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第47話 カメラマンへの依頼
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夜の寮の部屋。
順子はラバーのケアを終え、机の上の携帯を見つめていた。
画面には「悟」の名前。
指先が少し震えながらも、通話ボタンを押した。
プルルル――プルルル――
三回目の呼び出し音のあと、「もしもし、順子?」と、少し疲れてけれど柔らかい声が返ってくる。
「悟~、お疲れさま!」
「うん。今日も昼の予約、満席でさ。やっと片づけ終わったところ。」
悟の声の奥には、充実と疲労が入り混じっている。
順子はその響きに、胸の奥があたたかくなるのを感じた。
「ねぇ、悟。春休みにさ――ミニ旅行行かない?」
電話の向こうで、一瞬間があいて、「えっ、旅行?」と、少し笑いを含んだ声。
「うん。ちょっとした記念旅行!」
悟は、ため息まじりに笑った。
「行きたいけどなぁ……今、お店がすごく繁盛してて、土日はもう動けないんだ。平日なら、なんとか……かな。」
「うんうん、平日で大丈夫!」
順子は身を乗り出して明るく答える。
「じゃあ、それで決まり!」
悟は少し安心したように笑って、
「楽しみだなぁ、二人で旅行かぁ。どこ行く?温泉?それとも海?」
「……あ、うん、それなんだけど。」
順子は口ごもった。
「え、なに?」
「二人じゃなくて……アキさんと、三人で行くの。」
電話の向こうで、しばし沈黙。
「……え? アキさんって、あの倶楽部のリーダーの?」
「うん。アキは倶楽部での名前で、本名は“麗子さん”だけどね。」
順子は笑いながら説明を続けた。
「実はね、卒業記念ラバー旅をやろうって話になって!」
「……卒業記念……ラバー旅?」
悟の声が、すこし固まったように低くなる。
「そう! 記念にラバー姿で撮影するの!」
「……撮影……?」
「うん! で、撮影係が必要でしょ?だから悟にお願いしようって!」
また沈黙。
受話器の向こうで、悟がなにか妄想しているのが伝わる。
やがて――小さな、でも真剣な声で。
「……行きたい。」
「え?」
「行きたいです!行かせてください!!なんでもします!!」
「ぷっ……!」
順子はこらえきれずに吹き出した。
「悟、真顔で言ってるでしょそれ!」
電話の向こうで、悟が少し間を置いて、「だってさ――」と、声のトーンを落としながら、妙に真剣に言う。
「またラバー姿の順子、見れるだろ? 撮影できるだろ? おまけにアキさんもラバー姿なんだろ? ……ウフフ。」
「ちょっ! ちょっと悟!」
順子は思わず大声を上げた。
「いま“ウフフ”って言った? 完全に顔にやけてるでしょ!」
「に、にやけてない!そんなことないって!」
焦ったように弁解する悟の声が、かえって胡散臭い。
「にやけてるの、わかるんだからね!」
順子は半分呆れ、半分笑いながら声を弾ませる。
「いやいや!誤解だって!」
悟は必死に言い訳を続ける。
「それはあくまで――ふたりの記念を最高の形で残すために! 俺はその使命感で、撮影を……!」
「全然自分のためじゃん、それ!」
順子の突っ込みに、受話器越しに小さな笑い声が混じる。
「……まあ、ちょっとはあるけどさ。」
悟はついに観念したように笑い出した。
「でも俺、免許取ったから。レンタカー運転できるよ!ドライブも安心!」
「えっ、ほんと?!」
順子の声が弾んだ。
「じゃあ、悟が運転してくれるんだ!」
「任せろ。助手席の順子はナビな。」
「よっしゃー!」
順子は両手を突き上げるように喜んでから、
少し笑って肩をすくめた。
「まあ……さっきのニタニタは、これで許してあげる。」
「え、ほんと? やった!」
電話の向こうで、悟の声がぱっと明るくなる。
順子は、そんな彼の反応にくすっと笑いながら、少しだけ声のトーンを落とした。
「ねぇ、悟。」
「ん?」
「旅行は日帰りだけど……夜は少し、二人の時間にしようね。」
悟は、一瞬言葉を失って、
「……え?」と間の抜けた返事をする。
順子はいたずらっぽく笑って、
「頑張ってくれたら、ちゃんと“お礼”考えておくからね♡」
「お礼……?」
「ふふ、それは当日のお楽しみ♡」
悟の頬が電話越しにも熱くなるのがわかる。
順子はその反応に満足そうに息をつき、
「じゃあね、悟。ちゃんと寝てね。」と優しく囁いた。
「……うん。なんか、寝れないかも。」
順子は笑いを堪えながら、「バカだなぁ」と言って通話を切った。
夜の静かな部屋に、通話終了の音だけが残る。
順子はスマホを胸に抱きしめ、ふわりと頬を緩めた。
順子はラバーのケアを終え、机の上の携帯を見つめていた。
画面には「悟」の名前。
指先が少し震えながらも、通話ボタンを押した。
プルルル――プルルル――
三回目の呼び出し音のあと、「もしもし、順子?」と、少し疲れてけれど柔らかい声が返ってくる。
「悟~、お疲れさま!」
「うん。今日も昼の予約、満席でさ。やっと片づけ終わったところ。」
悟の声の奥には、充実と疲労が入り混じっている。
順子はその響きに、胸の奥があたたかくなるのを感じた。
「ねぇ、悟。春休みにさ――ミニ旅行行かない?」
電話の向こうで、一瞬間があいて、「えっ、旅行?」と、少し笑いを含んだ声。
「うん。ちょっとした記念旅行!」
悟は、ため息まじりに笑った。
「行きたいけどなぁ……今、お店がすごく繁盛してて、土日はもう動けないんだ。平日なら、なんとか……かな。」
「うんうん、平日で大丈夫!」
順子は身を乗り出して明るく答える。
「じゃあ、それで決まり!」
悟は少し安心したように笑って、
「楽しみだなぁ、二人で旅行かぁ。どこ行く?温泉?それとも海?」
「……あ、うん、それなんだけど。」
順子は口ごもった。
「え、なに?」
「二人じゃなくて……アキさんと、三人で行くの。」
電話の向こうで、しばし沈黙。
「……え? アキさんって、あの倶楽部のリーダーの?」
「うん。アキは倶楽部での名前で、本名は“麗子さん”だけどね。」
順子は笑いながら説明を続けた。
「実はね、卒業記念ラバー旅をやろうって話になって!」
「……卒業記念……ラバー旅?」
悟の声が、すこし固まったように低くなる。
「そう! 記念にラバー姿で撮影するの!」
「……撮影……?」
「うん! で、撮影係が必要でしょ?だから悟にお願いしようって!」
また沈黙。
受話器の向こうで、悟がなにか妄想しているのが伝わる。
やがて――小さな、でも真剣な声で。
「……行きたい。」
「え?」
「行きたいです!行かせてください!!なんでもします!!」
「ぷっ……!」
順子はこらえきれずに吹き出した。
「悟、真顔で言ってるでしょそれ!」
電話の向こうで、悟が少し間を置いて、「だってさ――」と、声のトーンを落としながら、妙に真剣に言う。
「またラバー姿の順子、見れるだろ? 撮影できるだろ? おまけにアキさんもラバー姿なんだろ? ……ウフフ。」
「ちょっ! ちょっと悟!」
順子は思わず大声を上げた。
「いま“ウフフ”って言った? 完全に顔にやけてるでしょ!」
「に、にやけてない!そんなことないって!」
焦ったように弁解する悟の声が、かえって胡散臭い。
「にやけてるの、わかるんだからね!」
順子は半分呆れ、半分笑いながら声を弾ませる。
「いやいや!誤解だって!」
悟は必死に言い訳を続ける。
「それはあくまで――ふたりの記念を最高の形で残すために! 俺はその使命感で、撮影を……!」
「全然自分のためじゃん、それ!」
順子の突っ込みに、受話器越しに小さな笑い声が混じる。
「……まあ、ちょっとはあるけどさ。」
悟はついに観念したように笑い出した。
「でも俺、免許取ったから。レンタカー運転できるよ!ドライブも安心!」
「えっ、ほんと?!」
順子の声が弾んだ。
「じゃあ、悟が運転してくれるんだ!」
「任せろ。助手席の順子はナビな。」
「よっしゃー!」
順子は両手を突き上げるように喜んでから、
少し笑って肩をすくめた。
「まあ……さっきのニタニタは、これで許してあげる。」
「え、ほんと? やった!」
電話の向こうで、悟の声がぱっと明るくなる。
順子は、そんな彼の反応にくすっと笑いながら、少しだけ声のトーンを落とした。
「ねぇ、悟。」
「ん?」
「旅行は日帰りだけど……夜は少し、二人の時間にしようね。」
悟は、一瞬言葉を失って、
「……え?」と間の抜けた返事をする。
順子はいたずらっぽく笑って、
「頑張ってくれたら、ちゃんと“お礼”考えておくからね♡」
「お礼……?」
「ふふ、それは当日のお楽しみ♡」
悟の頬が電話越しにも熱くなるのがわかる。
順子はその反応に満足そうに息をつき、
「じゃあね、悟。ちゃんと寝てね。」と優しく囁いた。
「……うん。なんか、寝れないかも。」
順子は笑いを堪えながら、「バカだなぁ」と言って通話を切った。
夜の静かな部屋に、通話終了の音だけが残る。
順子はスマホを胸に抱きしめ、ふわりと頬を緩めた。
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