室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

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序章 英国フォルティア学院

執行裁判所とNo.2

ぐらっ…

「――‥ ッ」

クリフェイドはふらついた。

「ぅ゙ッ… 僕はいったい‥‥何を…」


全てを思い出したわけではないクリフェイドは過去の記憶と現をさ迷う…

「……ちがう… 僕は… ッ」

何かを否定するかのように拒絶するようにクリフェイドは頭を抱え踞る

「――‥僕は …」

「この際だ!二人揃って死ぬがいいっっ!!!!」


スクワットが懐から取り出した銃を向けた

「僕は・・・ 」

瞳孔が開いた刹那――‥

― - キンッ!!


「ぅッぐ…っ!」

クリフェイドから放たれたナイフがスクワットの肩に突き刺さる‥

「僕の名はクリフェイドだ!」


それはスクワットに言っているようにも聞こえたが、それはまるで自身に言い聞かせているようにも聞こえた…

スクワットが怯んだ一瞬の隙をクリフェイドは逃すはずもなく、


パシッ!

黒いローブを身に纏った彼の手を掴むと、走ってその場から抜け出した

「ッ…―ハァ……ここまで来れば…

で、アンタ誰だ?」


だいぶ離れたところで掴んでいた手を離すと、クリフェイドは自分と差ほど変わらない背の高さの黒いローブの彼に訊く。

「………ボク?

ボクはNo.2アンリ、アンリ・クロベル…」


ローブについているフードを頭から取った彼は金髪おかっぱの… 死んだ魚のような半分しか開き切っていない目に、見た感じ歳はクリフェイドと差ほど変わらない少年だった‥。

「アンリ…? ふーん… で、そのアンリとやらはこんな人気のないところまで来た用ってなんだ?」


「………ボク? はぁ… ボクは人使いの荒い上司に頼まれて…

スクワットを監視してたんだけどさ、クリフェイド・シュバルクを保護しろって… まったく、人使い荒過ぎだよね」


「…………」

喋るアンリを見てクリフェイドは無言。なぜならアンリは壁に向かって喋っているのだ。


「…で、君の名前… 何?」

アンリは壁に向かって訊くが、無論壁が答えるはずがない


「…………」

「…あれ?ボク、名前訊いてるんだけど…」


何故だろうか…

物凄く、関わりたくないが、壁に向かって喋ってるのを放っておくのも………

はぁ…

「おい、お前は壁と喋って楽しいのか?」


「あ… あれ?

あっちからも声が聞こえる…」

「…………」


バシッとクリフェイドは無言でシバいた

「痛い…」

叩かれたところを抑え、クリフェイドに振り返った彼は半分しか開いていない目をさらに細くするものだから、目つきが悪く見える…

だが、

「…………」

じぃーっと、細めた目で見てくるアンリにクリフェイドは呆れの溜息、


「…お前、近眼 なのか」

「…うん。そう、よくわかったね」

びっくりしたよ、というアンリだが、その表情は無表情で本当に驚いているのかわからない。どうやら彼自身、表情に乏しいようだ。


「普通、眼鏡かコンタクトをかけるだろ」

呆れ顔のクリフェイド、


「…眼鏡って邪魔になるし、コンタクトは痛そうだから」

アンリは半目のままクリフェイドを見つめ、ふと思い出した


「……で、君の名前… なに?」

「…クリストファー・サン・マルタン」

クリフェイドは何やら嫌な予感がし、面倒なことに巻き込まれないために以前使っていた偽名を使った


クリストファー・サン・マルタン伯爵と…。

――‥とりあえず、パーティー会場に戻るか

くるりと振り返ったクリフェイドはアンリの手を引っ張る


「…そういえば、お前No.2とか言っていたな… 」

足を止めたクリフェイド、じっ…と無言で視線を向けてくるアンリに不思議そうに訊いた

「…何のNo.2なんだ?」

「…執行裁判所」

「え?」

上手く聞き取れず、クリフェイドは聞き返す


「何って?」

「…国の最高機関、『執行裁判所』(A court of execution)。略して、ACOE。通常、表沙汰にならない…


事件の審判人。一般人を裁くのが警察、ならば権力を持つ人間を裁くのは… ボクたち審判人の仕事。

力を持たない一般人、権力を振るう領主に政治家や金持ちたち…


手を出せない警察、悪循環になりつつある現状に焦った国が作りだした組織、あまり知られていないけど…

知っている人間はボクらのことをこう言う

「『黒い死神』」

…あれ?」


アンリは首を傾げる。

クリフェイドと最後の言葉がハモったことに‥。

一方、クリフェイドはというと――‥


物っ凄く、面倒くさそうに顔をしかめていた。

――‥ なんて面倒なことに…


内心溜息つくクリフェイドは思った。

黒い死神って、確か…… 糞ジジイが言ってた気がする。咎の塔にも関係してたような…

「とにかく、だ!僕は今あった出来事は忘れるからお前も忘れろ!」

じゃ、と会場に戻っていくクリフェイドを見つめるアンリはボソリと呟く


「……忘れろ、なんて無茶言うね」

ま、無理だけど。と言って自分も本部へと戻っていった。

――――‥‥
――…

「……で、どうだった?」

クロス裁判官は立派なデスクに肘をついて顔の前で指を組む‥


「…偽名を名乗られたけどね、腕は‥‥よかった」

「……腕?」

はぁ、

「ボクが行ったとき、既に二人とも会ってたけど…… ナイフの投げる動作にも隙はなかったし、なんていうか、そういうことに慣れてる…? 感じ」

「ほう…」

クロス裁判官は目を細める。その笑みは何やら愉しげに歪められている。
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