【R18】【挿絵多い】理想の女

まへまへ

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第6話 初めてのラブホテル

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ーーーー 2人は旅行に出発した。

ハンドルを握る一平の横で、麗子は助手席に座り、流れる景色を眺めていた。

窓の外は初夏の緑がまぶしく、風にそよぐ稲の匂いがほんのりと漂ってくる。

「なんか、久しぶりに二人で遠出する気がするね」

麗子がそう口にすると、一平は軽く笑った。

「だな。最近はお互いバタバタしてたし。やっとデートっぽいことできる」

その会話をしながらも、麗子の心臓は早鐘のように高鳴っていた。

――薬じゃなくても、あの姿になれる。

クローゼットに隠していた黒肌のシリコンスーツ、そして赤いラバーの衣装。

夜、ラブホテルであの「化け物の私」を一平に見せることを思うと、興奮を抑えきれなかった。

「ねえ、一平」

声が少し震えていた。

「……もし、あのときみたいに、また赤い化け物になったら……びっくりする?」

一平はハンドルを握ったまま、ちらりと彼女を見やり、ニヤリと笑う。

「驚くに決まってる。でも、また見たいって思ってる」

麗子は顔を赤らめ、慌てて窓の外を向いた。

「ほんと……バカ。そんなこと言わなくてもいいのに」

唇の端は緩んでいた。

一平はさらに追い打ちをかけるように、冗談めかして言った。

「薬じゃなくても変身できるんだろ? だったら今日は、久しぶりに“本気の麗子”を見せてよ」

麗子はドキリとして、座席で手をぎゅっと握った。

――私の秘密の楽しみを、一平が望んでいる。

胸の奥で、ラバーに包まれるときの一体感が甦り、期待と興奮が溶け合って広がっていく。

「……じゃあ、覚悟しておいてね」

麗子は小さな声でそう告げた。

車内には軽快な音楽が流れているのに、二人の間には別のリズムが生まれていた。

夜に訪れるであろう「再会」への期待。その鼓動は、二人を自然と同じ未来へ引き寄せていた。

車は静かに田舎道を走り、街灯もまばらな夜道を抜ける。

麗子は助手席でソワソワしながら、バッグの中の黒肌シリコンスーツ、赤いラバー、カラコン、牙の特殊メイクセットを再確認する。

「忘れ物ないよね……」

小さくつぶやき、自分に言い聞かせる麗子。隣で運転する一平はちらりと彼女を見て、ニヤリと笑う。

「さあ、久しぶりに.....。」

その声の奥には、ただの期待だけではない、一平の別の目的が隠れていることに麗子はまだ気づかない。

やがてラブホテルの明かりが見え、車は駐車場に滑り込む。

入口の受付で鍵を受け取り、二人はエレベーターで上階へ。

「さて、どの部屋にする?」

一平が部屋の一覧を確認する。カラフルなポスターやドアの装飾が並ぶ中、一つの部屋に目を止める。

「これにしよう。ラバーの衣装が映えるかな。」

一平は冗談交じりに言うが、その選択に確信がある。

「えっ……SMルーム!?」

麗子の目が大きく見開かれる。初めてのラブホテル、しかも選ばれた部屋はまさかのSMルームだった。

「大丈夫、大丈夫。カラオケもあるし、色々楽しめるって。それにあのラバーの妖艶な雰囲気にピッタリだよ。」

一平は、カードキーを手に取りドアを開ける。

部屋に入ると、控えめな照明と壁に取り付けられた小物、ベッドの上の備品に麗子は驚きを隠せない。

けれど、一平は笑顔で彼女を見つめながら、荷物を置き、カーテンを開けて外の夜景を見せる。

「ほら、見て。こんなところで過ごすのもたまにはいいだろ?」

麗子は少し戸惑いながらも、目を輝かせる。

初めてのラブホテルで、しかもSMルームという非日常。

ドキドキと興奮が入り混じった表情で、一平に向かって微笑む。

「……うん、楽しみ……」

小さくつぶやく麗子の声には、期待と少しの緊張が混ざっていた。

そのまま部屋に荷物を置き、二人はこれからの夜に備える。

麗子は、心の奥で高鳴る興奮を押さえつつ、一平と過ごす時間を待つのだった。
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