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7, 監禁
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シノと志々目が部屋を出た後で、良子は一人思慮にふけっていた。
「思い出した……」
志々目。白虎宗。それは時々見る街の掲示板に貼られたポスターに記載されていた名前だ。普段はほとんど気にも留めず、興味も持っていなかった。白虎宗という風変わりな宗教団体が家の近くで活動していることは風の噂に聞いていたが、自分には関係の無いことだと思っていた。
過激派という訳でも無く、勧誘されたという話もあまり聞かない。大学生の時に宗徒の子がいたが、接した感じはいたって普通。彼女からこの宗教へ勧誘されたことも無い。だから今まで忘れていたし、まして指導者の顔など知る由も無かった。
「とにかく会社に連絡しなきゃ。無断欠勤になっちゃう」
良子はあたりを見回した。枕元に鞄が置いてある。鞄を開いて中を漁ったが、スマホが見当たらない。酔っぱらって落としたのだろうか。折りたたまれたジャケットを広げてポケットを探したが、そこにも無かった。
「どうしよう……。電話、借りられるかな。でも会社の番号なんて覚えて……あ、名刺あるんだ」
再び鞄の中をごそごそと漁ると名刺入れを取り出し、中から自分の名刺を一枚取り出した。案の定、名刺の下の方に会社の電話番号が記載されている。あとは電話を借りるだけだ。
良子は立ち上がると、襖を開けて部屋の外に出た。部屋の外には廊下が続いていたが、人の気配は無い。廊下の窓には格子がはめられていて、妙に厳重だった。宗教団体だから?
鎮まり帰る屋内を一人で歩き、勝手に散策した。お風呂にトイレ、台所、クローゼット。和洋折衷な作りだが、今のところ人とは会えていない。そして、電話も無い。部屋から一番遠い場所まで廊下伝いに歩いていくと、やっと玄関に出た。
「……って、アレ?」
鍵を開けてから玄関引き戸を開けると、外には格子があった。厳重にも程があるんじゃないかと思いながらその格子を開けようと引いた時、血の気が引いた。開かないのだ。
「うそでしょ」
金属の格子はガシャンと音を立てるだけで開く様子は無い。恐らく外側から鍵が掛けられている。思い返せば、この家に窓はあれど外に出られるような大きなガラス窓は無かった。少し大きめの窓があっても、外に格子が掛けられていた。――監禁されている。
「やばいんじゃない、コレ!?」
良子は慌てて家の中に戻ると、もう一度家の中を隅から隅まで散策した。どこかに抜け出すためのルートが無いかと思ったのだ。だがどの窓もしっかりと格子が掛けられていて、逃げられそうに無かった。どうして突然監禁されたのか、全く分からない。だが身の危険だけは感じていた。良子は再び玄関に戻ると、玄関扉を開けて大声を上げた。
「誰か! 近くに誰かいませんか! 助けて!!」
何度も何度も叫んでいる内に、声が枯れてきた。どこからも反応が無い。今朝は読経が聞こえてきたからどこかに人が居るはずなのに、誰も反応してくれない。だんだん虚しくなってきて、良子は膝から床に崩れ落ちた。なぜかボロボロと涙が出てきた。もしかして自分は殺されてしまうのでは? 嫌な想像ばかりが頭をよぎる。
その時、誰かが砂利を踏みしめる音がした。
「どうしたの?」
「思い出した……」
志々目。白虎宗。それは時々見る街の掲示板に貼られたポスターに記載されていた名前だ。普段はほとんど気にも留めず、興味も持っていなかった。白虎宗という風変わりな宗教団体が家の近くで活動していることは風の噂に聞いていたが、自分には関係の無いことだと思っていた。
過激派という訳でも無く、勧誘されたという話もあまり聞かない。大学生の時に宗徒の子がいたが、接した感じはいたって普通。彼女からこの宗教へ勧誘されたことも無い。だから今まで忘れていたし、まして指導者の顔など知る由も無かった。
「とにかく会社に連絡しなきゃ。無断欠勤になっちゃう」
良子はあたりを見回した。枕元に鞄が置いてある。鞄を開いて中を漁ったが、スマホが見当たらない。酔っぱらって落としたのだろうか。折りたたまれたジャケットを広げてポケットを探したが、そこにも無かった。
「どうしよう……。電話、借りられるかな。でも会社の番号なんて覚えて……あ、名刺あるんだ」
再び鞄の中をごそごそと漁ると名刺入れを取り出し、中から自分の名刺を一枚取り出した。案の定、名刺の下の方に会社の電話番号が記載されている。あとは電話を借りるだけだ。
良子は立ち上がると、襖を開けて部屋の外に出た。部屋の外には廊下が続いていたが、人の気配は無い。廊下の窓には格子がはめられていて、妙に厳重だった。宗教団体だから?
鎮まり帰る屋内を一人で歩き、勝手に散策した。お風呂にトイレ、台所、クローゼット。和洋折衷な作りだが、今のところ人とは会えていない。そして、電話も無い。部屋から一番遠い場所まで廊下伝いに歩いていくと、やっと玄関に出た。
「……って、アレ?」
鍵を開けてから玄関引き戸を開けると、外には格子があった。厳重にも程があるんじゃないかと思いながらその格子を開けようと引いた時、血の気が引いた。開かないのだ。
「うそでしょ」
金属の格子はガシャンと音を立てるだけで開く様子は無い。恐らく外側から鍵が掛けられている。思い返せば、この家に窓はあれど外に出られるような大きなガラス窓は無かった。少し大きめの窓があっても、外に格子が掛けられていた。――監禁されている。
「やばいんじゃない、コレ!?」
良子は慌てて家の中に戻ると、もう一度家の中を隅から隅まで散策した。どこかに抜け出すためのルートが無いかと思ったのだ。だがどの窓もしっかりと格子が掛けられていて、逃げられそうに無かった。どうして突然監禁されたのか、全く分からない。だが身の危険だけは感じていた。良子は再び玄関に戻ると、玄関扉を開けて大声を上げた。
「誰か! 近くに誰かいませんか! 助けて!!」
何度も何度も叫んでいる内に、声が枯れてきた。どこからも反応が無い。今朝は読経が聞こえてきたからどこかに人が居るはずなのに、誰も反応してくれない。だんだん虚しくなってきて、良子は膝から床に崩れ落ちた。なぜかボロボロと涙が出てきた。もしかして自分は殺されてしまうのでは? 嫌な想像ばかりが頭をよぎる。
その時、誰かが砂利を踏みしめる音がした。
「どうしたの?」
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