【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

まへまへ

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第48話 早朝の集合

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夜行バスがゆっくりとバスターミナルに滑り込む。

早朝の空気はまだ冷たく、うっすらと白い息が漂っていた。

降車口の前で順子は、顔をうずめながら背伸びをして、人の流れの中をじっと見つめる。



そして——見つけた。

キャリーを片手に眠そうな顔でバスから降りてくる悟の姿。

「悟!」

順子が駆け寄ると、悟は目を丸くして笑う。

「お、おはよう……! え、順子? 寒くないのかよ!」

「寒いよ。待ってて寒かったから温めて~!」

そう言うなり、順子は勢いよく悟の胸に飛び込む。

コート越しに感じる体温が、あっという間に心まで温めてくれた。

「会いたかったよー!」

悟はその言葉に少し照れたように笑い、順子の肩を軽く抱き返す。

「俺もだって。ずっと会いたかった。」

二人はそのまましばらく言葉を失ったまま、お互いのぬくもりを確かめるように立ち尽くしていた。

やがて順子が、名残惜しそうに顔を上げる。

「さ、行こ。レンタカーの予約、もうすぐ時間だから。」

「おう!」

悟は眠気が吹き飛んだように背筋を伸ばし、キャリーを持ち直して順子の後を歩き出す。

ターミナルを出てまだ人通りの少ない通りを歩く。

朝の光がビルの隙間から差し込み、二人の影が並んで長く伸びていった。

「レンタカー店、ここから歩いて10分くらい?」

悟が地図を見ながら尋ねる。

「うん、予約したのはSUV。悟、運転頼んだよ。」

「任せろ。免許取ってからまだあんまり走ってないけどな!」

悟が笑うと、順子はクスッと笑って肩を軽く叩いた。

「ちょっと、それ不安なんですけど~。」

二人が笑い合いながら店に到着すると、手際よく手続きを済ませて車に乗り込む。

エンジンがかかると、車内に少し緊張と、どこか旅の始まりの高揚が混ざった空気が流れた。

「さて、次は麗子さんを迎えに行こう。」

順子がナビを操作しながら言う。

「大学の近くのコンビニ、だったよな。」

「うん、朝早くから準備してくれてるはず。」

悟はハンドルを握り、静かにアクセルを踏む。

走り出す車の中で、順子がふと微笑んだ。

「なんかね……こうして悟と旅行するの、すごく不思議な感じ。」

悟は少し照れながらも目を細めた。

「俺も。夢みたいだよ。順子と、アキさんと一緒に旅行なんてさ。」

外はまだ冬の名残が残る空気。

それでも、車の中だけは春のように温かかった。

朝の光がようやく街を金色に染めはじめたころ、大学近くのコンビニの前に、ひときわ目立つ長い黒髪の女性が立っていた。

足元には、大きなキャリーバッグ。

その横顔は、どこか凛としていて、それでいて微笑を含んだ穏やかな表情。

車が近づくと、麗子はすぐに気づいて、軽く手を振った。



「おーい、こっち!」

助手席の順子が嬉しそうに窓を開けて返す。

「麗子さん! おはようございます!」

車が停まると、悟は少し緊張した様子で外に出た。

そして深々と頭を下げる。

「は、初めまして! 順子からお話はよく聞いてました。悟といいます!」

麗子は目を細め、口元に笑みを浮かべた。

そのまま軽く腕を組んで、いたずらっぽく言う。

「“はじめまして”……じゃないんだな、それが。」

悟がきょとんとした顔をする。

麗子はクスッと笑いながら続けた。

「見たよ。あの日、二人が大学の前を仲良く歩いてたの。」

「えっ……!」

悟は完全に固まった。

順子は「うわぁぁぁ~!」と顔を両手で覆って笑う。

「もしかして、あの時の……!」

「そう、その時の“通りすがりの人”。吹き出しそうになって逃げたんだから。」

麗子は楽しそうに肩をすくめた。

そして、悟に優しく目を向ける。

「でもね、順子からもたーっぷり聞かされてるの。悟くんのこと。」

「えっ⁈」

悟が振り向くと、助手席の順子は慌てて顔をそらした。

「な、なにそれ、どんなこと話してるの!?」

麗子は片眉を上げて、わざと意味深に言った。

「そりゃあもう、“いろいろ”よ。」

悟の顔が真っ赤になる。

順子は慌てて麗子のキャリーバッグを持ち上げながら、話題を変えるように声を張る。

「さっ、さあ出発しよーっ! 渋滞する前に!」

麗子は堪えきれずに笑い出した。

「ふふっ、もう順子ったら、わかりやすい。」

悟は苦笑いしながら運転席に戻り、順子は助手席へ、麗子は後部座席にキャリーバッグを乗せて座る。

車がゆっくりと動き出すと、三人の間には、少しの照れと、これから始まる不思議な“旅”の期待が混ざった、温かい空気が流れていた。

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