【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ

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40話  ラフェ

 ◇ ◇ ◇  ラフェ

 外がなんだか騒がしい。

 仕事の手を止めて、玄関の方へ行く。

「おかあしゃん、たっだいま!」

 アルバードが手を繋いで入ってきたのは………

「アーバン?」

 久しぶりのアーバンを見て思わず驚いてお互いしばらく声が出なかった。

「「…………」」


「あっ、やあ、その、うん、……久しぶり……」

 アーバンはわたしから目線を逸らして部屋の中をチラッと見ていた。

「アル?どうして一緒におじちゃんと入ってきたのかな?」
 わたしはしゃがんでアルと目線を合わせた。

「うんとねぇ、おじちゃん、あっちでみんなにおこられてたからたすけてあげたの」
 誇らしげに話すアルバード。

「怒られてた?アーバンったら何したの?」
 アーバンを見上げながら呆れて言うと。

「いや、ラフェの家の様子を見てたら変な奴と間違えられて、親戚だと言ったら今度は何今までしてたんだって怒られて、アルが助けてくれたんだ。なっ?」

「うん、ぼくきしになりたいから」

「そっか、アルは騎士になりたいのか?」
 アーバンは楽しそうに頷いた。

「ギュレンかっこいいの」

「ギュレン?」

「うん、おともだちなの」

「そう、アルバードはお友達の騎士様に憧れてるの。アル、このおじちゃんも騎士様なのよ?」

「ほぉんと?すっごいね」
 騎士と聞いただけで目をキラキラさせてアーバンを見るアルバードにわたしはクスッと笑った。

「何もないけどお茶くらい出すわ。どうぞ中に入って座ってちょうだい」

 アーバンを中に入れて扉を閉めようとしたら外で近所のおじちゃん達がこちらをじっと見ていた。

 心配して様子を窺ってくれているようだ。

 わたしはみんなに向かってにこりと笑い頭をぺこっとさげた。

 そしたら少し安心したのか手を振ってくれた。

 そして扉を閉めた。

 お湯を沸かし紅茶を淹れる。

「どうぞアーバン」

 アルバードにはミルクをカップに半分くらいいれて渡した。

「アルもいっしょにおはなしするの」

 何故かアーバンの隣に座りニコニコとしているアルバード。

「で、今日突然来た理由は何かしら?」

「あっ………うん、ずっと気になっていたんだ。だけどあんな別れ方をしたから今更会いにくるのは………と思ってずっと会いに来れなくて……」

「別にアーバンが悪いわけではないわ」

「ベルのことも謝りたかった。あいつ、ラフェに意地悪なこと言ってたらしいな。すまなかった、気づいてやれなくて」

「もう過ぎたことだわ」

「本当にすまなかった。ラフェを傷つけて」

「もういいの、で、結婚報告?」

「違う。あいつとはあの後すぐ別れた」

「え?そうだったの?」
 アーバン達のことは何も知らなかった。知ろうとも思わなかったし。



「おじ様とおば様のお二人は元気にしているの?」

「あーー、うん、まぁ元気……かな。色々あってあの屋敷は手放したんだ。今は借家住まいをしてる。色々あったんだ」

 アーバンは言いにくそうにしていたのでこれ以上は話を聞くのをやめた。

 あの屋敷を手放したなんてかなり大変なことがあったのだろう。だけど縁を切ったわたしには関係のないことで興味本位で聞いてはいけないことだろう。
 そう思い「そうなのね」としか言わなかった。

 アルは大人の会話をキョトンとして聞いていた。

「おかあしゃん、おじちゃんはアルのおとうしゃん?」

 突然のアルバードの言葉に
「え?なに?違うわよ」
「アル、俺はおじさんなんだ!」

「おじしゃんはおじしゃんなの?」

「そうよ、叔父さんなの。アルに言っても難しいわよね?」

「よくわかんないけどアルのおじしゃんねっ」

「そうだな、アルのおじしゃんだ。アルに会えてよかった。ずっと気になってたのに会う勇気がなく……今度来る時は何か持って来るよ、アルは何がいい?」

「うーんとね、けーき、たべたい」

「わかった、次は必ずケーキを買ってくる」

 ーーまた会いにくるつもりなの?

 思わず突っ込みたくなったけど、アルバードの前でそんなこと言ったら悲しみそうだから黙っていた。

「ラフェ、元気な姿が見れてホッとした。……迷惑なことはわかってる。だけどアルに少しでも何かさせて欲しい。今までしてやれなかったから」

「………お金大丈夫なの?」
 屋敷を手放したんだからお金もないんじゃないの?

「心配しないでくれ、これでも一応副隊長になって頑張ってるんだ。それに母上の借金も全て返済出来たしこれからは地道に暮らしていくよ、ラフェこそ生活は苦しくないか?
 母上のせいで詐取されたお金、少しずつでも払わせて欲しい。本当はそれを言いに来たんだ」

 アルバードの前だから言わなかった。アーバンはそう言ってたけど、わたしは断った。

 元々そんなお金、あの時点で期待するのをやめた。おかげで貧しくても二人で生きてきたもの。

「アーバン、貴方からの援助は必要ないわ。確かに貧しい生活かもしれない。だけど二人で生きていけるの」

ーーもうこないで。

その一言を言いたかったけどアルが
「またきてね。つぎはいつくるの?」
と約束してしまったからその言葉は言い出せなかった。





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