断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -

『不穏な影と " 悪夢 "』

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─── 深く深く寝静まる真夜中、一人、ジキルドは… 酷い悪夢にうなされていた。

「ぐぅ、ぐ…っ!あ゙ぁぁああッ!!!」

酷い酷い悪夢、それは耐え難い苦痛で… 最近になって、毎夜の如く魘されるこの悪夢にジークにさえ打ち明けられずにいた。

―― バサッ!

「ハァハ…ァ…ッ!」

胸元を掻きむしり、シワになることに気にせずジキルドは胸元の服の生地を握り締める。

勢いよく、跳ね起きるように跳び起きたジキルドはぐっしょり汗をかいていて、その跳び起きた反動からか… または悪夢のせいか、浅い呼吸を繰り返す。

『クスクスクス…』

部屋に響く嗤う声にジキルドは汗で濡れた髪を掻き上げて忌々しげに舌打ちした。

「忌々しい魔女め…」

薄暗い部屋、姿見えぬ相手にそう悪態つくジキルドに尚も闇は嘲笑う。薄暗い部屋を照らすのは月明かりのみ。そのとき、雲に覆い隠されていた月が顔を出し、部屋には月明かりが明るく照らし出す。

暗闇からスーッと姿を現したのは…

『あら、酷い言いぐさね。これでも私なりに貴方を可愛がっているつもりよ?』

長い付き合いじゃない?これからも仲良くしてもらわないと… そう言って、ジキルドにスッと手を伸ばす豊満な胸、そんな胸を強調した際どい露出度の激しい黒いドレス服。流れるような真っ黒な長い髪はまるで闇夜の如く… 毒花に近い美しさ。うっかり触れようものなら、棘が刺さりそうな… いや、棘と言えるほどそんな優しいものではない。それは寧ろ、穢れの根源に近い存在…。

『クスクス、可哀想な愛しい私のジキルド。貴方が私のお人形になると言うならこんなに苦しむことはないのに…』

「ふ、ふざけるな…っ!」

自身を襲う酷い脱力感に抗うと、頬を撫でていた魔女の手をパシリと払い落とす。しかし、スッと目を細めた魔女は機嫌を損ねたように体の自由を奪われたジキルドの頬を叩いた。

───パシッッ!!

「ぐっ…!」

ベッドに倒れ込むジキルドに冷淡な眼差しが向けられる。

『……あまり、調子に乗らないほうが良くってよ?フン!興が逸れたわ。今日はこの辺までにしておくわ… ジキルド。だけど、覚えておくことね。悪夢が現実にならないように… せいぜいあの可愛い弟を守ることね。まぁ 貴方に守れるとは到底、思えないけど… クスクスッ』

貴方の今後の行動が見物ね、フフッまぁ、私が掛けた呪いに抗えるとは思えないけど。せいぜい悪足掻きすることね… 闇夜に消える魔女の嘲笑う声だけが部屋に響く。


─── はじめて魔女がこの部屋に現れたときに口にした。『私の存在は誰にも感知できない。たとえ、この国の元守護精霊でも… 闇の化身である私の存在を感知しない。ジキルド、貴方は私の人形よ…』と。


そしてそれは決して人に口に出来ぬ呪い。誰かに伝えようとしても、口を開けても言葉にならない。ある夜から始まった毎夜毎夜訪れるこの耐え難い終わりのない悪夢に… 

「くそっ!」

ジキルドはまたしても忌々しげに舌打ちした。
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