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抜け落ちていく欲と罪悪感
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「この村もあの雨のせいで一時期は食うもんもなくなってしまってなぁ。最初は亡くなったもんを、それからは先行き短い爺さん婆さん達だった。分かっとったんだろうなあ、大した抵抗もされんかった」
男性が遠くを見ながらそう零すと、周りの男性達もうんうんと頷いた。
「元々人の数はそう多くはない、死んだ人も老人も、次第に食い尽くしちまった。すると次に産まれたばかりの赤ん坊や小さな子供を食べるようになった」
「年老いた肉とは全然違うんだよ」
男達はまるで最高級の肉だと言わんばかりに、目を輝かせる。
「もうすぐ産まれてくる子もおるが、子供というのはそう欲しいと思ってすぐに生まれてくるわけじゃあない」
「そうだ。つまり俺達が今からするのは、先を見据えた種蒔っちゅうことじゃ」
「そんな顔するんじゃねえよ、土に種蒔きゃ花が育つ。千切って部屋に置く。それと一緒やろ」
暗い顔をする二人を大人達が宥めて、皆食事を終えたのだろう。その部屋を後にした。
「はやくしねーか。女共が待ってるぞ」
卑しい性欲などではない。生きていく為に仕方がないのだ。食べていく他ない。そう言い聞かせて、二人は男達の後を追った。
村には女性だけを住まわせる建物が何軒か存在する。近場にいくつかまとめて用意しているようだ。
初めて見た時は驚いた。二人もここには女性があまりいないものだと思い込んでいたのだ。
「あっちがもうすぐ産まれる。こっちはまだしるしが確認できていない女達だ」
男がそれぞれ建物を指を差し言った。妊娠のしるしがない限りは毎日男達に陵辱され続ける。
二人にはしるしが何なのかが分からなかったが、顔を見合わせていると「とにかくこっちにいる女達は好きにして良い」と言われた。
この村に来た時良くしてくれた夫婦がいた。確かそこの奥さんはお腹が大きかった。何故ここに入らずに自分達の家で暮らしているのか。
疑問に思った定信が尋ねる。
「あの家にいる以外に身籠っている人はいないんですか?」
すると男の一人が答える。
「何人かは少し育てるんだよ。そういうのは元の家で暮らさせてる」
隣にいる定史が眉をひそめた兄を見て不思議そうにしていると、定信はこそこそと耳打ちする。
「肉の量を増やすために少し大きくするんやと」
それを聞いた定史はぞっとして見を縮めた。
男達は二つの家に分かれて入っていった。
中に入ると、顔色の悪い女や目を真っ赤に泣き腫らした女がこちらを睨む。一つの家に10人程いて、男達も合わせると家が凄く狭く感じる。
定信は一瞬怯み、足を止める。目を合わせぬよう下を向いて歩いていた定史が後ろからぶつかった。
「何してんだ、ほら」
二人にもそれぞれ若い女性が宛てがわれる。
あ、この間の、定信は初めに来た時の事を思い出していた。
定信が男に押されて前のめりになりながら、その女性の前に崩れ落ちた。
「あの、」
「喋らないで」
何か声を掛けなくては、そう思い口を開けたもののそれを遮り女はピシャリと言いはねた。久しぶり、は違うと思った。
「オ、私は、定信と言います」
何の因果か二度も体を交えることになったのだ。名前位は教えてほしいとまずは自分が名乗る。定信は大変な初でこれまで女性と色を交わしたことがなかった。名前の尋ね方など父には教わらなかったと心の中で悪態をつく。
女は黙ったまま腐りかけの魚を見るような目で定信を見ていた。
隣で男が息を荒くし、女を掻き抱くのが目に入る。弟の方を見るのは憚られそちらを見ないよう気を付けた。
定信はあちこちから聞こえる悲鳴にも似た女性の声に下半身が熱くなるのを感じる。しかし、この女は黙ったままだった。
「この前は、その、授からんやったんやな」
定信にとって特に意味はなかった。まだここにいるからこの間の行為では子供が出来なかったんだな、と思ったことを言っただけだった。
女は目を丸くすると定信の腹に拳を叩き込んだ。定信はさっき食った肉が出るかと思ったが、げほげほと激しく咳き込むだけだった。
「男を殴る女なんて、聞いたこと、」
「聞いたことないって?私だってこんな時に名乗らされたことないよ、黙ってとっととして」
そう言うと女は自ら小袖の重ねを外し、胸元をはだけさせる。
こういう時は名を聞かないのか、定信は納得し小さな乳房に手を伸ばした。
一度始めてしまえば薄っぺらな羞恥よりも醜い欲の方が勝る。定信は無我夢中で熱く滾るものを肉壁の奥へと打ち付ける。
「ここが良いのか」
「お前もコレが欲しかったんだろう」
そんな男達の声もやがて気にならなくなり、己の快感だけに集中した。女の反応のなさもさして気になりはしなかった。
女は防衛本能が働きわずかに濡れただけのそこを何度も突かれ、時折声を詰まらせながら顔を苦しそうに歪める。
目を瞑り黙って腰を振っていた定信がそのうち息を荒げて呻くような声を漏らし、女の体を引き寄せながらより一層奥に届くようにと三度ほど強く打ち付ける。
溜まっていたものを女の中に吐き出すと、深く息を吐きながらズルリと勢いのなくなった自身が抜けるのを脱力しきった顔で眺める。
呼吸を整える。どこか呆けたように目の前の女に目をやる。先程まで繋がっていた箇所から白濁した液が零れ落ちるが、今では何とも感じない。
今まで体の奥に激っていた熱が嘘のように穏やかになっていて、女に触れる前の罪悪感でさえもう思い出せそうにない。
この先も美味しい肉を食べる為に仕方がない事だ。 家畜だってこうやって増やす。何が悪いというのか。
男達はそれぞれに行為を終え、好きに家に帰る。部屋を見渡してみればもう殆ど人がおらず、自分と定史の二人しか残ってはいなかった。
定史の様子のおかしい事に気が付く。
「定史、お前どうして」
定史は女性を前にして座り込み、ポロポロと涙を流しているだけだった。
女性に目をやれば着衣は少しの乱れも見当たらない。困ったように定信に目を向ける。
「この子、あんたの弟かい?どうしちゃったんだよ」
女性は自分が何かいけなかったのかとまで考えていた。
しかし定史は産まれてくる子のことを思うと、泣かずにはいられなかった。獣のように覆い被さる村の男たちや兄が酷く恐ろしい生き物に思えた。
定信と定史の前に座る女性がどうにか宥めようと定史の背を擦ったり手拭いを差し出したりしながらやっとこの事で落ち着かせた。
二人がしばらく世話になる男の家に戻ると、その男はもう既に眠っており、二人もそれに倣い眠りについた。
男性が遠くを見ながらそう零すと、周りの男性達もうんうんと頷いた。
「元々人の数はそう多くはない、死んだ人も老人も、次第に食い尽くしちまった。すると次に産まれたばかりの赤ん坊や小さな子供を食べるようになった」
「年老いた肉とは全然違うんだよ」
男達はまるで最高級の肉だと言わんばかりに、目を輝かせる。
「もうすぐ産まれてくる子もおるが、子供というのはそう欲しいと思ってすぐに生まれてくるわけじゃあない」
「そうだ。つまり俺達が今からするのは、先を見据えた種蒔っちゅうことじゃ」
「そんな顔するんじゃねえよ、土に種蒔きゃ花が育つ。千切って部屋に置く。それと一緒やろ」
暗い顔をする二人を大人達が宥めて、皆食事を終えたのだろう。その部屋を後にした。
「はやくしねーか。女共が待ってるぞ」
卑しい性欲などではない。生きていく為に仕方がないのだ。食べていく他ない。そう言い聞かせて、二人は男達の後を追った。
村には女性だけを住まわせる建物が何軒か存在する。近場にいくつかまとめて用意しているようだ。
初めて見た時は驚いた。二人もここには女性があまりいないものだと思い込んでいたのだ。
「あっちがもうすぐ産まれる。こっちはまだしるしが確認できていない女達だ」
男がそれぞれ建物を指を差し言った。妊娠のしるしがない限りは毎日男達に陵辱され続ける。
二人にはしるしが何なのかが分からなかったが、顔を見合わせていると「とにかくこっちにいる女達は好きにして良い」と言われた。
この村に来た時良くしてくれた夫婦がいた。確かそこの奥さんはお腹が大きかった。何故ここに入らずに自分達の家で暮らしているのか。
疑問に思った定信が尋ねる。
「あの家にいる以外に身籠っている人はいないんですか?」
すると男の一人が答える。
「何人かは少し育てるんだよ。そういうのは元の家で暮らさせてる」
隣にいる定史が眉をひそめた兄を見て不思議そうにしていると、定信はこそこそと耳打ちする。
「肉の量を増やすために少し大きくするんやと」
それを聞いた定史はぞっとして見を縮めた。
男達は二つの家に分かれて入っていった。
中に入ると、顔色の悪い女や目を真っ赤に泣き腫らした女がこちらを睨む。一つの家に10人程いて、男達も合わせると家が凄く狭く感じる。
定信は一瞬怯み、足を止める。目を合わせぬよう下を向いて歩いていた定史が後ろからぶつかった。
「何してんだ、ほら」
二人にもそれぞれ若い女性が宛てがわれる。
あ、この間の、定信は初めに来た時の事を思い出していた。
定信が男に押されて前のめりになりながら、その女性の前に崩れ落ちた。
「あの、」
「喋らないで」
何か声を掛けなくては、そう思い口を開けたもののそれを遮り女はピシャリと言いはねた。久しぶり、は違うと思った。
「オ、私は、定信と言います」
何の因果か二度も体を交えることになったのだ。名前位は教えてほしいとまずは自分が名乗る。定信は大変な初でこれまで女性と色を交わしたことがなかった。名前の尋ね方など父には教わらなかったと心の中で悪態をつく。
女は黙ったまま腐りかけの魚を見るような目で定信を見ていた。
隣で男が息を荒くし、女を掻き抱くのが目に入る。弟の方を見るのは憚られそちらを見ないよう気を付けた。
定信はあちこちから聞こえる悲鳴にも似た女性の声に下半身が熱くなるのを感じる。しかし、この女は黙ったままだった。
「この前は、その、授からんやったんやな」
定信にとって特に意味はなかった。まだここにいるからこの間の行為では子供が出来なかったんだな、と思ったことを言っただけだった。
女は目を丸くすると定信の腹に拳を叩き込んだ。定信はさっき食った肉が出るかと思ったが、げほげほと激しく咳き込むだけだった。
「男を殴る女なんて、聞いたこと、」
「聞いたことないって?私だってこんな時に名乗らされたことないよ、黙ってとっととして」
そう言うと女は自ら小袖の重ねを外し、胸元をはだけさせる。
こういう時は名を聞かないのか、定信は納得し小さな乳房に手を伸ばした。
一度始めてしまえば薄っぺらな羞恥よりも醜い欲の方が勝る。定信は無我夢中で熱く滾るものを肉壁の奥へと打ち付ける。
「ここが良いのか」
「お前もコレが欲しかったんだろう」
そんな男達の声もやがて気にならなくなり、己の快感だけに集中した。女の反応のなさもさして気になりはしなかった。
女は防衛本能が働きわずかに濡れただけのそこを何度も突かれ、時折声を詰まらせながら顔を苦しそうに歪める。
目を瞑り黙って腰を振っていた定信がそのうち息を荒げて呻くような声を漏らし、女の体を引き寄せながらより一層奥に届くようにと三度ほど強く打ち付ける。
溜まっていたものを女の中に吐き出すと、深く息を吐きながらズルリと勢いのなくなった自身が抜けるのを脱力しきった顔で眺める。
呼吸を整える。どこか呆けたように目の前の女に目をやる。先程まで繋がっていた箇所から白濁した液が零れ落ちるが、今では何とも感じない。
今まで体の奥に激っていた熱が嘘のように穏やかになっていて、女に触れる前の罪悪感でさえもう思い出せそうにない。
この先も美味しい肉を食べる為に仕方がない事だ。 家畜だってこうやって増やす。何が悪いというのか。
男達はそれぞれに行為を終え、好きに家に帰る。部屋を見渡してみればもう殆ど人がおらず、自分と定史の二人しか残ってはいなかった。
定史の様子のおかしい事に気が付く。
「定史、お前どうして」
定史は女性を前にして座り込み、ポロポロと涙を流しているだけだった。
女性に目をやれば着衣は少しの乱れも見当たらない。困ったように定信に目を向ける。
「この子、あんたの弟かい?どうしちゃったんだよ」
女性は自分が何かいけなかったのかとまで考えていた。
しかし定史は産まれてくる子のことを思うと、泣かずにはいられなかった。獣のように覆い被さる村の男たちや兄が酷く恐ろしい生き物に思えた。
定信と定史の前に座る女性がどうにか宥めようと定史の背を擦ったり手拭いを差し出したりしながらやっとこの事で落ち着かせた。
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