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25話 シェリーナは。
ケイン様の婚姻の話はとりあえずお断りした。
だってわたしは15歳だし、いきなり結婚は流石に。
ケイン様にはまだ公爵家嫡男としてわたしなんかより素敵な人が現れるはず。
今日のお茶会さえ終われば領地へ戻れる。
友人達とピクニックでもしてみんなでたくさんおしゃべりをして久しぶりに野原を駆け回れば気分も変わるだろう。
ここみたいに澄まして作り笑顔で暮らす生活はわたしには向いていない。
15歳になってもみんなで大きな声で笑い合ってたくさん本音で話す方が性に合っている。
だから今日お二人の殿下にお会いしてわたしの貴族令嬢としての社交は終わらせるつもり。
おじ様達には悪いけど、平民になりたいと伝えるつもり。
ケイン様からの求婚は断ったのに何度も『愛してる』と言われるたびに、顔が引き攣ってしまう。
だって亡くなった両親以外に人に愛された記憶はない。
やっと………
おじ様とおば様の優しさになんとか慣れ始めたばかりなのに。
ケイン様の言葉はわたしの心を騒つかせる。だけど、受け入れられるものではなかった。
気が重いだけの王族との茶会を笑顔という仮面をつけて終わらせよう。
そう思い、ケイン様のエスコートで参加することになった。
やはりケイン様の言うとおり、お茶会に参加するのはわたし達二人だけだった。
王城内にあるこの庭園は色鮮やかな花花が咲いていて、見ていて元気になりそうだ。どちらかと言うと若いお二人のために造られた庭園だろうと思われた。
「エドウィン殿下、マリアンナ殿下にご挨拶申し上げます」
おば様に厳しく習ったカーテシーを披露した。
うん、なんとか上手くできた。
ホッとしながらも表情は変わらず笑顔の仮面を貼り付けたまま挨拶を続けた。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
隣のケイン様も慣れた感じで挨拶をこなしていた。
気がつくと指定された席はエドウィン殿下の隣にわたし、向かい側のマリアンナ殿下の隣にケイン様だった。
お呼ばれしたわたし達が隣に座っていいのかしら?と思いながらも、否は言えず黙って席に着いた。
ケイン様は一瞬眉を寄せたがすぐに笑顔に戻りマリアンナ殿下の隣に座ると同級生らしく二人は学校の話を始めた。
わたしは田舎の学校だし、王都の学校には期間限定で行く予定だったけどやめたので、なんとなく二人の話が羨ましく感じた。
そしてわたしの方はエドウィン殿下と何を話せばいいのか分からず目の前に置かれた紅茶のカップを手に取りゆっくりと飲み始め、なんとか間を持たせようとした。
「シェリーナ嬢は婚約者はいるの?」
「いえ、おりません」
「そうか、うん。……僕は年内には婚姻を結ぶ相手がいる」
え?まだ、そんな話は発表されていない。流石に噂に疎いわたしでも殿下に婚約者がいないのは知っていた。
「それは………おめでとうございます。一臣下といたしまして心からお祝い申し上げます」
エドウィン殿下のお顔を見ながらニコリと微笑みお祝いの言葉を言った。
笑顔の仮面はおば様に教わったわたしの唯一の武器であり守りの盾でもある。
この国の王子様として尊敬はしていても、実は……隣にいるだけで変な汗が出ている。
じっとりと気持ち悪い生汗が。
だんだん気分が悪くなる。まだお茶会は始まったばかりなのに。
前の二人を見るとケイン様はマリアンナ殿下と楽しそうに話し込んでいた。
マリアンナ殿下はケイン様の近くまで顔を近づける。ケイン様もわたし達の方に顔を向けることなくマリアンナ殿下だけを見つめている。
わたしはエドウィン殿下に目を離してもらえず見つめられ、これ以上笑顔をどう取り繕えばいいのかわからなくなっていた。
「ねぇ?シェリーナ嬢?」
「は、はい」
「僕が結婚したら君を側妃として迎え入れたいんだ」
「はい???」
ケイン様が結婚しようと言った言葉よりエドウィン殿下の「側妃」と言う言葉の方があまりにも唐突で思わず変な叫び声が出てしまった。
「あ、あの、エドウィン殿下、わたしは領地は公爵家に譲りそのままお願いして、両親の爵位を返上して平民になるつもりなんです」
「平民?それは駄目だ。君は一生僕のものだから、ね?」
「あ、それは……ちょっと、違うと思います。わたしは、誰のものでもありません。それに貴族の生活は得意ではないので、一人でのんびり田舎暮らしをするつもりなんです」
「それはケインからの指示?僕から君を遠ざけるため?」
「違います!」
だってわたしは15歳だし、いきなり結婚は流石に。
ケイン様にはまだ公爵家嫡男としてわたしなんかより素敵な人が現れるはず。
今日のお茶会さえ終われば領地へ戻れる。
友人達とピクニックでもしてみんなでたくさんおしゃべりをして久しぶりに野原を駆け回れば気分も変わるだろう。
ここみたいに澄まして作り笑顔で暮らす生活はわたしには向いていない。
15歳になってもみんなで大きな声で笑い合ってたくさん本音で話す方が性に合っている。
だから今日お二人の殿下にお会いしてわたしの貴族令嬢としての社交は終わらせるつもり。
おじ様達には悪いけど、平民になりたいと伝えるつもり。
ケイン様からの求婚は断ったのに何度も『愛してる』と言われるたびに、顔が引き攣ってしまう。
だって亡くなった両親以外に人に愛された記憶はない。
やっと………
おじ様とおば様の優しさになんとか慣れ始めたばかりなのに。
ケイン様の言葉はわたしの心を騒つかせる。だけど、受け入れられるものではなかった。
気が重いだけの王族との茶会を笑顔という仮面をつけて終わらせよう。
そう思い、ケイン様のエスコートで参加することになった。
やはりケイン様の言うとおり、お茶会に参加するのはわたし達二人だけだった。
王城内にあるこの庭園は色鮮やかな花花が咲いていて、見ていて元気になりそうだ。どちらかと言うと若いお二人のために造られた庭園だろうと思われた。
「エドウィン殿下、マリアンナ殿下にご挨拶申し上げます」
おば様に厳しく習ったカーテシーを披露した。
うん、なんとか上手くできた。
ホッとしながらも表情は変わらず笑顔の仮面を貼り付けたまま挨拶を続けた。
「本日はお招きいただきありがとうございます」
隣のケイン様も慣れた感じで挨拶をこなしていた。
気がつくと指定された席はエドウィン殿下の隣にわたし、向かい側のマリアンナ殿下の隣にケイン様だった。
お呼ばれしたわたし達が隣に座っていいのかしら?と思いながらも、否は言えず黙って席に着いた。
ケイン様は一瞬眉を寄せたがすぐに笑顔に戻りマリアンナ殿下の隣に座ると同級生らしく二人は学校の話を始めた。
わたしは田舎の学校だし、王都の学校には期間限定で行く予定だったけどやめたので、なんとなく二人の話が羨ましく感じた。
そしてわたしの方はエドウィン殿下と何を話せばいいのか分からず目の前に置かれた紅茶のカップを手に取りゆっくりと飲み始め、なんとか間を持たせようとした。
「シェリーナ嬢は婚約者はいるの?」
「いえ、おりません」
「そうか、うん。……僕は年内には婚姻を結ぶ相手がいる」
え?まだ、そんな話は発表されていない。流石に噂に疎いわたしでも殿下に婚約者がいないのは知っていた。
「それは………おめでとうございます。一臣下といたしまして心からお祝い申し上げます」
エドウィン殿下のお顔を見ながらニコリと微笑みお祝いの言葉を言った。
笑顔の仮面はおば様に教わったわたしの唯一の武器であり守りの盾でもある。
この国の王子様として尊敬はしていても、実は……隣にいるだけで変な汗が出ている。
じっとりと気持ち悪い生汗が。
だんだん気分が悪くなる。まだお茶会は始まったばかりなのに。
前の二人を見るとケイン様はマリアンナ殿下と楽しそうに話し込んでいた。
マリアンナ殿下はケイン様の近くまで顔を近づける。ケイン様もわたし達の方に顔を向けることなくマリアンナ殿下だけを見つめている。
わたしはエドウィン殿下に目を離してもらえず見つめられ、これ以上笑顔をどう取り繕えばいいのかわからなくなっていた。
「ねぇ?シェリーナ嬢?」
「は、はい」
「僕が結婚したら君を側妃として迎え入れたいんだ」
「はい???」
ケイン様が結婚しようと言った言葉よりエドウィン殿下の「側妃」と言う言葉の方があまりにも唐突で思わず変な叫び声が出てしまった。
「あ、あの、エドウィン殿下、わたしは領地は公爵家に譲りそのままお願いして、両親の爵位を返上して平民になるつもりなんです」
「平民?それは駄目だ。君は一生僕のものだから、ね?」
「あ、それは……ちょっと、違うと思います。わたしは、誰のものでもありません。それに貴族の生活は得意ではないので、一人でのんびり田舎暮らしをするつもりなんです」
「それはケインからの指示?僕から君を遠ざけるため?」
「違います!」
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