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噂の愛人令嬢 2 (マリウスside)
しおりを挟む待ちわびたパーティーの日。
私は、朝からソワソワしていた。
噂の渦中のヴェルサス侯爵家がパーティーに参加する。
たぶんソワソワしていたのは、私だけではないはずだ。会場に集まる貴族達を見てわかった。
皆気になるのだ。
“気高い貴族としてのヴェルサス侯爵家”と“噂の愛人令嬢”が。
噂の愛人令嬢を一目みたい···。
たぶん男性陣はこっちが本音だろうな。
彼女の目によっぽど良く映りたいのか、普段身だしなみにあまり気を使わない令息も、今日は綺麗に髪は整えられ、服装もピシッとしていたのだから。
私の知り合いにもたまたま令嬢を見かけた者がいた。
彼は、堅物で有名だったのだが、彼女に会い、一目惚れしてしまったらしい。
堅物だった男が、恋する乙女のようになってしまうのだから驚いた。
参加する貴族達が全員揃うと、高位貴族から順番に挨拶が始まる。
ヴェルサス侯爵家の番が回ってくるのを今か今かと待ちわびる。
そして、待ちわびた時がやって来た。
「 本日は、このような素晴らしいパーティーにお招きいただき、誠に光栄にございます。ヴェルサス侯爵家当主、アーバイン・ヴェルサスが代表してご挨拶申し上げます。」
アーバインが代表して挨拶を述べた。
とうとう噂のヴェルサス侯爵家一家に会う事ができた。
当主であるアーバインは、とても穏やかそうな人間だった。
そしてヴェルサス家はとても美形揃いだった。
当主のアーバインは、父と同じ年だというのに美男子という言葉がピッタリ当てはまる美貌の持ち主だった。父よりも遥かに若く見える。
アーバインの奥方も、嫡男のウィリアムも国でも一二を争う美形家系だと思う。
そして、そんな家族の後ろに控えめに佇むレティシア嬢は美しいだけでなく、大変妖艶なレディーだった。
愛人令嬢···その言葉の意味がわかる気がした。
美しい···。そして同じ年と思えない妖艶さ···。
彼女を見た瞬間、本能で“彼女が欲しい”と思った。
美しく、妖艶で···儚くもある。
まさに、童話や神話に出てくる人を魅了する美の女神の様であった。
ぽってりとした赤い唇は果実の様に瑞々しい。
それに、少女とは思えぬ豊満な胸元···。白く透き通る様な白い肌。
レディーの身体をジロジロ見るなんて、失礼な事で、普段絶対にこんなに不謹慎な事などしないのだが···。
魅了されてしまったかのように、カーテシーする彼女の胸元を見つめてしまった。
でも彼女の女神のように美しい姿は···男ならば見てしまうだろう···本能的な行動だったのだ。
理性はあるはずなのに。
そして驚いたのは、貸しドレス業を考えたのは、すべて彼女のアイデアで、慈善活動も彼女が自ら考え行っていたのだという···。
どちらの噂も本当だった。
溢れる才能、妖艶な容姿、そして見た目と正反対な慈悲深い心の持ち主。
彼女ともっと親しくなりたい。
そう思い、彼女に話しかけたが···どうやら彼女に魅了されたのは、私だけではないようだ。
親友のロメロ。護衛騎士のエルスティン。
彼女を手に入れるのに、王命を利用すれば確実に彼女を手に入れることはできるだろう。
しかし、それをしたら···きっと彼女の心は手に入らない。私の事を、好きになどなってもらえないと思う。
それに彼女に好意を抱いた親友との友情も、護衛騎士のエルスティンの信用も失う事になる。
彼女を手に入れる為には、自ら行動し、彼女の信頼を勝ち取らなければならない。
ロメロにも、エルスティンにも認めてもらえる形で。
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