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115話 アーバン
◇ ◆ ◇ アーバン
ラフェから話があると言われた。
「グレン様について辺境伯領へ行こうと思うの」
「……そうか。うん、ラフェはやっと新しい幸せを見つけたんだな」
「アーバンとお義父様がアルを大切にしてくれていたのに引き離すことになってごめんなさい」
「いや、俺たちはお前が辛い間何も手助けしてなかった。あんな事件があってやっと会う勇気が出たんだ。男二人じゃどうしていいのか分かんなくてさ。なんとか自分たちが安定したらその時は、なんて言い訳して、きっかけがなければラフェたちに会うことすらできなかった」
「二人がアルをとても可愛がってくれたこと感謝してるわ。アルは二人の家族なのにわたしが頼ろうとしなかったから、わたしこそごめんね」
「グレン様なら安心して二人を任せられるよ。俺の大事な幼馴染と可愛い甥っ子がこれから幸せになるんだ。嬉しいよ」
「ありがとう。お義父様にも挨拶をしたかったんだけど……」
「あの人の仕事は特殊だから。家にいないことも多いんだ………俺も……もうすぐ結婚する予定なんだ」
「おめでとう!」
「どんな子か聞きてくれないの?」
「聞いていいの?」
「いつもパン買いに行くお店の子なんだ。明るくてよく働く子でさ、顔を見るとホッとするんだ」
「ふふっ、幸せそうね」
激しい恋とかではなく穏やかな関係。
一緒にいると落ち着く。
毎日パンを買いに行っていた。特に彼女に興味があったわけではない。単純にパンが気に入っていた。
数日休みだった彼女。ふと気になり何かあるのかと店の店主に聞くと風邪で寝込んでいたらしい。
それから「大丈夫だった?」と声をかけてから、なんとなく話すようになって、なんとなく仲良くなって、ふと気がついたら自然に好きになっていた。
ラフェを好きだった時とも、他の女性たちと付き合った時とも違う。いつの間にか隣に居て当たり前になっていた。
彼女は兄弟が多く、早くから働きに出ていたらしい。彼女の家に遊びに行くとまだ小さい弟がいて、母親は毎日子育てに明け暮れていた。
父親は王城で事務の仕事をしている。平民だけどそれなりに収入はあるらしいが、8人兄弟だと子育てにもかなりのお金がかかる。長女の彼女は、家計を助けるために働きに出たと言う。
「働くことも弟や妹の世話をするのも楽しいの!それにね、パンの売れ残りを安く分けてもらえるから家計も助かるしいいことばかりなの!」
明るく言う彼女。
そんな彼女と結婚したいと思ったのは、アルのおかげだ。俺も彼女との可愛い子供が欲しい。
彼女を幸せにしたい。
そう思えたのはラフェとアルとまた家族として幼馴染として過ごせたからだと思う。
「父上にも紹介して年内に結婚する予定なんだ」
ラフェは俺の話を聞いて喜んでくれた。
そして……一番話さなければいけないこと。
「ラフェにはもう嘘をつきたくない。聞きたくないと思ったら言って欲しい。それ以上話さないから」
「わかったわ」
ラフェから了解を得て話し始めた。
「彼女……名前はアルテと言うんだけど、アルテ達が働く商店街は、月に二回、孤児院に行って炊き出しをしているんだ。
ラフェは自宅で仕事をしていただろう?だけど片親で働きに出ないといけない人も多い。家で子育て出来ない人達は泣く泣く孤児院に預けて働くしかないんだ。もちろん両親がいないで預けられた子もいる。
商店街には子供と離れて働く女性も多いんだ。だから、店主達がそれを知って月に二回だけど子供達に少しでも温かい料理を食べて欲しくて通うようになったらしい。
そこで……兄貴に会ったんだ」
「『リオ』さんに?」「」
「違う、エドワード。記憶を取り戻していた。そしてシャーリーさんとは別れたらしい。ただ……子供……オズワルドって言う名前なんだけど、兄貴も働かなければいけないので孤児院に預けているんだ。そこで炊き出しの手伝いに行って偶然出会った」
「そう……記憶を取り戻したの……」
「兄貴は……ラフェには会いには来ない。いや、来れない。その資格はないと本人もわかってるんだ……それにラフェは、兄貴からの慰謝料を断ったんだろう?」
「そうだね。エドワードが死んだ後アルバードが生まれたと思っていたから彼には……リオさんには関係ないと思ったの。その気持ちは今……聞いても変わらないわ」
「兄貴は……いや、俺が何か言うことじゃないよな。それで………孤児院で会って兄貴と話したんだ。
息子のオズワルドを引き取るために賠償金を払いながら頑張って働いているらしい。オズワルドを自分が引き取って昼間みてもらうためのメイドを雇うほどの余裕は、今はないらしいんだ。別れたシャーリーさんがあっちこっちで借金をしていてそれを返済したら全くお金がなくなったって力なく笑ってた」
「なんだか大変みたいね」
「そこは自業だと思う。自分が選んだ奥さんだったんだから。
でも子供には罪はない。2歳のオズワルドは、孤児院に入ったばかりの頃、女の人を怖がっていたらしい。シャーリーさんに虐待されていたみたい。
……俺とアルテはその話を聞いて話し合ったんだ。俺たちも協力してオズワルドを育てようと思っているんだ。
もうすぐ兄貴も俺たちが住んでいる近くに引っ越してきてもらうことになっている」
「オズワルド君は今は?どうしているの?」
「孤児院から引き取って今は兄貴が夜は面倒を見てる。昼間はアルテの母親が弟達と一緒にまとめて面倒をみてくれることになったんだ。俺かアルテが休みの時は俺たちが見るし、兄貴ももちろん休みの時は一緒にいてあげられる」
「はあー、よかった。オズワルド君が辛い思い出は忘れて幸せになってくれたらいいわね」
「ああ、俺もそう思う。ただ……うちにラフェ達が顔を出すと……兄貴と偶然会うことがあるかもしれないんだ」
「うーん、そうだね。今更エドワードに会ってもお互い気まずいし、だけど、アルはアーバンやお義父様には会いたがると思うし……うん、外で会いましょう。だめかな?」
「そうしてもらえると助かるよ。俺たちもアルには会いたいから」
「いつか……オズワルド君とアルバードが兄弟として会えたらいいな」
「うん、いつか……」
ラフェから話があると言われた。
「グレン様について辺境伯領へ行こうと思うの」
「……そうか。うん、ラフェはやっと新しい幸せを見つけたんだな」
「アーバンとお義父様がアルを大切にしてくれていたのに引き離すことになってごめんなさい」
「いや、俺たちはお前が辛い間何も手助けしてなかった。あんな事件があってやっと会う勇気が出たんだ。男二人じゃどうしていいのか分かんなくてさ。なんとか自分たちが安定したらその時は、なんて言い訳して、きっかけがなければラフェたちに会うことすらできなかった」
「二人がアルをとても可愛がってくれたこと感謝してるわ。アルは二人の家族なのにわたしが頼ろうとしなかったから、わたしこそごめんね」
「グレン様なら安心して二人を任せられるよ。俺の大事な幼馴染と可愛い甥っ子がこれから幸せになるんだ。嬉しいよ」
「ありがとう。お義父様にも挨拶をしたかったんだけど……」
「あの人の仕事は特殊だから。家にいないことも多いんだ………俺も……もうすぐ結婚する予定なんだ」
「おめでとう!」
「どんな子か聞きてくれないの?」
「聞いていいの?」
「いつもパン買いに行くお店の子なんだ。明るくてよく働く子でさ、顔を見るとホッとするんだ」
「ふふっ、幸せそうね」
激しい恋とかではなく穏やかな関係。
一緒にいると落ち着く。
毎日パンを買いに行っていた。特に彼女に興味があったわけではない。単純にパンが気に入っていた。
数日休みだった彼女。ふと気になり何かあるのかと店の店主に聞くと風邪で寝込んでいたらしい。
それから「大丈夫だった?」と声をかけてから、なんとなく話すようになって、なんとなく仲良くなって、ふと気がついたら自然に好きになっていた。
ラフェを好きだった時とも、他の女性たちと付き合った時とも違う。いつの間にか隣に居て当たり前になっていた。
彼女は兄弟が多く、早くから働きに出ていたらしい。彼女の家に遊びに行くとまだ小さい弟がいて、母親は毎日子育てに明け暮れていた。
父親は王城で事務の仕事をしている。平民だけどそれなりに収入はあるらしいが、8人兄弟だと子育てにもかなりのお金がかかる。長女の彼女は、家計を助けるために働きに出たと言う。
「働くことも弟や妹の世話をするのも楽しいの!それにね、パンの売れ残りを安く分けてもらえるから家計も助かるしいいことばかりなの!」
明るく言う彼女。
そんな彼女と結婚したいと思ったのは、アルのおかげだ。俺も彼女との可愛い子供が欲しい。
彼女を幸せにしたい。
そう思えたのはラフェとアルとまた家族として幼馴染として過ごせたからだと思う。
「父上にも紹介して年内に結婚する予定なんだ」
ラフェは俺の話を聞いて喜んでくれた。
そして……一番話さなければいけないこと。
「ラフェにはもう嘘をつきたくない。聞きたくないと思ったら言って欲しい。それ以上話さないから」
「わかったわ」
ラフェから了解を得て話し始めた。
「彼女……名前はアルテと言うんだけど、アルテ達が働く商店街は、月に二回、孤児院に行って炊き出しをしているんだ。
ラフェは自宅で仕事をしていただろう?だけど片親で働きに出ないといけない人も多い。家で子育て出来ない人達は泣く泣く孤児院に預けて働くしかないんだ。もちろん両親がいないで預けられた子もいる。
商店街には子供と離れて働く女性も多いんだ。だから、店主達がそれを知って月に二回だけど子供達に少しでも温かい料理を食べて欲しくて通うようになったらしい。
そこで……兄貴に会ったんだ」
「『リオ』さんに?」「」
「違う、エドワード。記憶を取り戻していた。そしてシャーリーさんとは別れたらしい。ただ……子供……オズワルドって言う名前なんだけど、兄貴も働かなければいけないので孤児院に預けているんだ。そこで炊き出しの手伝いに行って偶然出会った」
「そう……記憶を取り戻したの……」
「兄貴は……ラフェには会いには来ない。いや、来れない。その資格はないと本人もわかってるんだ……それにラフェは、兄貴からの慰謝料を断ったんだろう?」
「そうだね。エドワードが死んだ後アルバードが生まれたと思っていたから彼には……リオさんには関係ないと思ったの。その気持ちは今……聞いても変わらないわ」
「兄貴は……いや、俺が何か言うことじゃないよな。それで………孤児院で会って兄貴と話したんだ。
息子のオズワルドを引き取るために賠償金を払いながら頑張って働いているらしい。オズワルドを自分が引き取って昼間みてもらうためのメイドを雇うほどの余裕は、今はないらしいんだ。別れたシャーリーさんがあっちこっちで借金をしていてそれを返済したら全くお金がなくなったって力なく笑ってた」
「なんだか大変みたいね」
「そこは自業だと思う。自分が選んだ奥さんだったんだから。
でも子供には罪はない。2歳のオズワルドは、孤児院に入ったばかりの頃、女の人を怖がっていたらしい。シャーリーさんに虐待されていたみたい。
……俺とアルテはその話を聞いて話し合ったんだ。俺たちも協力してオズワルドを育てようと思っているんだ。
もうすぐ兄貴も俺たちが住んでいる近くに引っ越してきてもらうことになっている」
「オズワルド君は今は?どうしているの?」
「孤児院から引き取って今は兄貴が夜は面倒を見てる。昼間はアルテの母親が弟達と一緒にまとめて面倒をみてくれることになったんだ。俺かアルテが休みの時は俺たちが見るし、兄貴ももちろん休みの時は一緒にいてあげられる」
「はあー、よかった。オズワルド君が辛い思い出は忘れて幸せになってくれたらいいわね」
「ああ、俺もそう思う。ただ……うちにラフェ達が顔を出すと……兄貴と偶然会うことがあるかもしれないんだ」
「うーん、そうだね。今更エドワードに会ってもお互い気まずいし、だけど、アルはアーバンやお義父様には会いたがると思うし……うん、外で会いましょう。だめかな?」
「そうしてもらえると助かるよ。俺たちもアルには会いたいから」
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