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ダイアナの危機。②
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目が覚めたらまた知らない場所にいた。
「ここは何処?」
ホテルの一室のようだ。
豪華なベッド、センスの良い家具が置かれていた。
「たしか……お茶を飲んで……」
「あら?ダイアナ様、目が覚めました?」
ーーサリー?たしか部屋を出て行って帰ったはずなのに……
「ダイアナ様、どうしてって顔をされていますよね?あはは、貴方が眠りについたのはお茶ではありませんよ。わたしがお茶を淹れている時とても警戒していましたよね?態とお茶を淹れましたが飲まないかもしれないでしょう?」
「じゃあどうやって?」
「ダイアナ様のお荷物に睡眠薬の液体を忍ばせておいてよかった。クッキーもお茶も怪しんでいたのでやはり記憶が戻ったのだと思ったんです。ですから荷物の中の液体の蓋を開けてダイアナ様の近くに置いてわたしは外に出たんです。アシュア様が来た時は焦りましたがすぐに出て行かれたのでホッとしました。
キース様のところには数人の大旦那様の息のかかった使用人が働いております。ダイアナ様が眠りについてすぐに屋敷の者には気づかれずに運び出せました」
「サリーはお祖父様に頼まれたの?」
「わたしは大旦那様にずっと仕えております。わたしの主人は大旦那様ですよ?今も昔も」
「わたしにいつも優しくしてくれたのは?偽りだったの?」
「いいえ、違います。ダイアナ様は大旦那様のかけがえのない大切なお方です。だから大切に扱いました」
「大切?何処が?だって納屋に入れて殺そうとしたじゃない!」
「あー、あの時はエレファ様が亡くなられて大旦那様は貴女の顔を見るのを嫌がっていました。幼いとは言えエレファ様にそっくりな貴女を見たくないと仰ったので死んでもらってもいいかなと思ったのです」
そう言ってサリーは柔かに笑った。
わたしをじっと見つめながらだけどわたしを見ているわけではない。
何を見ているのだろう。この暗く澱んだ瞳で。
わたしはゾッとした。
たまにわたしを見るお祖父様の視線も気持ち悪かった。だけど何を考えているのかわからないサリーは恐怖でしかない。
「わたしをどうするの?」
「もちろんお嫁に行ってもらいます。あと少ししたらダイアナ様の旦那様になるお方がこちらにお迎えに来てくれます。今から入浴していただいて体を綺麗にしましょう。マッサージをしてお顔のお手入れをして…あとドレスはどれにいたしましょうか?やはり白?ピンクも可愛らしいですね?とても楽しみですね?大旦那様ももうすぐこちらに見えると思います」
ニヤッと笑った顔はわたしが知っているサリーの顔ではなくなっていた。自分の思う通りになったことで悦に入っているようだ。
「わたしはキース様のお屋敷に帰るわ、知らない人と結婚などしないわ。サリーそこを退いてちょうだい」
まだ体調は良くないけどここにこれ以上は居られない。震える体をなんとか我慢しながらベッドから起き上がった。ここで弱い自分を出してしまったらサリーにつけ込まれてしまう。
必死でサリーを睨みながら「退きなさい!命令よ」強い口調でサリーに言った。
「ダイアナ様?そんな怖い顔をしたらその美しい顔が台無しになりますよ?せっかく鉱山とたくさんの金貨との交換で貴女を売ったのだから、綺麗な状態で貴女を渡さなければいけないのです。傷ひとつつけられないわ」
そう言ってわたしの頬をそっと指先で触ってきた。
サリーの手が大好きだった。優しい手。なのに今は気持ちが悪くて鳥肌が立った。
「触らないで!気持ち悪いわ」
わたしのその一言にサリーは眉根を寄せた。
「わたしが気持ち悪い?どの口が言っているんです?貴女はわたしが育てた大切なお人形なんですよ?わたしの言うことを聞いていればいいの」
ーー叩かれる!
そう思ったのにサリーは叩かずにわたしの頬をさらに撫で回した。
「叩くと思いました?叩くわけないでしょう?だって大切な商品だもの。一番綺麗な状態で相手に引き渡さなければいけないもの」
そう言うと、何処からか数人の侍女らしき人たちが来てわたしの両腕を掴んで浴室へ連れて行かれた。
無理やり服を脱がされて綺麗に洗われた。
そしてそのあと無理やりベッドに寝かされてマッサージが始まった。
どんなに抵抗しても無理やり押さえつけられてしまい諦めるしかなかった。
わたしは商品として売られるしかないのだろうか?
思い出した時にサリーのことをキース様に伝えておけばよかった。でも……お祖父様の息のかかった人がキース様の屋敷に居たのならいずれは連れ出されていただろう。
でもそれでも、諦めたくない。キース様が助けてくれたのにまた連れ去られてしまったけど今回は絶対諦めない。今は素直に言うことを聞いて、隙をみつけて逃げ出すつもりだ。
「ここは何処?」
ホテルの一室のようだ。
豪華なベッド、センスの良い家具が置かれていた。
「たしか……お茶を飲んで……」
「あら?ダイアナ様、目が覚めました?」
ーーサリー?たしか部屋を出て行って帰ったはずなのに……
「ダイアナ様、どうしてって顔をされていますよね?あはは、貴方が眠りについたのはお茶ではありませんよ。わたしがお茶を淹れている時とても警戒していましたよね?態とお茶を淹れましたが飲まないかもしれないでしょう?」
「じゃあどうやって?」
「ダイアナ様のお荷物に睡眠薬の液体を忍ばせておいてよかった。クッキーもお茶も怪しんでいたのでやはり記憶が戻ったのだと思ったんです。ですから荷物の中の液体の蓋を開けてダイアナ様の近くに置いてわたしは外に出たんです。アシュア様が来た時は焦りましたがすぐに出て行かれたのでホッとしました。
キース様のところには数人の大旦那様の息のかかった使用人が働いております。ダイアナ様が眠りについてすぐに屋敷の者には気づかれずに運び出せました」
「サリーはお祖父様に頼まれたの?」
「わたしは大旦那様にずっと仕えております。わたしの主人は大旦那様ですよ?今も昔も」
「わたしにいつも優しくしてくれたのは?偽りだったの?」
「いいえ、違います。ダイアナ様は大旦那様のかけがえのない大切なお方です。だから大切に扱いました」
「大切?何処が?だって納屋に入れて殺そうとしたじゃない!」
「あー、あの時はエレファ様が亡くなられて大旦那様は貴女の顔を見るのを嫌がっていました。幼いとは言えエレファ様にそっくりな貴女を見たくないと仰ったので死んでもらってもいいかなと思ったのです」
そう言ってサリーは柔かに笑った。
わたしをじっと見つめながらだけどわたしを見ているわけではない。
何を見ているのだろう。この暗く澱んだ瞳で。
わたしはゾッとした。
たまにわたしを見るお祖父様の視線も気持ち悪かった。だけど何を考えているのかわからないサリーは恐怖でしかない。
「わたしをどうするの?」
「もちろんお嫁に行ってもらいます。あと少ししたらダイアナ様の旦那様になるお方がこちらにお迎えに来てくれます。今から入浴していただいて体を綺麗にしましょう。マッサージをしてお顔のお手入れをして…あとドレスはどれにいたしましょうか?やはり白?ピンクも可愛らしいですね?とても楽しみですね?大旦那様ももうすぐこちらに見えると思います」
ニヤッと笑った顔はわたしが知っているサリーの顔ではなくなっていた。自分の思う通りになったことで悦に入っているようだ。
「わたしはキース様のお屋敷に帰るわ、知らない人と結婚などしないわ。サリーそこを退いてちょうだい」
まだ体調は良くないけどここにこれ以上は居られない。震える体をなんとか我慢しながらベッドから起き上がった。ここで弱い自分を出してしまったらサリーにつけ込まれてしまう。
必死でサリーを睨みながら「退きなさい!命令よ」強い口調でサリーに言った。
「ダイアナ様?そんな怖い顔をしたらその美しい顔が台無しになりますよ?せっかく鉱山とたくさんの金貨との交換で貴女を売ったのだから、綺麗な状態で貴女を渡さなければいけないのです。傷ひとつつけられないわ」
そう言ってわたしの頬をそっと指先で触ってきた。
サリーの手が大好きだった。優しい手。なのに今は気持ちが悪くて鳥肌が立った。
「触らないで!気持ち悪いわ」
わたしのその一言にサリーは眉根を寄せた。
「わたしが気持ち悪い?どの口が言っているんです?貴女はわたしが育てた大切なお人形なんですよ?わたしの言うことを聞いていればいいの」
ーー叩かれる!
そう思ったのにサリーは叩かずにわたしの頬をさらに撫で回した。
「叩くと思いました?叩くわけないでしょう?だって大切な商品だもの。一番綺麗な状態で相手に引き渡さなければいけないもの」
そう言うと、何処からか数人の侍女らしき人たちが来てわたしの両腕を掴んで浴室へ連れて行かれた。
無理やり服を脱がされて綺麗に洗われた。
そしてそのあと無理やりベッドに寝かされてマッサージが始まった。
どんなに抵抗しても無理やり押さえつけられてしまい諦めるしかなかった。
わたしは商品として売られるしかないのだろうか?
思い出した時にサリーのことをキース様に伝えておけばよかった。でも……お祖父様の息のかかった人がキース様の屋敷に居たのならいずれは連れ出されていただろう。
でもそれでも、諦めたくない。キース様が助けてくれたのにまた連れ去られてしまったけど今回は絶対諦めない。今は素直に言うことを聞いて、隙をみつけて逃げ出すつもりだ。
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