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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -
『刺客と突然の来訪者』
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───最近、良いのか悪いのか。弟の存在がやたらと目に付くようになった。
少しでもあの悪夢が現実にならぬように、と弟のオーディットとは一定の距離を保ちながら過ごしていた。だが、そんな私の苦悩と葛藤を知ってか知らずか…。
伊達に幼少の頃より命を狙われていたわけではない。それなりに得たものもある。その一つが人を、自分以外の人間を信用しないこと。そして二つ目は… 口に含むものに毒が混入されているかどうか、嗅ぎ分けられるようになった。
それまでの経緯を考えれば複雑な気持ちと共に冷笑を浮かべる。だが、そのおかげで培ったものがあるとするならばこの程度、安いものだとクツリと喉で笑う。
継母である王妃からの刺客でメイドの女がティーカップに注いだ紅茶に毒を盛った。しかし、今までから培った経験から、その紅茶が注がれたティーカップを見つめる。新しく注がれたティーカップから湯気と共に芳しい香りが鼻を擽ぐる。───唇を付ける直前、笑みを浮かべた。
こんなモノで私を殺せると本気で思っているのだろうか、あの女は…。
毒に慣れたこの体にこの程度の毒が効くものか、と思わず鼻で笑いそうになる。もし、私が倒れたらあの子はどんな反応をするのだろうか。───… 一瞬、不安に瞳を揺らすオーディットの姿が脳裏に浮かんだ。
少しくらい…
あの女の余興に付き合ってやろうか。
クツリと喉で笑うその瞳に酷薄な光が宿るーー。それを見た刺客のメイドが僅かに目を瞠らせ、体を震わせる…。
カタカタ…っと震える手からは今にもポットが落ちそうで、それをつまらなさそうに細めた目で流し見て、ティーカップに口を付けようとした。
バンッ!
『兄上ッッ!!!』
─── 否、出来なかった。
慌ただしく、部屋の扉を壊す勢いで飛び込んで来たのは… 愛しくてたまらない義弟のオーディットだった。
突然の、それも予想だにしなかった来訪者に刺客のメイドはポットを持ったまま、その目は大きく目を見開き、驚きのあまり微動だにせず固まっていた。
かく言う私も、まさかのオーディットの登場に思わずきょとん…とする。
我ながらマヌケ面だな、と我に返るなり、心配そうに眉間を寄せる義弟に思わず苦笑いを浮かべた。
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毒に慣れたこの体にこの程度の毒が効くものか、と思わず鼻で笑いそうになる。もし、私が倒れたらあの子はどんな反応をするのだろうか。───… 一瞬、不安に瞳を揺らすオーディットの姿が脳裏に浮かんだ。
少しくらい…
あの女の余興に付き合ってやろうか。
クツリと喉で笑うその瞳に酷薄な光が宿るーー。それを見た刺客のメイドが僅かに目を瞠らせ、体を震わせる…。
カタカタ…っと震える手からは今にもポットが落ちそうで、それをつまらなさそうに細めた目で流し見て、ティーカップに口を付けようとした。
バンッ!
『兄上ッッ!!!』
─── 否、出来なかった。
慌ただしく、部屋の扉を壊す勢いで飛び込んで来たのは… 愛しくてたまらない義弟のオーディットだった。
突然の、それも予想だにしなかった来訪者に刺客のメイドはポットを持ったまま、その目は大きく目を見開き、驚きのあまり微動だにせず固まっていた。
かく言う私も、まさかのオーディットの登場に思わずきょとん…とする。
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