをしたい」
「ふふっ、ではまた日を改めて」
リュシアンは「おじちゃん、ばいばい」と手を振った。
「おじちゃん、きょう こわくなかったね?」
「ううん?怖かったの?」
「だって、いっつもおこってたもん」
「そっかぁ、あのひと、無愛想だものね。
でも真面目で頑張り屋さんらしいわ。リュシアンもそんな大人になってね?」
「え~、おじちゃんみたいな?ぼく、こわいの、やだっ!」
「そうね、笑顔は大切だよね?」
リュシアンをおろして、手を繋ぎ歩いて伯父様達が待っている庭園のベンチへとゆっくり向かった。
たくさんの季節の花々が咲いていて歩いていても目を喜ばせてくれる。
この世界の花々は色彩がハッキリしていてとても色鮮やかで美しい花が多い。
リュシアンも花に興味があるのか立ち止まっては花をじっと見つめて楽しんでいるようだった。
そんな楽しい時間に突然……
「許さないっ!」
女性の声が聞こえ、振り返るとナイフを持った女性がわたし達に向かって走ってきた。
「お待ちください!」「おやめください!」
後ろから騎士達が走って女性を止めようとした。だけど女性はわたしに向かってナイフを投げた。
もしリュシアンに当たったら?
「リュシアン!」
リュシアンにもしナイフが当たれば死んでしまう。咄嗟にリュシアンを抱きかかえしゃがみ込んだ。
……………痛みがない?
目を開けると……
「…………ネー……ジュ…さ…ま?」
声が震えた。ネージュ様の足元は赤く染まっている。その赤い色は少しずつ大きくなっている。
「は、早く、て、手当て…しなくっちゃ……だ、誰か、お医者様を…お、お願い……」
女性は取り押さえられた。でもその取り押さえ方は犯人を押さえつけるような態度ではなく、「おやめください」「お願いです。大人しくしてください」と腕に優しく触れ、懇願するように言っているだけだった。
「離しなさい!」
騎士に怒鳴りつけた。
その女性はネージュ様を見ながら吐き捨てるように言った。
「ほんと役に立たない男ね?もっとルシナを苦しめればよかったのに!!」
血を流し顔色は青白く立っているのも辛いのか地面に膝をついた。
「ネージュ様!!」
わたしは彼のそばでどうしていいのかわからず持っていたハンカチを渡すことしか出来ない。
今ナイフをぬけば大量出血で死ぬかもしれない。そう思うと刺さったままのナイフを抜いてあげることもできない。これ以上損傷を悪化させないようにするしかない。
早く、早く!お医者様は何をしているの?
怒鳴りたい気持ちを抑え、薬師として何もしてあげられないことを悔やんだ。わたしの所為で、わたし達を庇ってこんな酷い怪我をした。
ネージュ様の無事をそばで祈るしかなかった。
騎士がお医者様を連れてきた。その場で簡単な処置をして担架で運ばれていく。
「ルシナ!お前もついて行け!」
リュシアンをわたしの代わりに見ていてくれていたマシューがそう言うと、背中を押した。
「う、うん」
頷いて慌ててネージュ様の後ろをついて行く。
女性は……妃殿下だった。
なぜ?離宮に入れられて外には出られないはずなのに?
騎士達が監視していたはずなのに?
どうしてわたしの命を狙ったの?
「ルシナ………」
伯父様やマシューは一瞬警戒をした。
でもネージュ様のあまりにもしょんぼりとした姿にすぐに二人の緊張は解け、ネージュ様の次の言葉を待った。
「君はとても聡明で凄いと思う。俺は君に辛い思いをさせることしか出来なくて、さっきも何も言えずただ立って見守っているしか出来なかった」
頭を腰のところまで下げて「すまなかった」と言った。
驚きながらもわたしは困った顔をした。
伯父様とマシューは「向こうで待ってるよ」と少し離れた場所へ移動してくれた。
どう答えようかと悩みながらも……
「その言葉は『ルシナ』に伝えて欲しかったです。わたしに言っても伝わらないわ。だって貴方にされたのはルシナであってわたしではないのですから」
「君は本当に記憶はないのか?」
申し訳なさそうに首を横に振った。
「ごめんなさい。日記を読んだり色んな人に話は聞いているのだけど、ルシナの時の記憶は思い出せないの。ただ、たまにふととても悲しくなったり……」
抱っこしていたリュシアンの頬に自分の頬を寄せた。
「リュシアンを見ると可愛くてたまらなくなるの。でも貴方のことはごめんなさい。今のわたしは何も思わない。腹も立たないし……でもリュシアンのために話し合いはしたいと思っていたの」
「リュシアンのために……そうだな。うん、リュシアンには離縁する時に話したと思う……あ、いや、すまない。改めて君と話し合いをしたい」
「ふふっ、ではまた日を改めて」
リュシアンは「おじちゃん、ばいばい」と手を振った。
「おじちゃん、きょう こわくなかったね?」
「ううん?怖かったの?」
「だって、いっつもおこってたもん」
「そっかぁ、あのひと、無愛想だものね。
でも真面目で頑張り屋さんらしいわ。リュシアンもそんな大人になってね?」
「え~、おじちゃんみたいな?ぼく、こわいの、やだっ!」
「そうね、笑顔は大切だよね?」
リュシアンをおろして、手を繋ぎ歩いて伯父様達が待っている庭園のベンチへとゆっくり向かった。
たくさんの季節の花々が咲いていて歩いていても目を喜ばせてくれる。
この世界の花々は色彩がハッキリしていてとても色鮮やかで美しい花が多い。
リュシアンも花に興味があるのか立ち止まっては花をじっと見つめて楽しんでいるようだった。
そんな楽しい時間に突然……
「許さないっ!」
女性の声が聞こえ、振り返るとナイフを持った女性がわたし達に向かって走ってきた。
「お待ちください!」「おやめください!」
後ろから騎士達が走って女性を止めようとした。だけど女性はわたしに向かってナイフを投げた。
もしリュシアンに当たったら?
「リュシアン!」
リュシアンにもしナイフが当たれば死んでしまう。咄嗟にリュシアンを抱きかかえしゃがみ込んだ。
……………痛みがない?
目を開けると……
「…………ネー……ジュ…さ…ま?」
声が震えた。ネージュ様の足元は赤く染まっている。その赤い色は少しずつ大きくなっている。
「は、早く、て、手当て…しなくっちゃ……だ、誰か、お医者様を…お、お願い……」
女性は取り押さえられた。でもその取り押さえ方は犯人を押さえつけるような態度ではなく、「おやめください」「お願いです。大人しくしてください」と腕に優しく触れ、懇願するように言っているだけだった。
「離しなさい!」
騎士に怒鳴りつけた。
その女性はネージュ様を見ながら吐き捨てるように言った。
「ほんと役に立たない男ね?もっとルシナを苦しめればよかったのに!!」
血を流し顔色は青白く立っているのも辛いのか地面に膝をついた。
「ネージュ様!!」
わたしは彼のそばでどうしていいのかわからず持っていたハンカチを渡すことしか出来ない。
今ナイフをぬけば大量出血で死ぬかもしれない。そう思うと刺さったままのナイフを抜いてあげることもできない。これ以上損傷を悪化させないようにするしかない。
早く、早く!お医者様は何をしているの?
怒鳴りたい気持ちを抑え、薬師として何もしてあげられないことを悔やんだ。わたしの所為で、わたし達を庇ってこんな酷い怪我をした。
ネージュ様の無事をそばで祈るしかなかった。
騎士がお医者様を連れてきた。その場で簡単な処置をして担架で運ばれていく。
「ルシナ!お前もついて行け!」
リュシアンをわたしの代わりに見ていてくれていたマシューがそう言うと、背中を押した。
「う、うん」
頷いて慌ててネージュ様の後ろをついて行く。
女性は……妃殿下だった。
なぜ?離宮に入れられて外には出られないはずなのに?
騎士達が監視していたはずなのに?
どうしてわたしの命を狙ったの?
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