【R18】【挿絵多い】ラバーマスクガール

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第53話 特別なランチタイム

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「じゃあ、着替えてランチにしようよ!」

順子が車内で提案する。

「うん、とりあえず山を降りよう。この辺りで良さそうなところを探そうよ」

麗子も頷き、助手席で髪を整える。

車はゆっくりと山道を下っていく。

周囲の木々の間から差し込む日差しが、車内に柔らかく揺れる。

森の奥で撮った写真をスマホに送り合いながら、三人は和気あいあいと笑顔を交わす。

順子がラバー姿の自分と麗子を見比べて「ここ、ちょっと妖艶に撮れたかな?」と問いかければ、麗子が「うん、すごくいい!」と笑う。

やがて山を下りると、ようやくスマホに電波が戻る。

三人は撮った写真を交換しながら、近くでランチができそうな場所を探し始める。

「うーん、ないなぁ…」

順子は少し困った顔で呟く。

「見えるのは、小さな魚屋さんと野菜の直売所くらいね」麗子が答える。


「あと、ちょっと小洒落たキャンプ場が一つあるけど…」順子が指差す。

「どうしようか…」

三人で顔を見合わせる。

「高速道路に戻ってサービスエリアで食べる?」

順子が提案すると、麗子も肩をすくめて「仕方ないよね。そうしよう」と笑う。

その瞬間、悟が思いついたようにニヤリと顔をほころばせる。

「俺に任せろ!」

順子と麗子は互いにキョトンとした顔を見合わせる。

「え…どういうこと?」順子が小声で尋ねる。

悟は何も答えず、静かに車を発進させる。

山道を抜け、高速道路のインターとは別の方へとハンドルを切る。

その背中には、自信に満ちた表情と、二人を笑顔にさせたいという強い意志が滲んでいた。

順子と麗子は、互いに顔を見合わせてクスリと笑う。

「あの子、何を考えてるんだろう…」

と麗子が小声で呟く。

順子も肩を揺らして笑いながら、「まあ、悟くんなら何とかしてくれるよね」と呟いた。

車内には笑い声と、これからのランチへの期待感が静かに満ちていく。


車は山道を抜け、悟はちょっとした直売所の前に車を停めた。

横には小さな魚屋が並び、朝採れの魚や地元の野菜がずらりと並んでいる。

「ん?悟、どうしたんだろう?」

順子が助手席から首をかしげる。

「お土産でも買うのかな?」

麗子も小声で不思議そうに呟く。

悟はさっと車を降りると、直売所の入り口に向かって歩き出す。

二人は不思議そうに見送る。

「何してるんだろうね?」

順子が呟くと、麗子も肩をすくめて「さあ、でもちょっと楽しみかも」と笑う。

程なくして、悟は大きな買い物袋を抱えて店から戻ってきた。

袋の中には色とりどりの野菜や魚が入っているのが見えた。

「順子、これ、何?」順子が興味津々に尋ねる。

「秘密!」悟はニヤリと笑いながら答える。

「秘密だって…」麗子もくすっと笑い、順子も思わず顔をほころばせる。

車は再び発進し、少し走ると、目的地の小さなキャンプ場に到着した。

駐車場に車を停めると、周囲は木々に囲まれ、静かで人の気配はチラホラくらい。

「えっ…え、どういうこと?」

順子と麗子が同時に首を傾げる。

「なんでここに来たの?」麗子も続ける。

悟は車から降り、二人に向かってふっと微笑む。

「ここで、俺が作るんだよ。みんなのランチを」

「えー!マジで!?ここで作るの!?」

順子は思わず声を上げ、目を輝かせる。

「うそー!楽しみすぎる!」

麗子も大きく手を叩き、笑顔がはじける。

「そうだ、今日は特別だ。二人とも俺の料理、楽しみにしてて!」

悟はニヤリと笑いながら、車から取り出した食材を広げ始める。

順子は思わず麗子に目を向け、「悟、やっぱりすごいなぁ」と小声で囁く。

麗子も目を輝かせて、「本当に、楽しみだね!」と応える。

三人の笑い声と期待感が、森の静けさに柔らかく溶け込んでいった。

ーーーーー

キャンプ場の小川のほとりに三人は腰を下ろし、悟が取り出した調理器具の前に立つ。

バーベキュー用のグリルや網、簡易コンロが並べられているが、悟にかかればこれも立派な調理道具だ。

「まずは川魚からだな」

悟は言い、手早く手を洗い、包丁を手に取る。

順子と麗子はその手元に自然と目を向ける。

悟は川魚を鮮やかに捌き始める。

骨を外す手つき、鱗を落とす手さばき、皮を均等に切り分ける動作――すべてが無駄なく美しい。



順子は息を呑む。

「すごい……若手の日本料理人そのものだ……」心の中で感嘆する。

麗子も目を丸くして「見て、この手際!プロだね!」と声を漏らす。

魚の下ごしらえが終わると、悟はバーベキュー用の網に慎重に魚を並べ、火加減を調整する。

肉を焼く網と魚を焼く網を巧みに使い分け、炭火の温度や煙の立ち方まで計算している様子。

「煮物はあっちのコンロで温めながら、焼き物と同時進行だな」

短時間で二種類の料理を仕上げる手際の良さに、順子はただ見とれるしかなかった。

やがて料理を紙の皿に盛り付ける。

皿は簡易的だが、盛り付けは全く適当ではない。

焼き魚の身の並べ方、煮物の彩り、野菜の切り方まで、細やかな心配りが伝わる。

順子は誇らしさで胸が熱くなり、目がうるむ。

「悟……すごい……」

その腕前に気づいた近くの家族連れが、興味深そうに覗きに来た。

子どもが目を輝かせ、母親が「ちょっと見学させてもらってもいいですか?」と声をかける。

悟はにこやかに頷き、手際よく調理を続ける。

順子は心の中で、悟の努力と情熱を誇らしく思いながら、自然に涙がこぼれそうになる。

「あぁ……私、こんな悟を近くで見られるんだ……」

麗子も隣で、順子と同じように驚きと感嘆の目で悟の手元を見つめていた。

森の中に、香ばしい焼き魚と煮物の香りが漂い、三人の笑顔と感動が静かに混ざり合う。

悟は皿を三人分並べ終えると、満足げに微笑んだ。

「はい、どうぞ。お二人とも、どうぞ召し上がれ」



麗子は目を輝かせながら箸を手に取り、一口目を口に運ぶ。

「わぁ……すっごい!美味しい!」

順子も横で、思わず笑みを浮かべる。

「ね……ねえ、これ本当に紙の皿に盛ってあるの……?」

「そうだよ。でも盛り付けも、味も完璧だ」

悟は誇らしげに頷く。

麗子はさらに箸を進めながら、はしゃぐように言う。

「悟くん、最高!やっぱりあなた、ただ者じゃないね!」

順子は料理を見つめ、目がじんわり潤む。

心の中で、悟の努力と誠実さに感動していた。

「……本当に……すごい……」

麗子は順子の様子に気づき、笑顔で肩を叩く。

「順子、早く食べないと冷めちゃうよ!せっかくの料理が台無しになっちゃう」

順子ははっと我に返り、深呼吸して小さく頷く。

「そ、そうだね……いただきます!」

二人が口に運ぶと、香ばしい焼き魚の香りと煮物の旨味が口いっぱいに広がる。

順子は自然と笑顔になる。

「うん……美味しい……」

「ね?ほら、早く食べてみて」

麗子は嬉しそうに順子を見守る。

悟は二人の反応を見て微笑みながら、静かに心の中で思った。

「喜んでもらえてよかった……」

森の中の静かなランチタイム。

風が木々を揺らし、焼き魚の香ばしい匂いと三人の笑い声が混ざり合う。

順子は涙目のまま、心からこの時間を楽しんでいた。

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