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さよならのかわりに ブロアとセフィルの恋ーーあなたを愛していますーー
朝起きたら追い出されました
お父様から屋敷を出るように言われ次の日に先生のところへむかった。
「先生、わたくしがこの国を出るまでのお薬をいただけないでしょうか?ここに……少しですがお金を置いていきます……足りない分はサイロに銀行の書類を渡しているので請求してください……わたくしすぐにでもこの国を発たなければいけないのです」
お父様に今日には出て行くように言われた。
元々セフィルとの婚約解消をしたらこの国を出るつもりだったので準備はしてあった。
「ブロア様……あと半年……治療薬の目処が立そうなんです……」
焦ってなんとかわたくしを止めようとする先生。
わたくしは首を横に振った。
「お父様にこの国を出て行けと言われました……わたくしは王太子殿下に不敬な発言をしてしまいました……早くこの国を出ていかなければ宰相をしているお父様や次期公爵になるお兄様にご迷惑をおかけすることになります」
ーーそれに疲れた………
この20年間……幸せだったのは……笑うことができたのは……お母様が生きている頃だけ……
そろそろお母様のところへ行ってもいいんじゃないかしら?
わたくし………頑張ったの……どんなにお父様やお兄様がわたくしを見ようとしなくても、頑張れば……褒めてくれるかも、わたくしの存在を思い出してくれるかも……期待なんてしない、そんなふうな態度を取っていたくせに、本当は振り向いて欲しかった。
『ブロア』と優しく呼んで欲しかった。
わたくしが婚約破棄された時や、今回のようにセフィルとのことや殿下のことがあったからわたくしと仕方なく会話をすることになったお父様。
明らかにわたくしとの会話を面倒だと言っている姿にしか見えない。
目も合わせてくれない、会話もいつも怒っていて顰めっ面……もう……疲れてしまった。
余命一年……そんなに頑張っていきなくてもいい。そう思った……だけど唯一の心残りが『海を見ること』……一度でいいから海を見てみたい。
川や湖とは違う海を……
幼い頃、お母様が読んでくれた絵本の中で出てくる、海に住むお姫様のお話……愛する人と幸せにはなれなかったけど、海の中でに溶けて消えて……今も海の中で……幸せにずっと眠り続けている……そんなお話に憧れていた。
わたくしも愛する人と結ばれることはないけど……海を見ながら死ねるなら……幸せに眠り続けられるかもしれない。
「ブロア様……諦めないでください……まだ治療薬は出来ていません、でもあと少し……あと少しなんです……奥様がお亡くなりになってからずっとこの奇病の治療薬を作るために研究してきたんです」
「先生……わたくしのために頑張ってくださってありがとうございます……でももうそんな苦労はしないで……」
先生はわたくしが発病してからは患者さんの診察もあるのに寝る間も惜しんで治療薬を作るために頑張ってくださっているのを知っている。
「ブロア様のためだけじゃないんです、この奇病に苦しむ人たちの治療薬が出来れば苦しまずに生きていけるんです。どれだけの人を救えるのか……薬の応用で他の病気だって治るかもしれないんです」
「そうね……この病気で苦しんでいるのはわたくしだけではないのよね?」
ーーただ圧倒的に少ないだけ……
それくらい珍しい病気なの……先生だから病名がわかったけど、この奇病の名前すら知らないお医者様の方が多いだろう。
「どこにいかれるのですか?」
「海を見にいきたい……だから……そうね……一月分もあればいいと思うの……お薬お願い出来るかしら?」
「………わかりました……ご一緒しましょう。病院は息子に任せることができますがブロア様のことはわたししか治療できません」
「先生、そんな無理をしなくていいのです……わたくし、サイロもウエラも置いて一人で旅立つ予定なんです……二人にはまだ何も伝えていないんです」
「あれだけ尽くしてくれる二人を置いて行くのですか?」
「ええ、尽くしてくれたからこそわたくしの犠牲になって欲しくないのです……お父様にも今日中に出て行くように言われました……もう公爵令嬢としては失格なんです」
「公爵が出て行けと?…………………そんなはずはないのに……何かの間違いでは……
先生は考え込みながら一人ぶつぶつと言い始めた」
わたくしの粘りで先生は薬を処方してくれることになった。
「このままもう出て行くつもりなんですか?」
「ええ、わたくし今日から……平民でただのブロアなんです……」
「では、その……ブロア様……今日すぐにそんなに大量の薬は用意出来ません……ですので今日は妻の手料理でも食べて、明日の朝旅立つのはどうでしよか?」
「………いつも差し入れしていただいていつも感謝しているの……お時間があったらご挨拶だけでもしたいわ……わたくし、ではどこか宿にでも泊まるようにしないといけないわね。ねえ先生宿ってどこにあるのかしら?」
「ブロア様……宿すらわからない、それも体調も芳しくないのに……一人旅など無謀です、旦那様も馬車くらいなら用意してくださるのでは?」
「お父様はお忙しくてすぐに王城内へ帰っていかれたわ……我が家の執事は……先生もご存知のとおり、わたくしのことをあまりよく思っていないのよ……必要なものだけ渡されて……カバン一つだけで出てきたの」
執事に朝起きて「こちらを」と有無を言わせず渡された。流石に「早くない?」と突っ込みそうになったわ。これもお父様の指示かしら?
『朝になったらさっさと追い出せ!』なんて言ったのかしら?
「お金は?大丈夫なんですか?」
先生はわたくしのことを心配してくれている。
「大丈夫よ、お母様から遺産を受け取っているの、銀行に預けているわ。サイロにお願いしているの、だから薬代も払えるわ。わたくしのこれから必要なお金はほら見て?」
カバンから小さな袋を取り出した。そこには以前殿下にプレゼントされた高級な指輪やネックレスやブローチがいくつか入っていた。
多分平民なら一生暮らしていけるだろうし、貴族も小さなタウンハウスくらいなら買えるかしら?
我が家の使用人達は信用できないのでいつもこれらは盗られないように袋に入れて身につけて持っていた。
「先生、だから心配しないでくださいな、わたくし………(死に場所に)自分で行けます、ただ……このあたりの宿がわからないだけよ?」
「はあ………今日は我が家にお泊りください。明日までに薬は用意します」
「………迷惑かけてごめんなさい」
「ブロア様……迷惑などと思っておりません……あなたが生まれた時から見守ってきているのです……孫のような気持ちでいます……少しは甘えてください」
「先生、わたくしがこの国を出るまでのお薬をいただけないでしょうか?ここに……少しですがお金を置いていきます……足りない分はサイロに銀行の書類を渡しているので請求してください……わたくしすぐにでもこの国を発たなければいけないのです」
お父様に今日には出て行くように言われた。
元々セフィルとの婚約解消をしたらこの国を出るつもりだったので準備はしてあった。
「ブロア様……あと半年……治療薬の目処が立そうなんです……」
焦ってなんとかわたくしを止めようとする先生。
わたくしは首を横に振った。
「お父様にこの国を出て行けと言われました……わたくしは王太子殿下に不敬な発言をしてしまいました……早くこの国を出ていかなければ宰相をしているお父様や次期公爵になるお兄様にご迷惑をおかけすることになります」
ーーそれに疲れた………
この20年間……幸せだったのは……笑うことができたのは……お母様が生きている頃だけ……
そろそろお母様のところへ行ってもいいんじゃないかしら?
わたくし………頑張ったの……どんなにお父様やお兄様がわたくしを見ようとしなくても、頑張れば……褒めてくれるかも、わたくしの存在を思い出してくれるかも……期待なんてしない、そんなふうな態度を取っていたくせに、本当は振り向いて欲しかった。
『ブロア』と優しく呼んで欲しかった。
わたくしが婚約破棄された時や、今回のようにセフィルとのことや殿下のことがあったからわたくしと仕方なく会話をすることになったお父様。
明らかにわたくしとの会話を面倒だと言っている姿にしか見えない。
目も合わせてくれない、会話もいつも怒っていて顰めっ面……もう……疲れてしまった。
余命一年……そんなに頑張っていきなくてもいい。そう思った……だけど唯一の心残りが『海を見ること』……一度でいいから海を見てみたい。
川や湖とは違う海を……
幼い頃、お母様が読んでくれた絵本の中で出てくる、海に住むお姫様のお話……愛する人と幸せにはなれなかったけど、海の中でに溶けて消えて……今も海の中で……幸せにずっと眠り続けている……そんなお話に憧れていた。
わたくしも愛する人と結ばれることはないけど……海を見ながら死ねるなら……幸せに眠り続けられるかもしれない。
「ブロア様……諦めないでください……まだ治療薬は出来ていません、でもあと少し……あと少しなんです……奥様がお亡くなりになってからずっとこの奇病の治療薬を作るために研究してきたんです」
「先生……わたくしのために頑張ってくださってありがとうございます……でももうそんな苦労はしないで……」
先生はわたくしが発病してからは患者さんの診察もあるのに寝る間も惜しんで治療薬を作るために頑張ってくださっているのを知っている。
「ブロア様のためだけじゃないんです、この奇病に苦しむ人たちの治療薬が出来れば苦しまずに生きていけるんです。どれだけの人を救えるのか……薬の応用で他の病気だって治るかもしれないんです」
「そうね……この病気で苦しんでいるのはわたくしだけではないのよね?」
ーーただ圧倒的に少ないだけ……
それくらい珍しい病気なの……先生だから病名がわかったけど、この奇病の名前すら知らないお医者様の方が多いだろう。
「どこにいかれるのですか?」
「海を見にいきたい……だから……そうね……一月分もあればいいと思うの……お薬お願い出来るかしら?」
「………わかりました……ご一緒しましょう。病院は息子に任せることができますがブロア様のことはわたししか治療できません」
「先生、そんな無理をしなくていいのです……わたくし、サイロもウエラも置いて一人で旅立つ予定なんです……二人にはまだ何も伝えていないんです」
「あれだけ尽くしてくれる二人を置いて行くのですか?」
「ええ、尽くしてくれたからこそわたくしの犠牲になって欲しくないのです……お父様にも今日中に出て行くように言われました……もう公爵令嬢としては失格なんです」
「公爵が出て行けと?…………………そんなはずはないのに……何かの間違いでは……
先生は考え込みながら一人ぶつぶつと言い始めた」
わたくしの粘りで先生は薬を処方してくれることになった。
「このままもう出て行くつもりなんですか?」
「ええ、わたくし今日から……平民でただのブロアなんです……」
「では、その……ブロア様……今日すぐにそんなに大量の薬は用意出来ません……ですので今日は妻の手料理でも食べて、明日の朝旅立つのはどうでしよか?」
「………いつも差し入れしていただいていつも感謝しているの……お時間があったらご挨拶だけでもしたいわ……わたくし、ではどこか宿にでも泊まるようにしないといけないわね。ねえ先生宿ってどこにあるのかしら?」
「ブロア様……宿すらわからない、それも体調も芳しくないのに……一人旅など無謀です、旦那様も馬車くらいなら用意してくださるのでは?」
「お父様はお忙しくてすぐに王城内へ帰っていかれたわ……我が家の執事は……先生もご存知のとおり、わたくしのことをあまりよく思っていないのよ……必要なものだけ渡されて……カバン一つだけで出てきたの」
執事に朝起きて「こちらを」と有無を言わせず渡された。流石に「早くない?」と突っ込みそうになったわ。これもお父様の指示かしら?
『朝になったらさっさと追い出せ!』なんて言ったのかしら?
「お金は?大丈夫なんですか?」
先生はわたくしのことを心配してくれている。
「大丈夫よ、お母様から遺産を受け取っているの、銀行に預けているわ。サイロにお願いしているの、だから薬代も払えるわ。わたくしのこれから必要なお金はほら見て?」
カバンから小さな袋を取り出した。そこには以前殿下にプレゼントされた高級な指輪やネックレスやブローチがいくつか入っていた。
多分平民なら一生暮らしていけるだろうし、貴族も小さなタウンハウスくらいなら買えるかしら?
我が家の使用人達は信用できないのでいつもこれらは盗られないように袋に入れて身につけて持っていた。
「先生、だから心配しないでくださいな、わたくし………(死に場所に)自分で行けます、ただ……このあたりの宿がわからないだけよ?」
「はあ………今日は我が家にお泊りください。明日までに薬は用意します」
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