ざまぁ！をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ

- 謎多き執事の秘密ごと -

『父上の目論み』

『───そういったことも含めて、婚約者候補の選別は前回の事件があってより慎重になったんですよ。あ、もちろん。例のその犯人は内々に処理されたようですが』

思い出したようにそう付け足すレオンは僕にそう明かしてくれるけれど、スコットから聞いていたとは言え、忘れていた現状としては… 正直、王族のゴタゴタを思い出したくなかった。

『…で、そういった点も踏まえて今回、陛下は殿下のお相手を最終的にソフィアお嬢様に選んだようです。他にも理由はありましたが。しかし、あなた方のお父上である旦那様は… 最後まで渋っていた、とそう聞いていますよ』

「え？父上が…？どうして？？だって、普通なら喜ぶところなんじゃないの？」

『ふふっ、一つはソフィアお嬢様の… お人柄でしょうか。旦那様はそこを特にご心配されていて、王族の一員としてやっていけるのか、と。とてもご心配されていました。……しかし、本心で言えば、王族の一員になるともなればやはり常にソフィアお嬢様の身が危険に晒されることを危惧されていたかと、口にしてはいませんが、親心とは… そういうものではないでしょうか』

あの、常に王家に忠実な父上が…？そんなことを？少し信じられなくて幾度と瞬きを繰り返した。


『そういったこともあり、恐らく旦那様はソフィアお嬢様と殿下の婚約の件をうやむやに破棄したいとお考えではないでしょうか』

……なるほど、その話がもし本当なら、一理ある。でもそれじゃあ、姉上は僕が魔力を暴走させたときに姉上を助けたのがレオンハルト王太子と勘違いしている、ということになるんだけど。