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天使が舞い降りた日2 (エルスティンside)
しおりを挟むマリウス殿下の護衛任務の初日。
「マリウス・ディートリンデだ。今日からよろしく頼む。」
マリウス殿下は、私が緊張しているのをわかっているのか、そう言って軽く私の肩を叩く。
「 エルスティンは優秀な騎士だと聞いている。初日で緊張していると思うが、どうか緊張せず自然体でいてくれ。」
そう言うとマリウス殿下がニコリと笑いかけてくれた。
マリウス殿下は、優しく、賢くて、相手を気遣うことに長けており···この方が王になるならきっと良き王になるだろうと思った。
次期国王候補である、優しく優秀なマリウス殿下に仕えることができる。
私は···主君に恵まれている。
そう思ったら自然と笑みが溢れた。
「エルスティン・ヒューゲルです。今日からマリウス殿下に仕えることができ、嬉しく思います。」
体の力が抜け、自然な笑みを浮かべて挨拶すると、マリウス殿下も嬉しそうに笑って下さった。
貴族達の挨拶の間は、先輩の護衛騎士が王族の警護をするので会場の警護を手伝う。
貴族達の挨拶が終わると、国に貢献したとして特別な褒章を与えられる令嬢がいるらしく、その令嬢を一目見ようと貴族が殺到する。
殺到した人達を宥める為に必死だったので姿を見ることが出来なかったが···年もあまりかわらない令嬢が褒章を授与されることに私は驚いた。
姿を見てみたかったな。
褒章の授与が終わり、殿下の警護に戻ろうとすると···綺麗に着飾った令嬢達に囲まれてしまった。
エルスティン本人は自覚はないが、長身で整った顔立ち、均整の取れた逞しい体、珍しい緑色の髪、金色の瞳は肉食獣のように妖しく煌めいていて、ワイルド系のイケメンに育っていた···。
そして最年少でトーナメントに優秀し、第一王子の護衛騎士に選ばれたエリートで出世は間違いなし、侯爵家の嫡男なのだから令嬢達が放っておいてはくれない。
「エルスティン様、今度我が家のパーティーに参加して下さいませんかぁ?」
化粧品や強い香水の香りに吐きそうになった。
剣一筋のエルスティンは、女性にあまり免疫がないことに加えて、化粧品や香水の香りにも免疫がない。
エルスティンにとって地獄のようだった。
そして令嬢達に袖や服を捕まれて逃げられない。
「申し訳ないが、私は今任務中だ。王子の護衛に戻らねばならないから離してくれ。」
と無理矢理令嬢達の手を力ずくで引き剥がした。
マリウス殿下を探してキョロキョロ周りを見渡すと、マリウス殿下は誰かと談笑していた。
「マリウス殿下。遅くなってしまい申し訳ありません。ちょっとご令嬢方に捕まってしまいました···。こちらの女性は?」
私は殿下に遅れたことを詫びると、殿下の話し相手の顔を見た。
その瞬間、体がまるで沸騰するように熱を帯びた。
その女性はまるで、天上から舞い降りた天使のようだったのだ。
雪のように白い肌、輝く太陽のようなプラチナブロンドの髪、まるで人形のように整った顔立ち。
優しげな柔らかい目元、綺麗なアイスブルーの瞳。
なんて美しいんだ···。
こんなにも美しい女性がこの世にいたなんて。
私が見惚れていると、殿下が彼女を紹介してくれた。
彼女が褒章を授与された女性···。
紹介された彼女が優しく微笑む。
ドクドクと、自分の心臓の音が聞こえる。
彼女に慌てて挨拶をすると、彼女も挨拶を返してくれた。
レティシア···素敵な名前だ。
それに彼女が、私を逞しくて頼りがいがあって素敵だと褒めてくれるものだから、恥ずかしくて顔を上げられない。
でも嬉しかった。
今までの私の努力をわかって褒めてくれるのが。
身長の低い彼女が、下から覗き込むように上目遣いで私を見る。
ダメだ···そのアングルは反則だろう。
しかも、身長差のせいで···バッチリ胸の谷間まで見えてしまう···。
ダメだ。淑女の胸の谷間を見るなんて。
見たらダメだ。見たらダメだ。
しかもこんなに至近距離で微笑まれたら···。
可愛い。可愛すぎる···。
恥ずかしさと照れ臭さとで、きっと私の顔は人に見せられないほど酷い事になっていると思う。
マリウス殿下とロメロ様が苦笑いしているのがわかる。
見てるなら助けて下さい···。
鼻血が出なかっただけ褒めてほしい。
天使との邂逅は忘れられない思い出になった。
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