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欲望のトライアングル
3.トゥオネラへの分岐点
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アレクシは右手を頭に当てて、
「ヌーッティ、重いからどいてくれないか?」
倒れ伏せているアレクシの上に鎮座するヌーッティへ言葉を掛けた。しかし、
「ヌーッティ。動いてはなりません」
リュリュの怒気を孕む声にアレクシの体がびくりと震えた。そおっと顔を上げたアレクシの視線の先には、おぞましい目つきでアレクシを見下ろしているリュリュがいた。
「や、やあ、リュリュ。ご機嫌うるわ……」
「わたくしの質問にのみ答えなさい」
ぴしゃりとリュリュがアレクシの言葉を遮った。
「チョコレートを盗みましたね?」
じっと見つめるリュリュからアレクシは視線を逸らした。
「きみがあのチョコをすべて食べたら肌に良くないと思って……」
「誰が意見を述べてよいと言いましたか。わたくしは問うているのですよ? チョコレートを盗みましたよね?」
リュリュは厳しい口調で再び問いただした。アレクシはちらちらとリュリュの顔色を窺っている。
「盗んだのですわね?」
とどめのリュリュの質問にアレクシは溜め息を吐く。
「そうさ、ぼくがチョコレートを奪ったさ」
その開き直ったアレクシの返答と態度を見て、リュリュが怒らないわけがなかった。
「貴様! 皮を引っぺがして鍋に放り込んでやる!」
鋭い爪を出したリュリュがアレクシに飛びかかろうとしたその時。
「待つヌー! ここでアレクシを鍋に入れたらチョコが見つからないヌー! トゥーリに想いを伝えられなくなっちゃうヌー!」
ヌーッティの制止でリュリュの動きがぴたりと止まった。
「トゥーリ様……? そうですわ! トゥーリ様のために今は堪えなくては!」
リュリュはアレクシを睨みつけながら爪を引っ込めた。そして、一度深呼吸をした。
「アレクシ。チョコレートを返しなさい。その代わりに、わたくしがあなたにもラクリッツチョコレートを作って差し上げますわ」
アレクシとヌーッティの表情が変わった。
「いいのかい? ぼくにもチョコレートを渡すっていうことは、ぼくにも愛をくれるということで?」
アレクシはにやりとほくそ笑んだ。他方、ヌーッティは焦っていた。
「だめだヌー! ヌーのチョコがなくなっちゃうヌー!」
「安心なさい。ヌーッティの取り分も考慮に入れての提案です。さあ、答えをおっしゃい、アレクシ」
リュリュの催促にアレクシは指を鳴らす。
「その提案を受け容れよう。チョコレートをきみに返すよ」
その返答を聞いてリュリュは、ヌーッティにアレクシから降りるように言う。起き上がったアレクシはチョコレートを持ってくると言い置き、一度その場を離れた。
しばらくしてアレクシよりも大きな板チョコレートを1枚背負って持ってくると、
「期待しているよ」
欲望の眼差しでリュリュを見据えながら、チョコレートをリュリュに返した。
「メッセージカード付きでお渡ししますわ」
リュリュはアレクシからチョコレートを奪い返した。
アレクシはくるりと踵を返すと片手を振って、その場を後にした。
「良かったヌー。これでラクリッツチョコレートが作れるヌー」
安堵の溜め息を吐いたヌーッティが、隣に立つリュリュを見て戦慄した。リュリュが放つ禍々しい気迫に圧倒され、リュリュの冷ややかな眼差しにヌーッティは恐怖を抱いた。
「……クソ赤リスめ。必ず冥府へ送ってやる」
ぽそりとリュリュが呟いた。
事はすでにヌーッティの手に追えるものではなくなっていた。
「ヌーッティ、重いからどいてくれないか?」
倒れ伏せているアレクシの上に鎮座するヌーッティへ言葉を掛けた。しかし、
「ヌーッティ。動いてはなりません」
リュリュの怒気を孕む声にアレクシの体がびくりと震えた。そおっと顔を上げたアレクシの視線の先には、おぞましい目つきでアレクシを見下ろしているリュリュがいた。
「や、やあ、リュリュ。ご機嫌うるわ……」
「わたくしの質問にのみ答えなさい」
ぴしゃりとリュリュがアレクシの言葉を遮った。
「チョコレートを盗みましたね?」
じっと見つめるリュリュからアレクシは視線を逸らした。
「きみがあのチョコをすべて食べたら肌に良くないと思って……」
「誰が意見を述べてよいと言いましたか。わたくしは問うているのですよ? チョコレートを盗みましたよね?」
リュリュは厳しい口調で再び問いただした。アレクシはちらちらとリュリュの顔色を窺っている。
「盗んだのですわね?」
とどめのリュリュの質問にアレクシは溜め息を吐く。
「そうさ、ぼくがチョコレートを奪ったさ」
その開き直ったアレクシの返答と態度を見て、リュリュが怒らないわけがなかった。
「貴様! 皮を引っぺがして鍋に放り込んでやる!」
鋭い爪を出したリュリュがアレクシに飛びかかろうとしたその時。
「待つヌー! ここでアレクシを鍋に入れたらチョコが見つからないヌー! トゥーリに想いを伝えられなくなっちゃうヌー!」
ヌーッティの制止でリュリュの動きがぴたりと止まった。
「トゥーリ様……? そうですわ! トゥーリ様のために今は堪えなくては!」
リュリュはアレクシを睨みつけながら爪を引っ込めた。そして、一度深呼吸をした。
「アレクシ。チョコレートを返しなさい。その代わりに、わたくしがあなたにもラクリッツチョコレートを作って差し上げますわ」
アレクシとヌーッティの表情が変わった。
「いいのかい? ぼくにもチョコレートを渡すっていうことは、ぼくにも愛をくれるということで?」
アレクシはにやりとほくそ笑んだ。他方、ヌーッティは焦っていた。
「だめだヌー! ヌーのチョコがなくなっちゃうヌー!」
「安心なさい。ヌーッティの取り分も考慮に入れての提案です。さあ、答えをおっしゃい、アレクシ」
リュリュの催促にアレクシは指を鳴らす。
「その提案を受け容れよう。チョコレートをきみに返すよ」
その返答を聞いてリュリュは、ヌーッティにアレクシから降りるように言う。起き上がったアレクシはチョコレートを持ってくると言い置き、一度その場を離れた。
しばらくしてアレクシよりも大きな板チョコレートを1枚背負って持ってくると、
「期待しているよ」
欲望の眼差しでリュリュを見据えながら、チョコレートをリュリュに返した。
「メッセージカード付きでお渡ししますわ」
リュリュはアレクシからチョコレートを奪い返した。
アレクシはくるりと踵を返すと片手を振って、その場を後にした。
「良かったヌー。これでラクリッツチョコレートが作れるヌー」
安堵の溜め息を吐いたヌーッティが、隣に立つリュリュを見て戦慄した。リュリュが放つ禍々しい気迫に圧倒され、リュリュの冷ややかな眼差しにヌーッティは恐怖を抱いた。
「……クソ赤リスめ。必ず冥府へ送ってやる」
ぽそりとリュリュが呟いた。
事はすでにヌーッティの手に追えるものではなくなっていた。
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