しまなみブルー ー風のSHIFTー 〜中型で挫折した元バイク女子が原付二種に乗ったら仲間と出会って友情も恋も人生も全部シフトアップしてた件〜
通りすがりのしまなみライダーTAKA☆
文字の大きさ
大中小
49 / 103
第49話 『ボクの彼女は、教室でキスをした。前編』
しおりを挟む
Scene.01 教室での噂と、凛の登場
それは、悠真が謹慎明けで登校した翌日のことだった。
いつもと変わらぬ教室、いつもと変わらぬ制服姿の三浦悠真。黒髪は耳にかかる程度のボブを後ろで束ね、肌は透き通るように白い。目鼻立ちは整いすぎていて、男子の制服がまるで衣装のように似合っていなかった。
とはいえ、悠真は男子生徒。戸籍上も身体的にも。だけど、通っている波方工業高校では誰にもそれを明かしていない。「女の子にしか見えない男の子」として、目立たぬように静かに日々を過ごしていた。……ついこの日までは。
ざわざわとした空気の中、教室で囁かれる声が耳に刺さる。
「佐田岬であの不審者と戦ってた子……この前のSNSの動画、見た? あの顔、絶対うちの学校の――」
「いや、男の制服着てるのに……でもどう見ても、可愛すぎるでしょ」
「橘先輩とツーリングしてたって話もあるし、なんか怪しくない?」
──しまった。バレたかもしれない。
冷や汗をかきながら、自席でノートを開いてやり過ごそうとする悠真。しかし、放課後になる頃には、その場にいられないほどの違和感に変わっていた。
「なあ、お前さ……」
帰り支度をしようとした瞬間、数人の生徒が近寄ってくる。その中には、明らかに“橘凛のファン”らしき男子生徒や女子生徒たちの姿も。
「橘さんとどういう関係なんだよ?」
「何で、あの動画じゃ女の子になってたの? あれ、マジでお前なのか?」
何か言わなきゃ、でも、何を言えば……。悠真はしどろもどろになりながら、言葉を選べずにいた。
「ボクは、あれは……その、ちょっと事情があって……」
教室の空気がじわじわと重くなっていく中で、
──「ちょっと、アンタ達」
強い声が、教室の入り口から飛んできた。
「あたしの悠真に、何か用事?」
悠真が振り返るより早く、教室に凛が颯爽と現れた。制服姿のまま、CB125Rのキーを指に引っかけて、まるでアクション映画のヒロインのような佇まい。
「凛……!?」
「ん。どうせ噂してると思って。案の定、だったけど」
凛はそのまま、悠真のそばまで歩み寄ると、ずいっと彼の肩を抱き寄せた。
「“あたしの悠真”ってことは……もしかして!」
女子たちの間から悲鳴のような歓声が沸き起こる。
「お察しの通りよ」
凛は一言そう告げると、悠真の頬を片手で包み、そのままキスを落とした。
──教室中に、息を呑むような沈黙。そして、さらに大きな歓声。
「橘さんヤバい!!」「キスした!?」「まじ!?」「本物の彼氏彼女なの!?!?」
悠真は頭が真っ白になっていた。凛の唇の感触よりも、それを囲む騒ぎに、心臓がバクバクと跳ね回る。
「行くわよ、悠真」
凛は悠真の手を強く握ると、そのまま引っ張って教室を後にした。
──ただ、悠真は気づいていた。繋がれた凛の手が、小さく震えていたことを。
彼女は怖くなかったわけじゃない。ただ、それでも「自分を守る」と決めて、立ち向かってくれたのだと。
「……ありがとう、凛」
階段を下りながら、悠真はそう小さく呟いた。
⸻
Scene.02 二人きりの帰り道
「も~っ、ほんっっっっと、何なのよアイツら!!」
CB125Rの後ろで悠真を乗せ、今治の市街地を抜けた海沿いの道を走りながら、凛はインカム越しに吠えた。
「まったく、教室であんな……何様のつもりよ!」
「どうどう、落ち着いて凛。でも、助け方すっごくカッコよかったよ。なんかボク、少女漫画の主人公になった気分で……ちょっとときめいちゃった」
「……ちょ、それってあたしが男っぽいってこと!?」
「違うよ。ボクの恋人が、それだけイケメンだったってこと」
インカム越しの静寂の後、凛の声がちょっとだけ震えた。
「う、うるさいバカ。あ~もう、今日は思いっきり走りたい気分。……このまま海岸沿い、走ってもいい?」
「OK。ボク、どこまでも付き合うよ」
夜風が二人の制服の裾を揺らして、海岸線をなぞるようにCBのエンジン音が走り続けた。
To be Continued...
それは、悠真が謹慎明けで登校した翌日のことだった。
いつもと変わらぬ教室、いつもと変わらぬ制服姿の三浦悠真。黒髪は耳にかかる程度のボブを後ろで束ね、肌は透き通るように白い。目鼻立ちは整いすぎていて、男子の制服がまるで衣装のように似合っていなかった。
とはいえ、悠真は男子生徒。戸籍上も身体的にも。だけど、通っている波方工業高校では誰にもそれを明かしていない。「女の子にしか見えない男の子」として、目立たぬように静かに日々を過ごしていた。……ついこの日までは。
ざわざわとした空気の中、教室で囁かれる声が耳に刺さる。
「佐田岬であの不審者と戦ってた子……この前のSNSの動画、見た? あの顔、絶対うちの学校の――」
「いや、男の制服着てるのに……でもどう見ても、可愛すぎるでしょ」
「橘先輩とツーリングしてたって話もあるし、なんか怪しくない?」
──しまった。バレたかもしれない。
冷や汗をかきながら、自席でノートを開いてやり過ごそうとする悠真。しかし、放課後になる頃には、その場にいられないほどの違和感に変わっていた。
「なあ、お前さ……」
帰り支度をしようとした瞬間、数人の生徒が近寄ってくる。その中には、明らかに“橘凛のファン”らしき男子生徒や女子生徒たちの姿も。
「橘さんとどういう関係なんだよ?」
「何で、あの動画じゃ女の子になってたの? あれ、マジでお前なのか?」
何か言わなきゃ、でも、何を言えば……。悠真はしどろもどろになりながら、言葉を選べずにいた。
「ボクは、あれは……その、ちょっと事情があって……」
教室の空気がじわじわと重くなっていく中で、
──「ちょっと、アンタ達」
強い声が、教室の入り口から飛んできた。
「あたしの悠真に、何か用事?」
悠真が振り返るより早く、教室に凛が颯爽と現れた。制服姿のまま、CB125Rのキーを指に引っかけて、まるでアクション映画のヒロインのような佇まい。
「凛……!?」
「ん。どうせ噂してると思って。案の定、だったけど」
凛はそのまま、悠真のそばまで歩み寄ると、ずいっと彼の肩を抱き寄せた。
「“あたしの悠真”ってことは……もしかして!」
女子たちの間から悲鳴のような歓声が沸き起こる。
「お察しの通りよ」
凛は一言そう告げると、悠真の頬を片手で包み、そのままキスを落とした。
──教室中に、息を呑むような沈黙。そして、さらに大きな歓声。
「橘さんヤバい!!」「キスした!?」「まじ!?」「本物の彼氏彼女なの!?!?」
悠真は頭が真っ白になっていた。凛の唇の感触よりも、それを囲む騒ぎに、心臓がバクバクと跳ね回る。
「行くわよ、悠真」
凛は悠真の手を強く握ると、そのまま引っ張って教室を後にした。
──ただ、悠真は気づいていた。繋がれた凛の手が、小さく震えていたことを。
彼女は怖くなかったわけじゃない。ただ、それでも「自分を守る」と決めて、立ち向かってくれたのだと。
「……ありがとう、凛」
階段を下りながら、悠真はそう小さく呟いた。
⸻
Scene.02 二人きりの帰り道
「も~っ、ほんっっっっと、何なのよアイツら!!」
CB125Rの後ろで悠真を乗せ、今治の市街地を抜けた海沿いの道を走りながら、凛はインカム越しに吠えた。
「まったく、教室であんな……何様のつもりよ!」
「どうどう、落ち着いて凛。でも、助け方すっごくカッコよかったよ。なんかボク、少女漫画の主人公になった気分で……ちょっとときめいちゃった」
「……ちょ、それってあたしが男っぽいってこと!?」
「違うよ。ボクの恋人が、それだけイケメンだったってこと」
インカム越しの静寂の後、凛の声がちょっとだけ震えた。
「う、うるさいバカ。あ~もう、今日は思いっきり走りたい気分。……このまま海岸沿い、走ってもいい?」
「OK。ボク、どこまでも付き合うよ」
夜風が二人の制服の裾を揺らして、海岸線をなぞるようにCBのエンジン音が走り続けた。
To be Continued...
0
あなたにおすすめの小説
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる