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番外編⑤
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ハリス様はわたしを心配してくれていた。
その事実がとても嬉しい。
でもどうして留学で我が家に来たばかりのハリス様がわたしの学校でのことを知っているのだろう……
聞こうとするとハリス様は話を逸らした。
そして……すぐにお兄様と何処かへ行ってしまう。
何かを隠されているような………
それに何故先生達数人にこんな酷いことをされなければいけないのか……
屋敷に帰るとお兄様が慌ててわたしの部屋へとやってきた。
「パトリーナ?大丈夫か?どこも怪我はないか?変なことをされてはいないか?」
「だ、大丈夫です。ハリス様が助けてくれましたので」
ーー少し胸を触られたこと、頬を舐められたことは内緒にした。
あんなこと誰にも言いたくない。
お兄様は「あの学校の先生達数人は警察に捕まった、クリスが証拠を集めてくれていたんだ。気づいてやれなくてすまなかった。
パトリーナ、辛い時は辛いと言ってくれ!知らなかったでもう終わりたくはないんだ、もう後悔はしたくない」
お兄様は何度もわたしの頭を優しく撫でてくれた。
その時のお兄様の顔はわたしを見ているはずなのに、どこか悲しげでわたしではないわたしを見ているような気がした。
ハリス様は最近留学で学校が忙しいはずなのに、学校の送りと迎えを毎日してくれるようになった。
「あ、あの、護衛もいますので大丈夫ですよ?」
「そんな訳ないだろう?大丈夫ならあんなことにはならない。あと少し、待っててね」
意味ありげな言葉。
「え?あ、はい」
ハリス様もお兄様と同じ。わたしを見ているのにわたしを見ていない、どこか遠くを見ている気がする。
わたしを見る時のハリス様はとても優しくて、なのにいつも辛そうにしている。
ーーわたしが何かしたのかしら?
でもお兄様と同様に何故かその理由を聞いてはいけない気がする。
あの事件以来、学校でのわたしへの風当たりはなくなった。
先生達は学長に呼び出され、一人の生徒への強行な体罰や嫌がらせに対して調べられた。
その結果………
ある生徒と体の関係を持ち、わたしがその生徒を虐めて酷いことをしていると聞き、わたしへの酷い態度に至ったらしい。
その生徒は泣きながら先生に訴えてあまりにも泣き方や話が本当のことに感じて信じこんだと聞いた。
ただ、どの先生も頑なにその生徒の名前は言わないらしい。
そして先生達は警察に捕まり、学校も解雇された。
捕まった理由は未成年にわいせつな行為を行った淫行罪だった。わたしへの嫌がらせをした先生5人。
だけどその生徒は今も学校にいる。
誰?どうして?わたしに何か恨みがあるのだろうか?わたしに強姦しようとした先生もその彼女のためだったと言ったらしい。
ーーマーガレット様?何故か頭に浮かぶのは彼女のこと。
疑ってはいけないのに、近くにいるだけでゾッとすることが度々ある。
彼女のわたしを見る目は恐ろしいものがある。
そして最近はあからさまにジェシー様がマーガレット様を無視している。
彼女がどんなに甘えて話しかけてもジェシー様は冷たい態度であしらっている。
「パトリーナ様!調子に乗らないでくださいね、貴方なんて誰にも愛されていないのだから!」
ジェシー様に冷たい態度を取られるたびにわたしに何か文句を言ってくるマーガレット様。
友人達は「話しかけてこないで!」とマーガレット様から守ってくれる。
ずっと彼女や先生達からの嫌がらせからわたしを守ろうとする友人達にずっと感謝をしている。
そんなある日、いつものように学校で勉強をしていると体調が悪くなり倒れてしまった。
胸が苦しい、歩くのも辛い。
最近よく体調が悪くなっていた、でも、こんなにキツくなるなんて……
医務室へ運ばれてぐったりしてベッドに眠っているわたしに忍び寄る影。
わたしは苦しくて意識が朦朧としていた。
「ふふ、今回も倒れたのね?息が苦しそう、肺の病気かしら?余命は半年?今回はみんなに大切にされて調子に乗って、幸せそうな顔がムカつくのよ!あんたなんか不幸だらけの中で死ぬのが似合っているのよ!」
ーーこの声は……マーガレット様?
「わたしなんてまた男爵令嬢よ?それもまた貧しい。あんたは今度は侯爵令嬢でみんなから愛されて……ジェシーなんてあんたのことを思い出した瞬間からわたしのことを見てくれなくなったのよ!あんたなんか邪魔なの!さっさと死んでちょうだい!」
そう言うとわたしの顔を近くにあったタオルで何度も叩いた。
タオルとはいえ痛い。なのに気分が悪くて苦しくて言葉が出ない……目も開けられない……
「何をしているんだ!やめろ!」
この声は………
「ジェシーがいけないのよ!わたしのことを見てくれないから!なんでこんな女がいいの?今回は婚約者でもないし接点なんてないんだから諦めたらいいじゃない!こんな女死ねばいいのよ!どうせ今回も生きられないのだし!」
ーー生きられない?何を言っているのだろう?
「彼女はパトリーナだけど僕たちの知っているパトリーナではない。だから彼女には記憶がないだろう?マーガレットだってこんなことしても無駄だとわかっているだろう?前世の時だって彼女は僕たちの幸せを願って死んでいったんだ。今回なんて僕たちと関わりすらない。関わる必要なんてないんだ」
「わたしは幸せになりたいの!わたしの幸せの邪魔になるこんな女なんて目触りなだけよ!」
「いい加減にしろ!」
バシッ‼︎
「…どうして?わたしが叩かれないといけないの?ジェシーは前回だってわたしを愛してくれなかったわ、ずっと愛していたのはパトリーナだった。死んだ女にわたしは永遠に勝てない、そしてあんたから逃げ出したわたしは死ぬまで男達の慰み者として生きなければいけなかったの。全てこの女の所為よ!
だから先生達を懐柔してパトリーナに対して酷い態度をとるようにさせたり悪い噂を流したの!なのに今回はパトリーナを守ろうとする友人がいて邪魔をするの!前回は誰も彼女のそばにいなかったのに!」
「パトリーナから離れて!」
「近寄らないで!」
友人達の声が聞こえた。
その事実がとても嬉しい。
でもどうして留学で我が家に来たばかりのハリス様がわたしの学校でのことを知っているのだろう……
聞こうとするとハリス様は話を逸らした。
そして……すぐにお兄様と何処かへ行ってしまう。
何かを隠されているような………
それに何故先生達数人にこんな酷いことをされなければいけないのか……
屋敷に帰るとお兄様が慌ててわたしの部屋へとやってきた。
「パトリーナ?大丈夫か?どこも怪我はないか?変なことをされてはいないか?」
「だ、大丈夫です。ハリス様が助けてくれましたので」
ーー少し胸を触られたこと、頬を舐められたことは内緒にした。
あんなこと誰にも言いたくない。
お兄様は「あの学校の先生達数人は警察に捕まった、クリスが証拠を集めてくれていたんだ。気づいてやれなくてすまなかった。
パトリーナ、辛い時は辛いと言ってくれ!知らなかったでもう終わりたくはないんだ、もう後悔はしたくない」
お兄様は何度もわたしの頭を優しく撫でてくれた。
その時のお兄様の顔はわたしを見ているはずなのに、どこか悲しげでわたしではないわたしを見ているような気がした。
ハリス様は最近留学で学校が忙しいはずなのに、学校の送りと迎えを毎日してくれるようになった。
「あ、あの、護衛もいますので大丈夫ですよ?」
「そんな訳ないだろう?大丈夫ならあんなことにはならない。あと少し、待っててね」
意味ありげな言葉。
「え?あ、はい」
ハリス様もお兄様と同じ。わたしを見ているのにわたしを見ていない、どこか遠くを見ている気がする。
わたしを見る時のハリス様はとても優しくて、なのにいつも辛そうにしている。
ーーわたしが何かしたのかしら?
でもお兄様と同様に何故かその理由を聞いてはいけない気がする。
あの事件以来、学校でのわたしへの風当たりはなくなった。
先生達は学長に呼び出され、一人の生徒への強行な体罰や嫌がらせに対して調べられた。
その結果………
ある生徒と体の関係を持ち、わたしがその生徒を虐めて酷いことをしていると聞き、わたしへの酷い態度に至ったらしい。
その生徒は泣きながら先生に訴えてあまりにも泣き方や話が本当のことに感じて信じこんだと聞いた。
ただ、どの先生も頑なにその生徒の名前は言わないらしい。
そして先生達は警察に捕まり、学校も解雇された。
捕まった理由は未成年にわいせつな行為を行った淫行罪だった。わたしへの嫌がらせをした先生5人。
だけどその生徒は今も学校にいる。
誰?どうして?わたしに何か恨みがあるのだろうか?わたしに強姦しようとした先生もその彼女のためだったと言ったらしい。
ーーマーガレット様?何故か頭に浮かぶのは彼女のこと。
疑ってはいけないのに、近くにいるだけでゾッとすることが度々ある。
彼女のわたしを見る目は恐ろしいものがある。
そして最近はあからさまにジェシー様がマーガレット様を無視している。
彼女がどんなに甘えて話しかけてもジェシー様は冷たい態度であしらっている。
「パトリーナ様!調子に乗らないでくださいね、貴方なんて誰にも愛されていないのだから!」
ジェシー様に冷たい態度を取られるたびにわたしに何か文句を言ってくるマーガレット様。
友人達は「話しかけてこないで!」とマーガレット様から守ってくれる。
ずっと彼女や先生達からの嫌がらせからわたしを守ろうとする友人達にずっと感謝をしている。
そんなある日、いつものように学校で勉強をしていると体調が悪くなり倒れてしまった。
胸が苦しい、歩くのも辛い。
最近よく体調が悪くなっていた、でも、こんなにキツくなるなんて……
医務室へ運ばれてぐったりしてベッドに眠っているわたしに忍び寄る影。
わたしは苦しくて意識が朦朧としていた。
「ふふ、今回も倒れたのね?息が苦しそう、肺の病気かしら?余命は半年?今回はみんなに大切にされて調子に乗って、幸せそうな顔がムカつくのよ!あんたなんか不幸だらけの中で死ぬのが似合っているのよ!」
ーーこの声は……マーガレット様?
「わたしなんてまた男爵令嬢よ?それもまた貧しい。あんたは今度は侯爵令嬢でみんなから愛されて……ジェシーなんてあんたのことを思い出した瞬間からわたしのことを見てくれなくなったのよ!あんたなんか邪魔なの!さっさと死んでちょうだい!」
そう言うとわたしの顔を近くにあったタオルで何度も叩いた。
タオルとはいえ痛い。なのに気分が悪くて苦しくて言葉が出ない……目も開けられない……
「何をしているんだ!やめろ!」
この声は………
「ジェシーがいけないのよ!わたしのことを見てくれないから!なんでこんな女がいいの?今回は婚約者でもないし接点なんてないんだから諦めたらいいじゃない!こんな女死ねばいいのよ!どうせ今回も生きられないのだし!」
ーー生きられない?何を言っているのだろう?
「彼女はパトリーナだけど僕たちの知っているパトリーナではない。だから彼女には記憶がないだろう?マーガレットだってこんなことしても無駄だとわかっているだろう?前世の時だって彼女は僕たちの幸せを願って死んでいったんだ。今回なんて僕たちと関わりすらない。関わる必要なんてないんだ」
「わたしは幸せになりたいの!わたしの幸せの邪魔になるこんな女なんて目触りなだけよ!」
「いい加減にしろ!」
バシッ‼︎
「…どうして?わたしが叩かれないといけないの?ジェシーは前回だってわたしを愛してくれなかったわ、ずっと愛していたのはパトリーナだった。死んだ女にわたしは永遠に勝てない、そしてあんたから逃げ出したわたしは死ぬまで男達の慰み者として生きなければいけなかったの。全てこの女の所為よ!
だから先生達を懐柔してパトリーナに対して酷い態度をとるようにさせたり悪い噂を流したの!なのに今回はパトリーナを守ろうとする友人がいて邪魔をするの!前回は誰も彼女のそばにいなかったのに!」
「パトリーナから離れて!」
「近寄らないで!」
友人達の声が聞こえた。
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