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27話
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眩しい……
う、うん?
ここは……
懐かしいのに…見慣れた部屋。
私……ここに戻って来たんだわ。
確か義両親に文官試験を一位で合格したので結婚は出来ないことを伝えるためにきて……倒れた?
ぐぅー…………
お腹の音が鳴った。
お腹空いたな。
昨日オレンジジュース一杯だけだった。
空腹と睡眠不足で倒れたんだ。
のそっと起き上がってクローゼットの中を覗いた。
もう着る服はないかも……あっても背が伸びた私に合う服はないかもしれないな。
2年ぶりの部屋は何も変わっていない。
私が帰ってこないのにそのままにしておいてくれたことに胸がギュッと苦しくなった。
ここに帰って来てもいいんだよってまるで言ってるみたい。
私は捨てられたはずなのに、捨てたのは私?
そんなはずはない。
私は愛されていないはず、今はこの侯爵家のために恩を返せと言われ結婚を強要されているから、私が必要なだけ。
なのにクローゼットの中の服……いやたくさんのドレスは一体どう言うことなのだろう。
見覚えのない真新しい最新のドレスがたくさんかかっていた。
これは嫁ぐために用意されたもの?
それともただ私のために?
よくわからない。
結局昨日着ていた制服に着替えて部屋を出た。
食堂へ向かうと朝食の準備をしているところだった。
厨房にいる料理長のところに行って顔を出すとニコリと微笑まれた。
「レイン様、体調はいかがですか?歩いて回って大丈夫ですか?」
知ってるのね、私が屋敷に倒れて運ばれたこと。
「うん、もう平気。お腹が空いたの。何か食べられるものあるかな?」
「レイン様のために野菜のスープを作っております。それなら胃がびっくりしないでしょうからまずはスープを召し上がってください」
「ふふ、ありがとう。久しぶりの料理長の作るスープが飲めるなんて嬉しい」
お皿に入ったスープは熱すぎず飲みやすい。野菜は柔らかく煮込まれていて薄味でとても美味しかった。
「おかわり!」
思わずそう言うともう事前に準備されていてすぐに新しいお皿に入ったスープが出て来た。
2杯目を平らげて満足そうな顔をしたら料理長が私に怒った声で言った。
「レイン様のお身体は栄養が足りておりません。どれだけ無理をしてきたんですか?食べることはとても大切なことなんですよ」
「……ごめんなさい、勉強に集中しすぎて……これからは時間もあるし食べることを忘れないわ」
「食べることを忘れる?食いしん坊のレイン様が?」
「失礼ね、ここでは食べさせてもらえないことが多かったから食べられる時食べてただけだわ、おかげで痩せ細ったり栄養失調にはならなかったもの。料理長と庭師のおじちゃん達のおかげよ」
「……私にもう少し力があれば……レイン様のために喜んで料理を作って差し上げられたのに……」
料理長はいつも私のためにこっそり食事を食べさせてくれた。メイド達や家令が私に食べさせないように意地悪をしていただけ。
そんな話をしている時「その話はどう言うことなの?」と声が聞こえた。
「………お母様」
久しぶりに会うお母様は手入れのされた綺麗な髪、艶々のお肌、体型も崩れることなく整っている。年を感じさせない美しい女性だと、思わず見惚れてしまう。
「レイン、あなたここで食事を食べられないなんてことがあったの?」
「…………昔のことです」
「はあ~……そう、わかったわ。あとで調べさせるから答えたくないのならもういいわ。レイン、文官試験を一位で合格したらしいわね」
「はい」
多分侯爵家に通知が届いたのだろう。
「あなたは結婚ではなく文官になって仕事を選ぶつもりなの?」
「はい」
「貴族の娘は結婚が何よりの幸せなの。自分が当主の妻として屋敷の細かいことに目を行き渡らせ采配をふるって過ごす、たくさんのお茶会や夜会に出席して夫のために顔を繋ぎ社交をする。それが妻の役目で幸せなことなの」
お母様の言うことは貴族の娘として生まれたからにはもっともなことだと思う。
でも私は……
「私の幸せは私が決めます。この三年間私は特待生として過ごし、侯爵家からの援助は受けずに暮らしました。これからもそうするつもりです。もちろん養女として育ててもらった恩は忘れておりません。いただいた宝石などはそのままお返しするつもりです。
もし縁を切ると言われれば従うつもりでおります」
「ま、待って!特待生?援助は受けていない?何を言ってるの?あなたには毎月割り当てられた金額があってきちんと全て使われているわ」
「はっ?私は全く使っておりませんしいただいたこともありません」
なんのことを言ってるの?そんなお金知らないわ。
う、うん?
ここは……
懐かしいのに…見慣れた部屋。
私……ここに戻って来たんだわ。
確か義両親に文官試験を一位で合格したので結婚は出来ないことを伝えるためにきて……倒れた?
ぐぅー…………
お腹の音が鳴った。
お腹空いたな。
昨日オレンジジュース一杯だけだった。
空腹と睡眠不足で倒れたんだ。
のそっと起き上がってクローゼットの中を覗いた。
もう着る服はないかも……あっても背が伸びた私に合う服はないかもしれないな。
2年ぶりの部屋は何も変わっていない。
私が帰ってこないのにそのままにしておいてくれたことに胸がギュッと苦しくなった。
ここに帰って来てもいいんだよってまるで言ってるみたい。
私は捨てられたはずなのに、捨てたのは私?
そんなはずはない。
私は愛されていないはず、今はこの侯爵家のために恩を返せと言われ結婚を強要されているから、私が必要なだけ。
なのにクローゼットの中の服……いやたくさんのドレスは一体どう言うことなのだろう。
見覚えのない真新しい最新のドレスがたくさんかかっていた。
これは嫁ぐために用意されたもの?
それともただ私のために?
よくわからない。
結局昨日着ていた制服に着替えて部屋を出た。
食堂へ向かうと朝食の準備をしているところだった。
厨房にいる料理長のところに行って顔を出すとニコリと微笑まれた。
「レイン様、体調はいかがですか?歩いて回って大丈夫ですか?」
知ってるのね、私が屋敷に倒れて運ばれたこと。
「うん、もう平気。お腹が空いたの。何か食べられるものあるかな?」
「レイン様のために野菜のスープを作っております。それなら胃がびっくりしないでしょうからまずはスープを召し上がってください」
「ふふ、ありがとう。久しぶりの料理長の作るスープが飲めるなんて嬉しい」
お皿に入ったスープは熱すぎず飲みやすい。野菜は柔らかく煮込まれていて薄味でとても美味しかった。
「おかわり!」
思わずそう言うともう事前に準備されていてすぐに新しいお皿に入ったスープが出て来た。
2杯目を平らげて満足そうな顔をしたら料理長が私に怒った声で言った。
「レイン様のお身体は栄養が足りておりません。どれだけ無理をしてきたんですか?食べることはとても大切なことなんですよ」
「……ごめんなさい、勉強に集中しすぎて……これからは時間もあるし食べることを忘れないわ」
「食べることを忘れる?食いしん坊のレイン様が?」
「失礼ね、ここでは食べさせてもらえないことが多かったから食べられる時食べてただけだわ、おかげで痩せ細ったり栄養失調にはならなかったもの。料理長と庭師のおじちゃん達のおかげよ」
「……私にもう少し力があれば……レイン様のために喜んで料理を作って差し上げられたのに……」
料理長はいつも私のためにこっそり食事を食べさせてくれた。メイド達や家令が私に食べさせないように意地悪をしていただけ。
そんな話をしている時「その話はどう言うことなの?」と声が聞こえた。
「………お母様」
久しぶりに会うお母様は手入れのされた綺麗な髪、艶々のお肌、体型も崩れることなく整っている。年を感じさせない美しい女性だと、思わず見惚れてしまう。
「レイン、あなたここで食事を食べられないなんてことがあったの?」
「…………昔のことです」
「はあ~……そう、わかったわ。あとで調べさせるから答えたくないのならもういいわ。レイン、文官試験を一位で合格したらしいわね」
「はい」
多分侯爵家に通知が届いたのだろう。
「あなたは結婚ではなく文官になって仕事を選ぶつもりなの?」
「はい」
「貴族の娘は結婚が何よりの幸せなの。自分が当主の妻として屋敷の細かいことに目を行き渡らせ采配をふるって過ごす、たくさんのお茶会や夜会に出席して夫のために顔を繋ぎ社交をする。それが妻の役目で幸せなことなの」
お母様の言うことは貴族の娘として生まれたからにはもっともなことだと思う。
でも私は……
「私の幸せは私が決めます。この三年間私は特待生として過ごし、侯爵家からの援助は受けずに暮らしました。これからもそうするつもりです。もちろん養女として育ててもらった恩は忘れておりません。いただいた宝石などはそのままお返しするつもりです。
もし縁を切ると言われれば従うつもりでおります」
「ま、待って!特待生?援助は受けていない?何を言ってるの?あなたには毎月割り当てられた金額があってきちんと全て使われているわ」
「はっ?私は全く使っておりませんしいただいたこともありません」
なんのことを言ってるの?そんなお金知らないわ。
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