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バズール編⑤
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ライナへの悪い噂が社交界で広がり始めた。
「ミレガー伯爵家のメイドをしているパシェード男爵家のライナ様って婚約者のシエル様がいるのに仕事場の屋敷で男遊びが酷かったらしいわ」
「あら?わたしが聞いたのは、リーリエ様に対してとても態度が悪かったと聞いているわ」
「今でもリーリエ様のこと馬鹿にしたりしているらしいわよ」
「メイドの仕事もサボってばかりだと聞いたわ」
「そう言えば社交界デビューしたばかりなのに全く夜会に来られていないわよね」
「お仕事が忙しいのでは?男爵家だものね」
俺は久しぶりの夜会に参加した。
もちろん情報を集めるためだ。
ライナと親友でもあるユミエル嬢をエスコートして参加している。
「バズール様、今度の夜会にはぜひわたしと参加しませんか?」
放課後、学校の生徒会室で仕事をしているとユミエル嬢が数人の令嬢と共に俺に会いにきた。
「何故?俺が君と参加しなければいけないの?」
俺は冷たく返事をした。
「もちろんライナのためですわ」
「ライナ?」
「最近のライナの評判は御存知ですよね?」
「……ああ」
「あの噂、流しているのはリーリエ様の取り巻き達なの……」
「やはりそうか」
リーリエ自身はまだ未成年者なので夜会に参加することはできない。かと言ってミレガー夫人が噂を流しているとは耳に入ってこない。
これは母上や義姉上達がしっかり確認している。
どちらかと言うと俺たち成人したばかりの若い連中の中での噂みたいだ。
真実など誰も求めていない。
面白おかしく話のネタになればいいのだ。
飽きれば次の噂をして楽しむだけ。
噂をされた人がどれだけ傷つくかなど誰も考えていない馬鹿な連中だ。
俺もどうこの噂を対処するか悩んでいるところだった。
リーリエが話しているのなら本人が話しているところをとっ捕まえて断罪できる。しかし取り巻きとなれば誰が言い出したのかすぐにはわからない。
あのリーリエは常に男を侍らせているので特定がしづらかった。
なのでライナを夜会に連れて行き堂々とした姿を見せようとも思ったが、婚約者のシエルと参加することはできない、婚約解消のこともあるし。
俺がエスコートすることも出来ない。さらに悪い噂を提供してしまうことになる。
どうするか悩んでいる時にユミエル嬢からの誘いだった。ユミエル嬢は侯爵令嬢なのだが、男爵令嬢でしかないライナのことを親友と呼び今でも交流している。そしてユミエル嬢と仲の良い高位貴族の令嬢達もライナと友人である。
そんな彼女達も噂に危惧している。
「噂の出所を知りたくはない?」
「ある程度の目星はついているんだけど証拠がないんだよね」
「だから参加するのよ、わたしの婚約者は貴方と親友でしょう?彼が今回仕事で参加できないから貴方をパートナーとして指名してくれたの。だから私は醜聞にならないわ」
「エリオス・ミュルート公爵令息からの申し入れ?」
「そうよ、一緒に参加してライナの噂を一掃して欲しいの。貴方なら出来るでしょう?」
「わかった、喜んでエスコートさせて頂くよ」
こうして俺はユミエル嬢の手を取り参加した。
とりあえず彼女と一曲踊ると、その後いろんな令嬢と踊ることにした。
優しく微笑み「ライナ嬢の噂話知ってる?」と誘導して聞き出した。
そして聞くだけ聞いて俺は優しく諭す。
「その噂これ以上口にするのはやめた方がいいよ、ユミエル嬢やエリオス殿達に君が話していると耳に入ったら君の家に迷惑がかかるかもしれないよ。
ライナ嬢をとても気に入っているからね。
それにライナ嬢の実家は男爵家だけどこの国一番のパシェード商会だからね。君の家潰されなければいいけどね」
そう言うと真っ青な顔をして
「え?え?」
と目を見開いて俺を見た。
「今なら間に合うからね、噂は違うらしいと言って回ることだね」
彼女の肩をポンっと叩いた俺は冷たく言い放った。
「見逃すのは今だけだからね」
何人かの噂話好きの令嬢達と踊り脅しをかけた。
みんな真っ青になり噂を否定して回り始めた。
そして………元凶のリーリエの取り巻きの男数人は、ユミエル令嬢達が見つけ出して俺と同じように脅しをかけた。
高位貴族の子息や令嬢はライナの噂話を最初から信じていなかった。
まぁ、ライナが高位貴族の令嬢達と仲が良かったのが幸いだった。ライナの人となりを知っている者達は誰も信じなかったから。
どちらかと言うと低位貴族達の間で広がっていたので噂を潰すのはこの夜会はちょうどよかった。
かと言って俺一人では難しい。噂は女の世界が中心だからだ。
ユミエル嬢達高位貴族の力があってこそ口を噤ませやすい。
噂の大元は、リーリエ嬢の取り巻きの子爵家の息子と男爵家の息子達数人だった。
そいつらにはもちろん噂を否定させた上で、最後会場の控え室に集めた。
今回の夜会の主催者はもちろんユミエル嬢の侯爵家が若者を中心に呼ぶために開いたものだった。
ーーライナの名誉を守るために夜会を開いたのだ。
「君たちが噂の元凶だね?」
俺が睨みつけると彼らは青い顔をして小さくなっていた。
「もちろんこの人達は名誉毀損で訴えましょう」
「当たり前ですわ、私の大事な親友の名声を傷つけたのですから」
「この人達、これから先社交界で生きていけると思っているのかしら?」
「あら?わたし達を敵に回したのだから無理に決まっていますわ」
令嬢達の顔は柔らかい笑みを浮かべながらも、目だけが全く笑っていない。
「ライナは優しいから……この人達を許すかもしれないわね」
「そうね。ライナったら人がいいから……わたしならこんな酷いことを言われたら家ごと潰してやるのだけど、ライナなら許してしまいそうだわ」
俺はライナの友人達の話を聞きながら、こいつらを敵に回したくないとつくづく思った。
ライナは優しいからと誘導してライナへの印象を良くして噂を一気に消すつもりだ。
ーーまぁ確かにライナなら彼らのことを許すだろう。あいつは情に脆く、自分が傷ついても相手を攻撃なんてしない。優しい奴だ。
そんな優しいライナがシエルに対して怒って傷ついている。あいつだけは絶対許さない。
そしてこんな噂話をわざとにさせたリーリエも許さない。
こうしてライナの友人達はライナの知らぬところで動いてくれた。俺は感謝しかなかった。
「ミレガー伯爵家のメイドをしているパシェード男爵家のライナ様って婚約者のシエル様がいるのに仕事場の屋敷で男遊びが酷かったらしいわ」
「あら?わたしが聞いたのは、リーリエ様に対してとても態度が悪かったと聞いているわ」
「今でもリーリエ様のこと馬鹿にしたりしているらしいわよ」
「メイドの仕事もサボってばかりだと聞いたわ」
「そう言えば社交界デビューしたばかりなのに全く夜会に来られていないわよね」
「お仕事が忙しいのでは?男爵家だものね」
俺は久しぶりの夜会に参加した。
もちろん情報を集めるためだ。
ライナと親友でもあるユミエル嬢をエスコートして参加している。
「バズール様、今度の夜会にはぜひわたしと参加しませんか?」
放課後、学校の生徒会室で仕事をしているとユミエル嬢が数人の令嬢と共に俺に会いにきた。
「何故?俺が君と参加しなければいけないの?」
俺は冷たく返事をした。
「もちろんライナのためですわ」
「ライナ?」
「最近のライナの評判は御存知ですよね?」
「……ああ」
「あの噂、流しているのはリーリエ様の取り巻き達なの……」
「やはりそうか」
リーリエ自身はまだ未成年者なので夜会に参加することはできない。かと言ってミレガー夫人が噂を流しているとは耳に入ってこない。
これは母上や義姉上達がしっかり確認している。
どちらかと言うと俺たち成人したばかりの若い連中の中での噂みたいだ。
真実など誰も求めていない。
面白おかしく話のネタになればいいのだ。
飽きれば次の噂をして楽しむだけ。
噂をされた人がどれだけ傷つくかなど誰も考えていない馬鹿な連中だ。
俺もどうこの噂を対処するか悩んでいるところだった。
リーリエが話しているのなら本人が話しているところをとっ捕まえて断罪できる。しかし取り巻きとなれば誰が言い出したのかすぐにはわからない。
あのリーリエは常に男を侍らせているので特定がしづらかった。
なのでライナを夜会に連れて行き堂々とした姿を見せようとも思ったが、婚約者のシエルと参加することはできない、婚約解消のこともあるし。
俺がエスコートすることも出来ない。さらに悪い噂を提供してしまうことになる。
どうするか悩んでいる時にユミエル嬢からの誘いだった。ユミエル嬢は侯爵令嬢なのだが、男爵令嬢でしかないライナのことを親友と呼び今でも交流している。そしてユミエル嬢と仲の良い高位貴族の令嬢達もライナと友人である。
そんな彼女達も噂に危惧している。
「噂の出所を知りたくはない?」
「ある程度の目星はついているんだけど証拠がないんだよね」
「だから参加するのよ、わたしの婚約者は貴方と親友でしょう?彼が今回仕事で参加できないから貴方をパートナーとして指名してくれたの。だから私は醜聞にならないわ」
「エリオス・ミュルート公爵令息からの申し入れ?」
「そうよ、一緒に参加してライナの噂を一掃して欲しいの。貴方なら出来るでしょう?」
「わかった、喜んでエスコートさせて頂くよ」
こうして俺はユミエル嬢の手を取り参加した。
とりあえず彼女と一曲踊ると、その後いろんな令嬢と踊ることにした。
優しく微笑み「ライナ嬢の噂話知ってる?」と誘導して聞き出した。
そして聞くだけ聞いて俺は優しく諭す。
「その噂これ以上口にするのはやめた方がいいよ、ユミエル嬢やエリオス殿達に君が話していると耳に入ったら君の家に迷惑がかかるかもしれないよ。
ライナ嬢をとても気に入っているからね。
それにライナ嬢の実家は男爵家だけどこの国一番のパシェード商会だからね。君の家潰されなければいいけどね」
そう言うと真っ青な顔をして
「え?え?」
と目を見開いて俺を見た。
「今なら間に合うからね、噂は違うらしいと言って回ることだね」
彼女の肩をポンっと叩いた俺は冷たく言い放った。
「見逃すのは今だけだからね」
何人かの噂話好きの令嬢達と踊り脅しをかけた。
みんな真っ青になり噂を否定して回り始めた。
そして………元凶のリーリエの取り巻きの男数人は、ユミエル令嬢達が見つけ出して俺と同じように脅しをかけた。
高位貴族の子息や令嬢はライナの噂話を最初から信じていなかった。
まぁ、ライナが高位貴族の令嬢達と仲が良かったのが幸いだった。ライナの人となりを知っている者達は誰も信じなかったから。
どちらかと言うと低位貴族達の間で広がっていたので噂を潰すのはこの夜会はちょうどよかった。
かと言って俺一人では難しい。噂は女の世界が中心だからだ。
ユミエル嬢達高位貴族の力があってこそ口を噤ませやすい。
噂の大元は、リーリエ嬢の取り巻きの子爵家の息子と男爵家の息子達数人だった。
そいつらにはもちろん噂を否定させた上で、最後会場の控え室に集めた。
今回の夜会の主催者はもちろんユミエル嬢の侯爵家が若者を中心に呼ぶために開いたものだった。
ーーライナの名誉を守るために夜会を開いたのだ。
「君たちが噂の元凶だね?」
俺が睨みつけると彼らは青い顔をして小さくなっていた。
「もちろんこの人達は名誉毀損で訴えましょう」
「当たり前ですわ、私の大事な親友の名声を傷つけたのですから」
「この人達、これから先社交界で生きていけると思っているのかしら?」
「あら?わたし達を敵に回したのだから無理に決まっていますわ」
令嬢達の顔は柔らかい笑みを浮かべながらも、目だけが全く笑っていない。
「ライナは優しいから……この人達を許すかもしれないわね」
「そうね。ライナったら人がいいから……わたしならこんな酷いことを言われたら家ごと潰してやるのだけど、ライナなら許してしまいそうだわ」
俺はライナの友人達の話を聞きながら、こいつらを敵に回したくないとつくづく思った。
ライナは優しいからと誘導してライナへの印象を良くして噂を一気に消すつもりだ。
ーーまぁ確かにライナなら彼らのことを許すだろう。あいつは情に脆く、自分が傷ついても相手を攻撃なんてしない。優しい奴だ。
そんな優しいライナがシエルに対して怒って傷ついている。あいつだけは絶対許さない。
そしてこんな噂話をわざとにさせたリーリエも許さない。
こうしてライナの友人達はライナの知らぬところで動いてくれた。俺は感謝しかなかった。
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