【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ

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43話

 ◇ ◆ ◇  アーバン

 後をついて行くと男の家に着いた。

 近所の人から名前を聞いて、騎士団に帰り調べてみた。

『アダム・キンバリー27歳。男爵家の次男で文官として働いている』とわかった。

 やはり兄の知人だった。

 兄の友人に話を聞いたら、人当たりのいい優しい人だと言っていた。
 第一印象も悪い人ではなかった。ただ俺を見て驚いた顔、焦っていたのは何かを隠していたから……それは兄に関わることしかないだろう。

 もう一度会いに行くしかないな。

 兄の行方が全く掴めない今の唯一の手掛かりはアダムさんだ。

 俺はアダムさんに会いに行く決心をした。




 ◆ ◆ ◆  エドワード


「リオ!今日はお休みの日でしょう?オズワルドと三人でピクニックに行きましょう」

 今朝は珍しく早起きをしたシャーリーが一緒の食卓に着いた。

「今日は休みだが昨日出来なかった残りの仕事をしないといけない。昼前には終わると思うからその後でいいなら行けるけどそれでいいかい?」

「わかったわ。料理人に頼んでお弁当を作ってもらうわ。オズワルドももうすぐ1歳になるから外に出してあげるととても喜ぶの」

 シャーリーは少しずつオズワルドと過ごす時間が増えてきた。今まで遊び歩いていたのに今はオズワルドと居る方が楽しいらしい。
 俺たちの夫婦関係も少しずつ変わってきた。

 俺も仕事を上手く終わらせることが出来るようになり、家族との時間も取れるようになった。

 シャーリーもそれに合わせて一緒に過ごすことが増えた。

 元々寂しがり屋のシャーリーはそばにいて欲しくて甘えて我儘を言うところがあった。

 子供を産んだばかりの頃は精神的に安定していなくて子供の泣き声すら嫌だったようだが、今はオズワルドがシャーリーを母親として懐き始めて、笑ったりそばに寄ってきたりするので可愛くて仕方がないらしい。

「リオ、わたし、貴方の仕事が忙しくて相手にしてもらえなくて寂しくてずっと友人達と遊んでばかりだったわ。反省しているの、今は三人で仲良く過ごしたいの」

「俺はシャーリーを愛している。だから君がオズワルドのことをきちんと息子として愛情を持ってくれることも三人で家族として過ごしたいと思ってくれることも嬉しいと思ってる」

「もう我儘は言わないわ。リオがそばにいてオズワルドと笑っていられたらそれで十分よ」

 シャーリーもやっと母親の自覚も出てきてオズワルドも懐くようになった。

 俺自身も仕事の要領を覚えて自分の時間を作れるように少しずつなってきた。

 内心は記憶を失う前の報告を今も待っている最中で、どうするべきなのか悩んでいる。

 俺はシャーリーを愛しているしオズワルドを愛している。

 我儘で男とも平気で遊んでいだシャーリー。

 だけど常に護衛騎士達を付けていたので、浮気はしていないとの報告はあがっている。

 ただ結婚した女性が他の男達と昼間っから遊んでまわる姿はかなりの醜聞だし俺自身も納得はしていない。

 そのことはシャーリーにも伝えてある。

 本人も泣きながら謝ってはきたが、次はないと伝えてある。

 いくら娘婿でも、シャーリーを愛していても、浮気ではなくてもそれに近いことをこれ以上は我慢することはできない。

 シャーリーは俺を優しいだけの男だと思っていたようだが、
「シャーリー、君の態度次第で俺はオズワルドを連れてこの屋敷を出るつもりだ」と言い渡したのはひと月前。

 泣きながら「絶対に変わるから離縁はしたくない」とシャーリーも今は努力してくれている。





「リオ、こことても素敵な場所ね?」

 二人ときたピクニックの場所は自然の花がたくさん咲いている湖のほとり。

 ここは自然の手付かずだった場所を領地改革するときに、領民達が気軽に遊びにこられる場所として俺が手がけた場所だ。

 道を整備して花がたくさん咲いている場所まで歩きやすく、散歩道を作った。

 湖にも貸しボート場を作り、たくさんの人がゆっくりと過ごせるようにした場所。

 宿屋もいくつかあり、泊まることもできるし食事をすることもできる。

 王都にはそんな場所がいくつかあると聞いて、コスナー領にある豊かな自然をみんなが楽しめるように作った。

 オズワルドは湖に興味を持ち、三人でボートに乗ってゆっくりとした時間を過ごした。

 いつもカリカリしていたシャーリーも穏やかな笑顔で、オズワルドもぐずる事なく楽しいひと時を過ごせた。

 俺は報告が来るのを待っているのに、この幸せな時間が壊れず過ごしたいとも思っている。






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