断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

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- 王国の陰りと忌まわしき魔女の呪い -

――‥ バクside

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――‥ バクside


  プキュュウ。

『大丈夫だよ、ルティ。キミがどんな選択をしても、僕らにキミを責める権利はないんだから。寧ろ――‥ 』

月の神子と太陽の巫女の血を受け継いだ、陰と陽の世界を統べるキミの心が絶望に満ちた時。

そう… それこそ、この世界の ” 終わり ” を意味する。即ち、この世界の死───。

「バク?寧ろ…の、その先はなんですか?」

首を傾げるルティに出かけた言葉をぐっと呑み込む。無邪気に笑いかけてくる… そう、何も知らない愛しいルティ…。キミの存在こそがこの世界には危うい。だけどもう、キミを失いたくないんだ。それは僕のエゴ…。

プモッ。

『なんでもないよ、ルティ』

いつものようにニコリと笑う。そんな僕の笑みをルティが本当の意味でどう視ていたのかも知らずに僕は心配ないよといつものように口にする。

そんな僕の言葉に少し間を置いた後、ルティはただ笑う

「兄上に対して、怖いという思いは拭えないけど、でも僕に出来ることはしたい。兄上を助けたい。でも僕は臆病な人間です。

───だから、バク。

僕は表立って兄上と親しく接することは出来ませんが、それでも母上や叔父上の動向を探ることはできます。母上や叔父上たちがやろうとしていることを事前に阻みたいと思っています。あの人たちの悪事を未然に防ぎたい… 止めたい。

でも、権力も力もないこんな小さな子供に出来ることはたかだか識れています。でも、知識だけでどうにもならないことだってあるでしょう?だから、僕は… 僕自身のために、兄上のためにも。

あの人たちからこの国を守るためにも、全力を尽くしたい…」


僕の額にコツン、と額と額をくっつけるルティ。その意を決した瞳には揺るぎない光が見えた気がした。

   プギュゥ

『…でも、ジキルドが怖いんじゃないの?』

首を傾げるそんな僕の問いに、


「任せてください!」

案ならあります!と、ドンッと胸を叩くルティに僕は不安を覚えた。


「乙女ゲームで思い出した部分と新たに得る情報を駆使してさり気なく… 偶然を装ってあの人たちの悪巧みを阻むんです」

 プモッ!?


『え?まさか本気で言ってる!?』

ちょっと待って。案ってそれ!?そんな行き当たりばったりな… 。僕の吃驚した声にルティは困ったように笑う。

「すみません。…だって、いざ考えてみると名案が思いつかなくて」

苦笑いするルティに、僕の不安はさらに募った気がした。
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