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じゅうご。
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「カレン!」
遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえる。
うるさいな。
この声は聞きたくない!
わたしは耳を塞ぎたくなった。
「カレン?大丈夫?」
泣きそうな声でわたしに話しかける声。
この声も聞きたくない。
あんた達はわたしを捨てた人達。
わたしは耳も心も手で塞いだ、もうあんた達なんかいらない!
目を開けては駄目。
そうこれは夢。
あの人達がわたしを心配するはずなんてない。いっそ死んで欲しいと思ってるんじゃないの?
ーーーそう、あの王城内にある寂れた北の塔……わたしを呼んでいる気がする。
あそこに行けば楽になる気が……
またわたしは飛び降りた。
もうこんな所は嫌だ。
楽になりたい。
「カレン……」
そんな優しい声なんてかけないで……
………………
…………
…………
……レン
「……………はっ」
ここは?
何故こんなところにいるのだろう?
硬いベッドマットの上に寝ていた。
簡素な家具とベッド。
カーテンはしっかり閉じられていたが昼間なのだろう、わずがな隙間から光が刺していた。
ーーー喉が渇いた。
キョロキョロあたりを見回したけど何もない。
誰もいない、静かな部屋。
たぶん王宮内にある医務室だろう。
幼い頃、殿下とセルジオ様と遊んだ時、この場所に来たことがある。
セルジオ様が転んで足の骨を折った。
殿下と二人で心配でわんわん泣きながらセルジオ様のそばを離れようとしなくて、大人達に「そっと寝かせてあげてください」と叱られた。
あの時と同じ部屋。
誰かに声を掛けなくっちゃ。そう思ってベッドから起き上がり立とうとするのに足に力が入らない。
ガタッ。
そのまま床の上に転んだ。
ーーー誰か……
「……あっ…………た……け…」
微かに声が出る。でも助けは呼べない。
「どうしました?」
わたしが落ちた音を聞いた女性が部屋に入ってきてくれた。
「まぁ!大丈夫ですか?」
すぐにそばに寄ってきてくれたが、一人では抱き起こせないみたいで、「待っててください」と言って他の人を呼びに行った。
「カレン様!」
すぐに来てくれたのはキースだった。
「……ス」
声が出ないわたしを見て、「ずっと水分を取っていなかったから」と、ベッドに抱き抱え寝かせてくれてから急いでお水を持ってきてくれた。
ゴクッゴクッ。
「……りがとぉ」
少しずつ声が出せるようになってきた。
「カレン様は、3日も寝込んでいたんですよ!」
「えっ?」
驚き目を見開いていると
「真っ青な顔をして血の気を失っていたんです。ヒュート様なんか涙目になっていましたよ」
「ヒュートが?」
何にも覚えていない。
ーーーただもういいかな。
ーーー死ぬほうが楽かな。
なんて考えた。どうして倒れたのかよく覚えていないのに、さっきまで怖い夢を見ていて、それだけで疲れてしまっていた。
キースに話を聞くと、足に力が入らないのは当たり前、三日間も寝込んでいてすぐに動こうとしたからだった。
「もうしばらく、ここで入院です!」
とキースに叱られた。
お兄さんのような存在のキース、すっごく怒って怖いけど目にはうっすら涙が。
めちゃめちゃ心配かけたんだと思うと、ふざけて「泣いてるの?」なんて言えなかった。
「心配掛けて、ごめんね?」
「ほんっとに!エマなんか毎日泣いていたんですよ!ここは王宮の中で簡単にメイドは入れない場所なんです。だからお屋敷でずっと心配して食事も喉を通らなかったんですよ」
「そ、そう、うん、ごめん。だけど、ねっ、わたしもよくわからないんだ。どうしてここにいるの?」
そう、たしか夜会に出て、疲れて外のベランダに当たっていたら……オスカー殿下とアイリ様が現れて……その先がよくわからない……
ーーー気分が悪い。
いやだ、頭が痛い!!
「い、いや、もう、いや!やぁーーーー」
「カレン様?カレン様!どうしました?」
「やぁ、ここはいや!助けて、お願い、もう死んでしまいたい。もう楽にさせて!」
「カレン!」
突然公爵夫人がそばにやって来た。
「触らないで!来ないで!あんた達なんか大っ嫌い!生きるのがいや!もう嫌なの!」
自分でもよくわからない。だけど、この王宮にいたくない。
わたしの突然の変化にキースは戸惑っていた。
本人にもよくわからない。ただ、ここはいや!
さっきまで平気だったのに、自分の両親が目の前に現れて自制心がなくなった。
ガタガタ震えて真っ青な顔のわたしにキースが聞く。
「帰りたいのですか?」
「お祖母様とお祖父様に会いたい」
と泣き出してしまった。
ーーーずっと我慢していたのにもうここは嫌だ。我慢できなくなっていた。
「我儘を言うな!」
頭ごなしに怒る公爵様の声。
「あんた達なんか嫌い!大っ嫌い!」
自分で自分の感情がコントロール出来ない。
ーーーここにいては駄目。
自分ではない自分が、何度も頭の中で囁く。
「キース、助けて。エマのところに……」
わたしは泣きながらお祖父様とお祖母様に会えないのならエマのところにいきたいと駄々をこねた。
遠くからわたしを呼ぶ声が聞こえる。
うるさいな。
この声は聞きたくない!
わたしは耳を塞ぎたくなった。
「カレン?大丈夫?」
泣きそうな声でわたしに話しかける声。
この声も聞きたくない。
あんた達はわたしを捨てた人達。
わたしは耳も心も手で塞いだ、もうあんた達なんかいらない!
目を開けては駄目。
そうこれは夢。
あの人達がわたしを心配するはずなんてない。いっそ死んで欲しいと思ってるんじゃないの?
ーーーそう、あの王城内にある寂れた北の塔……わたしを呼んでいる気がする。
あそこに行けば楽になる気が……
またわたしは飛び降りた。
もうこんな所は嫌だ。
楽になりたい。
「カレン……」
そんな優しい声なんてかけないで……
………………
…………
…………
……レン
「……………はっ」
ここは?
何故こんなところにいるのだろう?
硬いベッドマットの上に寝ていた。
簡素な家具とベッド。
カーテンはしっかり閉じられていたが昼間なのだろう、わずがな隙間から光が刺していた。
ーーー喉が渇いた。
キョロキョロあたりを見回したけど何もない。
誰もいない、静かな部屋。
たぶん王宮内にある医務室だろう。
幼い頃、殿下とセルジオ様と遊んだ時、この場所に来たことがある。
セルジオ様が転んで足の骨を折った。
殿下と二人で心配でわんわん泣きながらセルジオ様のそばを離れようとしなくて、大人達に「そっと寝かせてあげてください」と叱られた。
あの時と同じ部屋。
誰かに声を掛けなくっちゃ。そう思ってベッドから起き上がり立とうとするのに足に力が入らない。
ガタッ。
そのまま床の上に転んだ。
ーーー誰か……
「……あっ…………た……け…」
微かに声が出る。でも助けは呼べない。
「どうしました?」
わたしが落ちた音を聞いた女性が部屋に入ってきてくれた。
「まぁ!大丈夫ですか?」
すぐにそばに寄ってきてくれたが、一人では抱き起こせないみたいで、「待っててください」と言って他の人を呼びに行った。
「カレン様!」
すぐに来てくれたのはキースだった。
「……ス」
声が出ないわたしを見て、「ずっと水分を取っていなかったから」と、ベッドに抱き抱え寝かせてくれてから急いでお水を持ってきてくれた。
ゴクッゴクッ。
「……りがとぉ」
少しずつ声が出せるようになってきた。
「カレン様は、3日も寝込んでいたんですよ!」
「えっ?」
驚き目を見開いていると
「真っ青な顔をして血の気を失っていたんです。ヒュート様なんか涙目になっていましたよ」
「ヒュートが?」
何にも覚えていない。
ーーーただもういいかな。
ーーー死ぬほうが楽かな。
なんて考えた。どうして倒れたのかよく覚えていないのに、さっきまで怖い夢を見ていて、それだけで疲れてしまっていた。
キースに話を聞くと、足に力が入らないのは当たり前、三日間も寝込んでいてすぐに動こうとしたからだった。
「もうしばらく、ここで入院です!」
とキースに叱られた。
お兄さんのような存在のキース、すっごく怒って怖いけど目にはうっすら涙が。
めちゃめちゃ心配かけたんだと思うと、ふざけて「泣いてるの?」なんて言えなかった。
「心配掛けて、ごめんね?」
「ほんっとに!エマなんか毎日泣いていたんですよ!ここは王宮の中で簡単にメイドは入れない場所なんです。だからお屋敷でずっと心配して食事も喉を通らなかったんですよ」
「そ、そう、うん、ごめん。だけど、ねっ、わたしもよくわからないんだ。どうしてここにいるの?」
そう、たしか夜会に出て、疲れて外のベランダに当たっていたら……オスカー殿下とアイリ様が現れて……その先がよくわからない……
ーーー気分が悪い。
いやだ、頭が痛い!!
「い、いや、もう、いや!やぁーーーー」
「カレン様?カレン様!どうしました?」
「やぁ、ここはいや!助けて、お願い、もう死んでしまいたい。もう楽にさせて!」
「カレン!」
突然公爵夫人がそばにやって来た。
「触らないで!来ないで!あんた達なんか大っ嫌い!生きるのがいや!もう嫌なの!」
自分でもよくわからない。だけど、この王宮にいたくない。
わたしの突然の変化にキースは戸惑っていた。
本人にもよくわからない。ただ、ここはいや!
さっきまで平気だったのに、自分の両親が目の前に現れて自制心がなくなった。
ガタガタ震えて真っ青な顔のわたしにキースが聞く。
「帰りたいのですか?」
「お祖母様とお祖父様に会いたい」
と泣き出してしまった。
ーーーずっと我慢していたのにもうここは嫌だ。我慢できなくなっていた。
「我儘を言うな!」
頭ごなしに怒る公爵様の声。
「あんた達なんか嫌い!大っ嫌い!」
自分で自分の感情がコントロール出来ない。
ーーーここにいては駄目。
自分ではない自分が、何度も頭の中で囁く。
「キース、助けて。エマのところに……」
わたしは泣きながらお祖父様とお祖母様に会えないのならエマのところにいきたいと駄々をこねた。
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