【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

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第47話 カメラマンへの依頼

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夜の寮の部屋。

順子はラバーのケアを終え、机の上の携帯を見つめていた。

画面には「悟」の名前。

指先が少し震えながらも、通話ボタンを押した。

プルルル――プルルル――

三回目の呼び出し音のあと、「もしもし、順子?」と、少し疲れてけれど柔らかい声が返ってくる。

「悟~、お疲れさま!」

「うん。今日も昼の予約、満席でさ。やっと片づけ終わったところ。」

悟の声の奥には、充実と疲労が入り混じっている。

順子はその響きに、胸の奥があたたかくなるのを感じた。

「ねぇ、悟。春休みにさ――ミニ旅行行かない?」

電話の向こうで、一瞬間があいて、「えっ、旅行?」と、少し笑いを含んだ声。

「うん。ちょっとした記念旅行!」

悟は、ため息まじりに笑った。

「行きたいけどなぁ……今、お店がすごく繁盛してて、土日はもう動けないんだ。平日なら、なんとか……かな。」

「うんうん、平日で大丈夫!」

順子は身を乗り出して明るく答える。

「じゃあ、それで決まり!」

悟は少し安心したように笑って、

「楽しみだなぁ、二人で旅行かぁ。どこ行く?温泉?それとも海?」

「……あ、うん、それなんだけど。」

順子は口ごもった。

「え、なに?」

「二人じゃなくて……アキさんと、三人で行くの。」

電話の向こうで、しばし沈黙。

「……え? アキさんって、あの倶楽部のリーダーの?」

「うん。アキは倶楽部での名前で、本名は“麗子さん”だけどね。」

順子は笑いながら説明を続けた。

「実はね、卒業記念ラバー旅をやろうって話になって!」

「……卒業記念……ラバー旅?」

悟の声が、すこし固まったように低くなる。

「そう! 記念にラバー姿で撮影するの!」

「……撮影……?」

「うん! で、撮影係が必要でしょ?だから悟にお願いしようって!」

また沈黙。

受話器の向こうで、悟がなにか妄想しているのが伝わる。



やがて――小さな、でも真剣な声で。

「……行きたい。」

「え?」

「行きたいです!行かせてください!!なんでもします!!」

「ぷっ……!」

順子はこらえきれずに吹き出した。

「悟、真顔で言ってるでしょそれ!」

電話の向こうで、悟が少し間を置いて、「だってさ――」と、声のトーンを落としながら、妙に真剣に言う。

「またラバー姿の順子、見れるだろ? 撮影できるだろ? おまけにアキさんもラバー姿なんだろ? ……ウフフ。」

「ちょっ! ちょっと悟!」

順子は思わず大声を上げた。

「いま“ウフフ”って言った? 完全に顔にやけてるでしょ!」

「に、にやけてない!そんなことないって!」

焦ったように弁解する悟の声が、かえって胡散臭い。

「にやけてるの、わかるんだからね!」

順子は半分呆れ、半分笑いながら声を弾ませる。

「いやいや!誤解だって!」

悟は必死に言い訳を続ける。

「それはあくまで――ふたりの記念を最高の形で残すために! 俺はその使命感で、撮影を……!」

「全然自分のためじゃん、それ!」

順子の突っ込みに、受話器越しに小さな笑い声が混じる。

「……まあ、ちょっとはあるけどさ。」

悟はついに観念したように笑い出した。

「でも俺、免許取ったから。レンタカー運転できるよ!ドライブも安心!」

「えっ、ほんと?!」

順子の声が弾んだ。

「じゃあ、悟が運転してくれるんだ!」

「任せろ。助手席の順子はナビな。」

「よっしゃー!」

順子は両手を突き上げるように喜んでから、

少し笑って肩をすくめた。

「まあ……さっきのニタニタは、これで許してあげる。」

「え、ほんと? やった!」

電話の向こうで、悟の声がぱっと明るくなる。

順子は、そんな彼の反応にくすっと笑いながら、少しだけ声のトーンを落とした。

「ねぇ、悟。」

「ん?」

「旅行は日帰りだけど……夜は少し、二人の時間にしようね。」

悟は、一瞬言葉を失って、

「……え?」と間の抜けた返事をする。

順子はいたずらっぽく笑って、

「頑張ってくれたら、ちゃんと“お礼”考えておくからね♡」

「お礼……?」

「ふふ、それは当日のお楽しみ♡」

悟の頬が電話越しにも熱くなるのがわかる。

順子はその反応に満足そうに息をつき、

「じゃあね、悟。ちゃんと寝てね。」と優しく囁いた。

「……うん。なんか、寝れないかも。」

順子は笑いを堪えながら、「バカだなぁ」と言って通話を切った。

夜の静かな部屋に、通話終了の音だけが残る。

順子はスマホを胸に抱きしめ、ふわりと頬を緩めた。


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