ざまぁ!をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ

そう、僕は姉上の戯言をいつものように聞き流していた。ここが乙女ゲームとやらの世界の中で自分は転生者なのだと。昔から、それはもう物心ついた頃には子守唄の代わりに毎日毎日、王太子がどうで、他の攻略者があーで、ヒロインがこんな子で、自分はそんな中でも王太子の婚約者でヒロインを苛め抜く悪役令嬢に転生したのだと、毎日飽くほど聞かされていた。

───だから、僕はいつもと同じように気にも留めず聞き流していた。

それがまさか自分の身に降りかかる受難の始めになろうとは… このときはまだ思いもしなかった。

『…すまない、アラン。姉の代わりに殿下の… 王太子の婚約者を務めてほしい』

「は?」

呼び出された父の言葉に、一瞬 自分が何を言われたのか理解が出来なかった。

───… これは王太子の婚約者だった姉上が平民と駆け落ちしたことにより、降りかかる僕の受難の物語である─。
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