【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。

たろ

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幼馴染の二人。


「お父様、本当にわたしに結婚をしろと?」

「すまない。本当はこの婚約は形だけのものだった。しかし我が家の借金が膨らみ、ロセス公爵が助けてくれる代わりにセレンとスティーブ君との結婚をと求めてきたんだ」

 おじ様にとってわたしは幼い頃亡くなった従妹に似ているのだそうで、とても可愛がってくださる。
 あ、ちなみにわたしはおじ様とは親戚でもなんでもない。赤の他人。

 スティーブは、わたしのひとつ年上の16歳。
 わたしはセレン・コルデイ、伯爵家の長女で15歳。

 スティーブとわたしはいわゆる幼馴染。

 幼い頃、子供達が集められたお茶会で、お菓子のことで喧嘩をした仲だ。

 最後は掴み合いの喧嘩になったのをお父様とおじ様が止めた。
 その時おじ様がわたしの顔を見て「レテーシア!」と叫んだ。
 思わず「わたしの名前はセレン・コルデイです!レテーシアではないわ!失礼よ!」
 スティーブのお父様である公爵閣下に言い返してしまった。

「申し訳ございません」お父様は何度も頭を下げた。

 わたしの頭を何度も手でぐりぐりと押さえ込んで「謝りなさい!」と言うので仕方なく「申し訳ありませんでした」と謝った。

 その後、スティーブにも「公爵子息様になんてことをしたんだ!」と怒られまた謝らされた。

「わたしが食べようとしたお菓子を後ろから押して落とされて怒ったら、文句を言い返してきた公爵令息様、申し訳ありませんでした。
 わたしが言い返したら「うるさい!」とさらに言われたので頭にきて一発ビンタをしたらビンタを返されました。先に手を出して申し訳ありませんでした」

 わたしの謝罪にお父様は「やめなさい!セレン!」と怒り出した。

 公爵閣下は私の腫れて赤くなった頬を見て、「スティーブ!女の子になんてことをするんだ!」と怒ってくれた。

「セレン、すまなかった。あとでしっかり怒っておくから。もし良かったらお詫びにぜひうちの屋敷に遊びにきてくれ」

「え?嫌です。だってこの子、私を睨んでるもの」

「はっ?お前が生意気なんだろう?」

「貴方が謝らないからでしょう?」

「女の子はお淑やかで素直で可愛らしいものなんだ!お前は猿か?顔だって可愛くない……いや、ちょっと、かなり可愛いけど……いや、性格が可愛くないから………やっぱり可愛くないんだ!」

 なんだか最後はぶつぶつ言ってるけどやっぱりムカつく!

「可愛くなくて悪かったわね。わたし意地悪な男の子って大っ嫌いなの!失礼!」

 こうしてわたしとスティーブの出会いはとってもひどいもので終わったのだ。

 その数日後おじ様にお呼ばれをして、公爵家のお屋敷に伺ったが、スティーブは顔を見せなかった。

 ーーよかった、会ってまた言い合いになったらお父様のお顔が真っ赤っかになってしまうもの。

 わたしはお父様とおじ様ともう一人の息子のエディと四人でお茶をした。

 流石に公爵家。紅茶は高級茶葉だしジュースも搾りたてですっごく美味しかった。さらにケーキもクッキーも手が混んでいて見た目も味も最高だった。

 エディはわたしの一つ年下で素直で人懐っこい子だった。一緒にお庭を散歩したり虫取りをして遊んだ。

「セレンって女の子なのに虫が怖くないの?」

「うーん、平気かな?」

「僕と一緒に外で遊んでくれる女の子って初めて出会ったよ。それにお兄様と掴み合いの喧嘩をしたって聞いたからどんな怖い女の子かと思っていたんだ。こんなに可愛いし楽しいから驚いたよ」

「あ、あれは……ついムキになっちゃったの。普段はそんなことしないわ。わたしお母様が亡くなっていてお兄様がいつも遊んでくださるの。だから虫取りや木登りも教えてもらったの」

「えー、いいな、そんなお兄様僕も欲しい」

「わたしのお兄様は優しくてカッコよくて頭もいいの。わたしの自慢のお兄様なの」

「今度僕セレンのお屋敷に遊びに行きたいな」

「是非来てちょうだい」

「うん、今度はお兄様も誘うからみんなで一緒に遊ぼう」

「え?嫌だよ。スティーブ様ってわたしのこと嫌ってるわよね?」

 思わず笑顔が消えてしまった。

「そんなことないよ。お兄様はちょっと照れ屋なんだ。本当はセランのお兄様とおんなじで優しくてかっこよくて頭もいいんだ」

「そう、だよね?ごめんなさい。エディの大切なお兄様を悪く言って」

 二人で仲良く話しながら屋敷に帰っていると、スティーブ様が馬車を降りて屋敷に入るところだった。

「あ!お兄様!」
 エディがスティーブ様を見つけて走り出した。

 慌てて走り出したので足がもつれて転んでしまった。

「エディ!」「大丈夫か?」

 わたしも慌ててエディのところへ行くと、スティーブがわたしを見て怒り出した。

「何故エディに走るなと注意してやらないんだ?エディの膝から血が出ているだろう?」

「ほんと…エディごめんね。痛かったわよね?」

 わたしはエディの膝にそっと手を置いた。

「い、いたっ!」

 エディが痛がるのを聞いて「おい、何するんだ!」と言ってスティーブがわたしの体を押した。
 わたしは尻もちをついて転んだ。

「何をするの?」思わず言い返すと

「君が弟の傷を触ったからだろう?エディ、痛かっただろう」

 スティーブが膝を見ると「えっ?」と驚いてエディの顔を見た。

「エディ……傷が治ってる……」

「だって、エディの怪我痛そうだったから治したんだもの」

「君は…魔法が使えるの?」

「ちょっとだけ……みんなには内緒だよ?お父様に他人には知られないようにしなさいと言われているの……だけどエディが転んだのはわたしの所為だから……それに血が出て痛そうだったし……」

 わたしは両手を合わせて、二人に頭を下げた。

「お願い、誰にも言わないで」

 わたしは二人に何度もお願いをした。

「セレンって凄いんだね。治してくれてありがとう。だけどセレンが困るなら内緒にするよ」エディがニコニコ笑いながら了承してくれた。

「エディの怪我を治してくれて感謝するよ。怒ってすまなかった」

「あら?貴方も謝ることできるのね?」

「君のように喧嘩腰で言われなければ僕だって素直に謝れるよ」

「わたしは別に喧嘩なんて売っていないわ。貴方の態度が酷いからよ」

「僕だって君がビンタをするから……」

「だからって女の子にも同じようにビンタをして返すなんて男としてどうなのかしら?」

「え?お兄様、セレンを叩いたの?」

「あ、いや、エディ……それは、その……」

「お兄様、それはお兄様が悪いと僕は思うよ」

 エディが怒り出した。
 するとスティーブ様は私を睨んで「余計なことを言いやがって」と声を出さずに私に向かって口をぱくぱくさせながら文句を言ってきた。

わたしは、スティーブってエディには弱いんだとわかり、ニヤッと笑い返した。







 

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