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- ファンタジア王国と王都フィル -
恐怖と羞恥心とエルフ様
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え、なにこれ!?恥ずかし過ぎるっ///
泣き喚く子供を仏頂面のエルフが抱き抱える光景… なんて、シュールなんでしょうか。今更ながら我に返ると、途端に恥ずかしくなります。
「あ、あの…!本当にす、すみません!!…迷惑をかけてしまって」
『いや、それは構わないが』
なぜ、泣いていた?と聞いてくる彼に乙女ゲーの設定なんて言えませんし、そもそもアクラス家の悪評を知らぬ者はいない。その上、ヒロインの攻略対象者の一人でもある彼に素性がバレたくないというのが本音というもの───。
「…………あ、あのっ!!」
『何だ?』
「そ、そろそろ降ろして頂いてもいいでしょうか!!?」
ぷるぷると震える手をキュッと握りしめ、意を決して口にすれば───
端正な眉が寄せた彼は… ただ、一言。
『…却下だ。また泣かれても困る』
「え゙、えぇえええッ!?」
一蹴されてしまいました。
でも、でもでも…っ!この人はあのエルフ様でこの国の魔術師長!それでもって、ヒロインの攻略対象者の一人で… いずれは殿下や王国騎士団、宰相の息子に殿下の従僕に、殿下の友人。それから精霊王と言った他の攻略対象者と一緒にヒロインを狙うアクラス家の不正を暴き、王の前に突き出し、
裁きの間にて、
一族諸共女子供を含め、赤子さえも罪状を与えられ斬首処刑を言い渡される…。
そんな未来が分かっているのに、
出来たら… お近付きになりたくなかったのに…ッ なんで…っ なんで神様はこんな酷い目ばかり…ッ
「ひっく!…ふ、ぅ…ッ ぇ…っく」
ぽろぽろ、と次から次へとまた大きな雫がこぼれ落ちる。
「お、降ろして…っ」
自分の声が酷く情けなく聞こえた。
ひょっとして、このまま突き出されるかもしれない。美しくも造形が整ったその美麗な顔は… 今の私には冷たく見えて、エルフ様が僅かに目を細めたのを見て、びくりと体が震えた。
泣き喚く子供を仏頂面のエルフが抱き抱える光景… なんて、シュールなんでしょうか。今更ながら我に返ると、途端に恥ずかしくなります。
「あ、あの…!本当にす、すみません!!…迷惑をかけてしまって」
『いや、それは構わないが』
なぜ、泣いていた?と聞いてくる彼に乙女ゲーの設定なんて言えませんし、そもそもアクラス家の悪評を知らぬ者はいない。その上、ヒロインの攻略対象者の一人でもある彼に素性がバレたくないというのが本音というもの───。
「…………あ、あのっ!!」
『何だ?』
「そ、そろそろ降ろして頂いてもいいでしょうか!!?」
ぷるぷると震える手をキュッと握りしめ、意を決して口にすれば───
端正な眉が寄せた彼は… ただ、一言。
『…却下だ。また泣かれても困る』
「え゙、えぇえええッ!?」
一蹴されてしまいました。
でも、でもでも…っ!この人はあのエルフ様でこの国の魔術師長!それでもって、ヒロインの攻略対象者の一人で… いずれは殿下や王国騎士団、宰相の息子に殿下の従僕に、殿下の友人。それから精霊王と言った他の攻略対象者と一緒にヒロインを狙うアクラス家の不正を暴き、王の前に突き出し、
裁きの間にて、
一族諸共女子供を含め、赤子さえも罪状を与えられ斬首処刑を言い渡される…。
そんな未来が分かっているのに、
出来たら… お近付きになりたくなかったのに…ッ なんで…っ なんで神様はこんな酷い目ばかり…ッ
「ひっく!…ふ、ぅ…ッ ぇ…っく」
ぽろぽろ、と次から次へとまた大きな雫がこぼれ落ちる。
「お、降ろして…っ」
自分の声が酷く情けなく聞こえた。
ひょっとして、このまま突き出されるかもしれない。美しくも造形が整ったその美麗な顔は… 今の私には冷たく見えて、エルフ様が僅かに目を細めたのを見て、びくりと体が震えた。
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