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第15話 SNSでの再会
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順子は画面を前に座り直し、手が微かに震えたまま配信を続ける。
ラバーマスク越しの目は、どこか落ち着きを取り戻そうと必死で自分を保っていた。
「えっと……みんな、こんばんは」
声は少し震えていたが、コメント欄は相変わらず流れ続ける。
「可愛い!」
「そのラバー、最高!」
「プロフェッショナルすぎる!」
順子は深呼吸し、指を滑らせてコメントに軽くリアクションする。
「ありがとう……嬉しいです」
「今日は少しフロア勤務の話もしてみようかな……」
リスナーたちは反応を返し、ラバーマスクガールとしての存在感を称賛する。
順子は混乱と高揚の間で、少しずつ自分を取り戻していく。
コメントの中で、時折「J子」と呼ぶ文字を見かけるたび、胸の奥がチクリと痛む。
それでも、ラバーマスク越しの自分に反応してくれる声があることが、彼女に勇気を与えていた。
「みんな……応援してくれてるんですね……」
頬がラバーの下で熱くなるのを感じながら、順子は指先で画面のコメントに目を走らせる。
──混乱してるけど、でも……
この空間では、誰も知らない自分として、思いっきり受け入れられる。
そしてその先に、あの人──悟の存在を意識せずにはいられない自分がいた。
ーーーー 一方の悟の部屋。
自室の明かりは控えめで、スマホの画面だけが悟の顔を照らしていた。
「……また見てしまうな」
夜の時間、料理の研究や資料を整理する傍ら、悟はふとプッシュ通知で届いた配信に目を向ける。
──ラバーマスクガールの配信開始。
画面の中では、洗練された黒光りのラバースーツに包まれ、妖艶な動きを見せる姿。
コメント欄はすでに乱立し、リスナーたちの興奮した文字が画面いっぱいに流れていた。
「……あれ? 俺のコメント……反応してる?」
さっき送った「食べに帰っておいでよ。J子」のコメントは、流れるコメントの中に埋もれてしまっていた。
でも、画面の中のラバーマスクガールの視線や小さな仕草に、妙な反応のような気がしてならない。
(まさか……反応してるわけないよな)
そう思いつつ、イタズラ心が芽生える。
コメント欄の流れを無視して、新たに文字を打ち込む。
「J子。キスしてほしい」
送信ボタンを押すと、画面越しのラバーマスクガールが一瞬、動きを止めた。
そして、明らかにそのコメントを意識したかのように、視線をカメラに向ける。
微かに首を傾げ、口元で小さく「ん?」とでも言うような仕草。
悟は息をのんだ。
──まさか……
ドキドキが胸の中で跳ね上がり、手が震える。
荒れ狂うコメント欄の喧騒の中で、悟の文字だけが、彼女の注意を確かに捕らえた瞬間だった。
ーーーー順子の描写
コメント欄の中に、自分宛のように見える文字を見つけた瞬間、ラバーマスクガール――J子の胸がざわついた。
「……え……?」
『J子。キスしてほしい』
乱立するコメントの中で、まるで彼女だけを見ているかのように光る文字。
目を大きく見開き、唇をわずかに噛む。
心臓が激しく鼓動し、全身が熱くなる。
──悟に気づかれている……?
理性では「まさか」と思いながらも、胸の奥がざわつき、手が震える。
配信を続けることが、急に怖くなった。
「今日は……体調が悪いので……」
ラバーマスク越しにそう呟く。
視線は画面のカメラに向け、ゆっくりと唇を近づける。
小さく、けれど確かに画面に向かってキスをする。
その一瞬で、視聴者も、そしてコメントを打った人物も、彼女の意図を感じ取れるだろう。
「……おやすみなさい」
小さく告げ、配信を終了する。
画面が暗転すると、心臓の高鳴りがそのまま残り、胸の奥で甘く切ない熱が渦巻いた。
──やっぱり、私は……あの人に見られている気がする。
ラバーマスクの下で赤く染まった頬に手をあてながら、順子は深く息をついた。
混乱と高揚、そして懐かしい想い。
そのすべてが入り混じったまま、夜は静かに更けていった。
ーーーー悟の同時刻の描写
悟は布団に横たわり、スマホを手にしてラバーマスクガールの配信を眺めていた。
黒光りのラバースーツ、目と口だけのマスク。
カメラ越しに揺れる動き、妖艶な姿。コメント欄には熱狂するリスナーの文字が流れる。
(……すごいな。プロだ)
画面に映る人物の存在感に、自然と目を奪われる。
先ほど送った「キスしてほしい」のコメントに反応したような仕草もあった気がしたが、悟はすぐに頭を振った。
(いや、まさか……順子なわけ、ないよな)
高校時代のあの子の面影と重ね合わせて見てしまいそうになる自分を、必死に否定する。
順子は東京で看護師を目指している。ラバーマスクガールとは別の世界にいるはずだ。
それでも、目の前の配信者の動きに心を掴まれる感覚は止まらない。
誰か知らない、ただのリスナー越しの存在。
けれど、その存在に見とれ、息をのむ自分がそこにいた。
(……ま、これからは面白半分でコメントでも打つか)
冗談半分、興味半分で、悟は再びコメント欄に文字を打ち込む。
画面の中のラバーマスクガールは、その動きのひとつひとつで、見る者を引き込む力を持っていた。
夜は静かに更ける。
悟は「順子かもしれない」という考えを振り払いながらも、知らず知らずのうちに、ラバーマスクガールに心を奪われていた。
ラバーマスク越しの目は、どこか落ち着きを取り戻そうと必死で自分を保っていた。
「えっと……みんな、こんばんは」
声は少し震えていたが、コメント欄は相変わらず流れ続ける。
「可愛い!」
「そのラバー、最高!」
「プロフェッショナルすぎる!」
順子は深呼吸し、指を滑らせてコメントに軽くリアクションする。
「ありがとう……嬉しいです」
「今日は少しフロア勤務の話もしてみようかな……」
リスナーたちは反応を返し、ラバーマスクガールとしての存在感を称賛する。
順子は混乱と高揚の間で、少しずつ自分を取り戻していく。
コメントの中で、時折「J子」と呼ぶ文字を見かけるたび、胸の奥がチクリと痛む。
それでも、ラバーマスク越しの自分に反応してくれる声があることが、彼女に勇気を与えていた。
「みんな……応援してくれてるんですね……」
頬がラバーの下で熱くなるのを感じながら、順子は指先で画面のコメントに目を走らせる。
──混乱してるけど、でも……
この空間では、誰も知らない自分として、思いっきり受け入れられる。
そしてその先に、あの人──悟の存在を意識せずにはいられない自分がいた。
ーーーー 一方の悟の部屋。
自室の明かりは控えめで、スマホの画面だけが悟の顔を照らしていた。
「……また見てしまうな」
夜の時間、料理の研究や資料を整理する傍ら、悟はふとプッシュ通知で届いた配信に目を向ける。
──ラバーマスクガールの配信開始。
画面の中では、洗練された黒光りのラバースーツに包まれ、妖艶な動きを見せる姿。
コメント欄はすでに乱立し、リスナーたちの興奮した文字が画面いっぱいに流れていた。
「……あれ? 俺のコメント……反応してる?」
さっき送った「食べに帰っておいでよ。J子」のコメントは、流れるコメントの中に埋もれてしまっていた。
でも、画面の中のラバーマスクガールの視線や小さな仕草に、妙な反応のような気がしてならない。
(まさか……反応してるわけないよな)
そう思いつつ、イタズラ心が芽生える。
コメント欄の流れを無視して、新たに文字を打ち込む。
「J子。キスしてほしい」
送信ボタンを押すと、画面越しのラバーマスクガールが一瞬、動きを止めた。
そして、明らかにそのコメントを意識したかのように、視線をカメラに向ける。
微かに首を傾げ、口元で小さく「ん?」とでも言うような仕草。
悟は息をのんだ。
──まさか……
ドキドキが胸の中で跳ね上がり、手が震える。
荒れ狂うコメント欄の喧騒の中で、悟の文字だけが、彼女の注意を確かに捕らえた瞬間だった。
ーーーー順子の描写
コメント欄の中に、自分宛のように見える文字を見つけた瞬間、ラバーマスクガール――J子の胸がざわついた。
「……え……?」
『J子。キスしてほしい』
乱立するコメントの中で、まるで彼女だけを見ているかのように光る文字。
目を大きく見開き、唇をわずかに噛む。
心臓が激しく鼓動し、全身が熱くなる。
──悟に気づかれている……?
理性では「まさか」と思いながらも、胸の奥がざわつき、手が震える。
配信を続けることが、急に怖くなった。
「今日は……体調が悪いので……」
ラバーマスク越しにそう呟く。
視線は画面のカメラに向け、ゆっくりと唇を近づける。
小さく、けれど確かに画面に向かってキスをする。
その一瞬で、視聴者も、そしてコメントを打った人物も、彼女の意図を感じ取れるだろう。
「……おやすみなさい」
小さく告げ、配信を終了する。
画面が暗転すると、心臓の高鳴りがそのまま残り、胸の奥で甘く切ない熱が渦巻いた。
──やっぱり、私は……あの人に見られている気がする。
ラバーマスクの下で赤く染まった頬に手をあてながら、順子は深く息をついた。
混乱と高揚、そして懐かしい想い。
そのすべてが入り混じったまま、夜は静かに更けていった。
ーーーー悟の同時刻の描写
悟は布団に横たわり、スマホを手にしてラバーマスクガールの配信を眺めていた。
黒光りのラバースーツ、目と口だけのマスク。
カメラ越しに揺れる動き、妖艶な姿。コメント欄には熱狂するリスナーの文字が流れる。
(……すごいな。プロだ)
画面に映る人物の存在感に、自然と目を奪われる。
先ほど送った「キスしてほしい」のコメントに反応したような仕草もあった気がしたが、悟はすぐに頭を振った。
(いや、まさか……順子なわけ、ないよな)
高校時代のあの子の面影と重ね合わせて見てしまいそうになる自分を、必死に否定する。
順子は東京で看護師を目指している。ラバーマスクガールとは別の世界にいるはずだ。
それでも、目の前の配信者の動きに心を掴まれる感覚は止まらない。
誰か知らない、ただのリスナー越しの存在。
けれど、その存在に見とれ、息をのむ自分がそこにいた。
(……ま、これからは面白半分でコメントでも打つか)
冗談半分、興味半分で、悟は再びコメント欄に文字を打ち込む。
画面の中のラバーマスクガールは、その動きのひとつひとつで、見る者を引き込む力を持っていた。
夜は静かに更ける。
悟は「順子かもしれない」という考えを振り払いながらも、知らず知らずのうちに、ラバーマスクガールに心を奪われていた。
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