【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ

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124話  ラフェ

 ◇ ◇ ◇  ラフェ

 イリア様はわたしに対して

「グレン様は……わたしの大切なもう一人の兄様なの!あ、あなた達親子に騙されて結婚するなんて……マキナ様は素敵な人だったわ。わたしの憧れだったの!」

「こら!イリア!いい加減にしろ!ラフェすまない」

「なんで謝るのよ!兄さま?この女に騙されているのよ!どうして後ろ盾になんてなるの?平民の女よ!グレン様も兄様も騙されてるのよ」

「ラフェはシエロの妹だ!お前も覚えているだろう?たまにこの領地に遊びに来ていた元伯爵子息だったシエロだ!お前も小さい時遊んでもらっただろう?」

「シエロ様?えっ?嘘っ?」

 わたしをまじまじと見つめて………

「うっ、たしかに………なんとなく似てるかも……シエロ様がわたしより少し年上の妹がいるって言ってたわ」

 ムスッとした顔をして納得していないのがわかる。

「だけど、だからって、関係ないわ。グレン様に血の繋がらない子供まで押し付けようとしているのよ?」


「いい加減にしろ!」
 アレックス様が怒鳴った。

 そこにたまたまアルバードが近づいていたようで


「あっ、う、うわーん!!」

 驚いて泣き出した。

「アレックスさまが、お、おこったぁ」


「うわぁ、なんでアルがここにいるんだ?」
 アレックス様は困った顔をして髪をわしゃわしゃと手で掻きむしった、

「すみません、鍛錬が終わったのでアル様をラフェ様のところにお連れしたんです」
 アルバードの面倒をみてくれていた騎士さんが、アレックス様の顔色をみてオドオドしていた。

 アルバードは泣きながら、アレックス様の足をポコポコと叩き始めた。

「おんなのこに、いじわるは、だめなんだよ!ギュレンが、あっ、おとう…さんが、だめって!おんなのこは、まもってあげるんだって、いってたもん」

「アル、意地悪はしてないんだ。妹に悪いことはだめだと叱ってたんだ、なっ?わかるだろう?」

「だっめぇ!おねえちゃん、かなしそうなかお してるもん」

「わかった、わかったから、足をいい加減叩くのやめろ!ほらアル抱っこしてやるから」

 アレックス様はアルバードを無理やり抱っこして頭を撫でた。

「アル、驚かせてすまなかった。久しぶりに会えて嬉しいぞ」

「………ほんとぉ?アルも、あえてうれしいの」

「イリア、こいつがアル、アルバードだ」

 イリア様はムスッとしていたのに突然のアルバードの乱入に黙ったまま様子を見ていた。

「アル君?……助けてくれてありがとう」

 なんとも言えない顔をしながらもアルにお礼を言った。
 何も知らないアルバードに文句を言わないでくれたので、内心ホッとした。

「おねえちゃん、アルね、いいこにするから、おかあさん、いじめないで、ください」

「あっ、いや、あ、あの、わ、わたし……」
 アルバードの言葉に動揺していた。

「アルね、がんばって、けんのおけいこ してるの」

「そ、そうなの」

「ぎゅ、、おとうさんが、つよくなって、おかあさん まもりなさいって。だから、アル、がんばるの。がんばるから、おかあさん、いじめないで」

「虐めてないわ、ちょっとだけ、言葉が強くなっただけだもの」

「ほんとぉ?」

「ほんとよ。………兄さま、わたし帰るわ」

「とりあえず帰れ、帰れ!あとでしっかり話しをしよう、わかったな?」

「もういいわ、ラフェさん、突然酷いことを言って悪かったわ。だけど……わたしは認めない。グレン様はずっとずっとマキナ様だけを愛していたの!」

 そう言って帰って行った。

 アルバードは「おねえちゃん、かえっちゃったね」とアレックス様に言ってから耳元に口を近づけて「おこったらだめだよ」とアレックス様に言っていた。

 アレックス様はゲラゲラ笑いながら

「アルがそう言うなら怒るのはやめておこう。イリアとは話すだけだ」と、アルバードに説明していた。


 大事にならずにホッとした。

 だけど、やっぱりみんなに受け入れられる訳はないと思っていた。

 グレン様にはマキナ様がいた。愛していた。

 わたしは思っていた以上に甘い考えだったのだと思い知らされた。

 マキナ様を愛しているグレン様を好きになった。それは本当の気持ち。

 だけど二人の過去のことは知らないし、もちろんグレン様から話を聞いたことはなかった。

 イリア様は二人の過ごした時間を共に過ごしてきた人。だからこそわたしを認めることができないのだろう。

 グレン様が今ここにいないことが、心細い。
 新しい日々をこれから頑張ろうと思ったのに……少しだけ落ち込んでしまったけど、みんなの前では出来るだけ笑顔で過ごそうと明るく振る舞った。

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