【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ

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41話  グレン

  ◆ ◇ ◆  グレン

「おい、今からコスナー領へ向かう。何人かすぐ行ける奴を手配してくれ」

 俺は仕事の合間に騎士団に向かい、副隊長に声を掛けた。

「えっ?すぐにですか?」

「たぶん一月程はかかるだろうから独身で身軽な奴を頼む」

「承知しました。団長」

「じゃあ明日の朝には立つつもりだ」






 夜遅くに仕事を終わらせ屋敷に帰ると、とりあえずラフェに手紙を書いた。

『また二人に会いに行きたいと思っている。アルにまた手紙をかいて欲しい』と簡単に書いて執事に届けてもらうように頼んだ。

 会った時にたくさん話そう。
 ラフェにも伝えたい。だから手紙には何も書かずにいた。

 今この辺境伯地で子供達が好んで読んでいる絵本とアルが使っている木の剣より、もう少し立派な木の剣を一緒に送ってもらうように頼んだ。

 いつもは王都のタウンハウスから送るので食べ物が多かった。今回は俺が作った木の剣と絵本。
 アルは喜んでくれるだろうか。

 そんなことを思いながら少しだけ仮眠をとり、数人の騎士を連れて朝早くにコスナー領へと向かった。




 コスナー領までは辺境伯地からなら単馬で一日中内には着く。
 すぐに宿に入り、遅い夕食を食べた。

 宿は商会の人間が前もって押さえてくれていた。この宿は商会が運営している宿で俺たちが出入りしても怪しまれることはない。

 俺たちは商会の使用人としてこの領地で過ごすことにした。

「グレン様、来ていただいて助かりました」

 商会の会頭のビクターとはもちろん旧知の仲だが、今回は俺はこき使われる使用人として過ごすことになった。

「ここでは俺は平民のグレンだ。他の者達もみんなビクターの足となり動くつもりだ。よろしく頼む」

「わかりました、早速ですが街の中に今こんな薬が流行っているのです」

 見せられた薬はピンク色の粉が瓶に入っていた。

「これは?」

「最近隣国の男達がこの領地に入り込んできて商売を始めて売り始めた薬なんです」

「勝手にそんなことが出来るのか?」

「ここに住んでいる領主の娘が許可を出したようです」

「領主でもない娘がそんなこと出来るのか?」

「娘婿が優秀らしくこの領地を任されております。ただその婿さんも嫁には頭が上がらないらしく嫁の我儘をつい聞いてしまうらしいのです」

「どこも同じだな、嫁のほうが旦那より強いんだからな」

「まぁここの娘は結婚してるのに昼間は好き勝手して遊び歩いているし碌でもないんです。婿さんは必死で働いて尻拭いをしていると言う感じです」

「でもどうしてこの薬に問題があると気が付かないんだ?誰かしら症状が出ているだろう?」

「この薬お分かりですか?」

「当たり前だろう、これは少しなら体の体調を良くするかもしれないが飲み過ぎや長年飲み続ければ害がある軽い麻薬だろう?この国にはまだ入ってきていないはずだ」

 俺は怒りがおさまらなかった。

 こんな薬を知らずに飲み続ければみんな廃人になってしまう。

「そいつらただじゃおかない」

「もちろん、そうしていただきたいと思ってお呼びいたしました」

 俺は打ち合わせだけして、疲れた体を少しだけでも休ませる為に仮眠して次の日に備えることにした。

 少しだけ眠ってから朝日が昇ると共に目が覚めた。

 もう宿屋の親父は朝食を用意してくれていた。

 他の騎士達もしっかり私服に着替えて俺たちは商会の使用人として動くことになった。

 薬を売っている店は誰でも買えるのかと思っていたが紹介者がいないと買えないらしい。
 一見の客には普通の薬や珍しい隣国の食べ物などを売る普通のお店として商売している。

 俺はきちっと整えた髪をボサボサにして少し髭を生やすことにした。

 金が全くなければ相手は薬を売らない。

 だから、『元金持ちで少し落ちぶれて何か一発金儲けをしたそうな男』設定で動くことにした。

 仲間達からは

「団長は口が悪いからちょうど似合ってるかもしれません」
「金儲けをしたそうな男……ブハッ!楽しそう」

 みんな楽しそうに笑い転げた。

「お前達は俺を追って殴る蹴るして怒鳴りつける役なんだから手を抜くなよ!」

「後でこいつが何発殴ったなんて言わないでくださいね」
「ほんと、恨まれて後でやり返されたら敵いませんから」

「そんなちいせぇ男じゃないぞ」
 なんか腹が立ってきた。

 確かに最近は人に殴られたりしたことはない。喧嘩も強かったし剣の腕前もかなり強いほうだった。人を殴ることはあってもひどく殴られたことはない。

 ま、アレックス様にはかなりやられたけど。俺を負かすのは未だにあの人くらいだろう。

 みんなで計画を立てながら商会の情報を集めることにした。






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