52 / 146
52話 グレン
◆ ◇ ◆ グレン
「リオ・コスナー?」
俺の目つきは鋭くなった。
こいつは一体なんで調べているんだ?
諸事情ってなんだ?
それにこの男を見るとなんだか腹が立ってくる。どこで会った?必ず記憶の中のどこかにこの男がいるはずだ。
なのに思い出せない。一度会った人間はほぼ覚えているはずなのに。
この男は俺の名前を言い当てた。
しかしそれは俺の顔を知ってるからではなく俺の動きや体型、髪の色、歳などを考えてのことだった。だが筋肉のつき方、動き、まだ会ったばかりの俺なのに、素性を咄嗟に導き出したアーバン。
この男はかなり優秀な騎士なんだろうと思う。なのに一騎士でしかないと言うことは何かをやらかしたのか?
だからこの街にいるのか?
「悪いがその名前を聞いたからには解放することはできなくなった。なにを調べているんだ?」
俺はさらに警戒する事になった。
「わたしの兄なのではないかと王都で聞いたので調べに来たんです」
アーバンは迷わず俺の顔を真っ直ぐ見ながら話し出した。
「兄なのでは?それはどう言うことだ?」
「兄はわたしと同じ王立騎士団に所属して第一部隊の副隊長をしていました。四年前の隣国との戦いに参加していました。その時に行方不明になり遺体は見つからず死亡とみなされました。
しかし記憶をなくしてこの領地にいるらしいと言う話を最近耳にしたのです。それが本当なのかを知りたくて歩き回り情報を集めていました。
領主代理をしている方になかなかお会いする機会はありませんので、とにかく少しでも似ているのか知りたかったんです」
「リオ・コスナーはエドワード・バイザーなのか?あの若いのに優秀でいずれは団長になれるかもしれないと言われていた男?全く今聞いているリオという男とは違っているぞ」
「兄は優秀で人当たりは良かったですが、人に対して常に本音を見せない人でした。だけどここではおおらかで優しい人だと言う噂です。性格は違っているようですが容姿は似ています」
「そうか……」
エドワードのことは知っている。亡くなったことも。会ったことはないが噂で聞いていた。
俺たちの辺境地の隣の領地での戦いだった。俺たちは辺境地を守り戦っていた。隣の領地は王立騎士団から後援支援を受けて戦った。
その時に副隊長が子供を助けて川に落ちたと聞いた。
その男がラフェの旦那だと知ってはいた。
夫が死んで家を追われたラフェとアル。
この男はアルの叔父だったのか。だからどこかで会ったことがある気がしたんだ。なんとなく顔が似ている。
ならばラフェのことも知っているはずだ。なのにラフェのあの苦境を助けもしない奴だと言うことか。
俺は顔には出さなかったが、本当は怒鳴って殴りつけてラフェの前に連れて行って謝らせたいと思った。
だが俺もラフェのそばを今は離れている。だからなにも言えない。
こんな仕事さっさと終わらせてラフェに会いに行きたい。
エドワードがリオだろうとこのアーバンが探し出すことだ。俺が口出すことではない。
そう思うのに、ラフェの顔を思い出すと幸せになって欲しいと願ってしまう。俺が幸せにしたい。だけどそれが俺の身勝手な思いだったら?
だがエドワードには新しい家庭があり今の妻を大切にしていると聞いている。
こいつに協力するべきなのか?
くっそぉ、ふざけんな‼︎
ラフェをあんなに辛い思いをさせながら暮らさせたコイツらに俺は手助けなんてしたくない!………だが……
俺はアーバンを睨みつけながら考え込んでしまった。
「リオ・コスナー?」
俺の目つきは鋭くなった。
こいつは一体なんで調べているんだ?
諸事情ってなんだ?
それにこの男を見るとなんだか腹が立ってくる。どこで会った?必ず記憶の中のどこかにこの男がいるはずだ。
なのに思い出せない。一度会った人間はほぼ覚えているはずなのに。
この男は俺の名前を言い当てた。
しかしそれは俺の顔を知ってるからではなく俺の動きや体型、髪の色、歳などを考えてのことだった。だが筋肉のつき方、動き、まだ会ったばかりの俺なのに、素性を咄嗟に導き出したアーバン。
この男はかなり優秀な騎士なんだろうと思う。なのに一騎士でしかないと言うことは何かをやらかしたのか?
だからこの街にいるのか?
「悪いがその名前を聞いたからには解放することはできなくなった。なにを調べているんだ?」
俺はさらに警戒する事になった。
「わたしの兄なのではないかと王都で聞いたので調べに来たんです」
アーバンは迷わず俺の顔を真っ直ぐ見ながら話し出した。
「兄なのでは?それはどう言うことだ?」
「兄はわたしと同じ王立騎士団に所属して第一部隊の副隊長をしていました。四年前の隣国との戦いに参加していました。その時に行方不明になり遺体は見つからず死亡とみなされました。
しかし記憶をなくしてこの領地にいるらしいと言う話を最近耳にしたのです。それが本当なのかを知りたくて歩き回り情報を集めていました。
領主代理をしている方になかなかお会いする機会はありませんので、とにかく少しでも似ているのか知りたかったんです」
「リオ・コスナーはエドワード・バイザーなのか?あの若いのに優秀でいずれは団長になれるかもしれないと言われていた男?全く今聞いているリオという男とは違っているぞ」
「兄は優秀で人当たりは良かったですが、人に対して常に本音を見せない人でした。だけどここではおおらかで優しい人だと言う噂です。性格は違っているようですが容姿は似ています」
「そうか……」
エドワードのことは知っている。亡くなったことも。会ったことはないが噂で聞いていた。
俺たちの辺境地の隣の領地での戦いだった。俺たちは辺境地を守り戦っていた。隣の領地は王立騎士団から後援支援を受けて戦った。
その時に副隊長が子供を助けて川に落ちたと聞いた。
その男がラフェの旦那だと知ってはいた。
夫が死んで家を追われたラフェとアル。
この男はアルの叔父だったのか。だからどこかで会ったことがある気がしたんだ。なんとなく顔が似ている。
ならばラフェのことも知っているはずだ。なのにラフェのあの苦境を助けもしない奴だと言うことか。
俺は顔には出さなかったが、本当は怒鳴って殴りつけてラフェの前に連れて行って謝らせたいと思った。
だが俺もラフェのそばを今は離れている。だからなにも言えない。
こんな仕事さっさと終わらせてラフェに会いに行きたい。
エドワードがリオだろうとこのアーバンが探し出すことだ。俺が口出すことではない。
そう思うのに、ラフェの顔を思い出すと幸せになって欲しいと願ってしまう。俺が幸せにしたい。だけどそれが俺の身勝手な思いだったら?
だがエドワードには新しい家庭があり今の妻を大切にしていると聞いている。
こいつに協力するべきなのか?
くっそぉ、ふざけんな‼︎
ラフェをあんなに辛い思いをさせながら暮らさせたコイツらに俺は手助けなんてしたくない!………だが……
俺はアーバンを睨みつけながら考え込んでしまった。
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
死ぬまでに叶えたい十の願い
木風
恋愛
「あなたを妻として、愛することはない。おそらく、生涯抱くこともないだろう」
三年間の白い結婚——捨て置かれた王太子妃エリアーナに、側妃が『死の呪い』をかけ余命一年を宣告する。
離縁を願うも拒否され、代わりに「死ぬまでに十の願いを叶えて」と契約する——
二人きりの外出、星空、海…ささやかな願いが王太子の心をほどいていく。
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
【完結】私を忘れた貴方と、貴方を忘れた私の顛末
コツメカワウソ
恋愛
ローウェン王国西方騎士団で治癒師として働くソフィアには、魔導騎士の恋人アルフォンスがいる。
平民のソフィアと子爵家三男のアルフォンスは身分差があり、周囲には交際を気に入らない人間もいるが、それでも二人は幸せな生活をしていた。
そんな中、先見の家門魔法により今年が23年ぶりの厄災の年であると告げられる。
厄災に備えて準備を進めるが、そんな中アルフォンスは魔獣の呪いを受けてソフィアの事を忘れ、魔力を奪われてしまう。
アルフォンスの魔力を取り戻すために禁術である魔力回路の治癒を行うが、その代償としてソフィア自身も恋人であるアルフォンスの記憶を奪われてしまった。
お互いを忘れながらも対外的には恋人同士として過ごす事になるが…。
番外編始めました。
世界観は緩めです。
ご都合主義な所があります。
誤字脱字は随時修正していきます。