断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

文字の大きさ
112 / 117
- 腐敗した王国と傀儡の王 -

『蝕む闇は歪な笑みを浮かべる』

──がぶっ!

唐突に現れたそれ・・は兄上の腕に噛みついた。

 それを心底、つまらなさげに見つめると兄上はブンッとその腕を払い、

  ブモッッ!!

バクが壁に叩きつけられる──。


「───ッ!?バクっつ!!!」

押さえつけていた片方の手が離れたことで、身を捩り暴れることでそこから抜け出すことができた…。プキュッと一声鳴いて動かなくなるバクの様子にドクンッと鼓動が跳ねる。鼓動がドクドクと大きく動き、微かに手先が震えた…

血相を変えて慌てて傍に駆け寄る。

「バク…!?バク…ッ!嫌だ… そんな、バク、どうして…!」

ガクガクと小刻みに震える体は… どんなに叱咤しても震えが止まらず。

(これ以上、誰も傷つけたくないのに… 僕のせいでバクが……!!!)


「愚かな…!愛し子の守り手である神獣が随分と落ちぶれたものだ!!そんな微弱な力ごときで何ができる?ふっ、はははっ!実に滑稽な!!…己のその不甲斐なさを思い知るがいい!!!」


ぎらぎらと光る眼で見下ろし、禍々しい赤黒い光をその手にバクに振り下ろそうとする兄上の腕に飛びついた。

「やめて…ッ!」

──バシッ!


「ええいっ!邪魔だ!!」

「ぅぐ…っ!」


けれど、それはすぐに払い除けられる。そして、勢いよく壁際に向かって投げられた僕がその衝撃で咳き込んでいると、不意に頭上に影が差す──。

「……悔しいか?人の子よ」

「く…っ、」


兄上の指先で顎を持ち上げられて、いやいや顔をあげる。

「侮辱に満ちた表情ほど愉快なものはない。だが、この私の手を煩わせるなど不快だ。せっかくの余興が…こんな落ちぶれた神獣によって邪魔をされるとは。まったく、興醒めだな」


『───だが、』

ヒタリ、とその瞳が不気味に歪められる。そして目を窄めるとさらに笑みを深めた。

途端にバクに振り下ろされる手の中の禍々しい光に、咄嗟に体が動く。気づいたときには顎を掴む兄上のその手を振り払い、僕は無意識に庇うようにしてバクの前に飛び出していた。

「バクっっ!!!」


一瞬にして、禍々しい光が部屋全体を包み込む。途端に視界が、ぐにゃりと歪んだ。

「バ、ク……ッ!よか、」


  プキュウ!

「バク…?」


プキュウ!キュウゥ??

目覚めたバクがおかしい。まるで、僕の言葉が理解できない… そんな感じで、、そのつぶらな瞳をひたすらパチパチ瞬きしながらこの場にそぐわず愛らしい声で甘えるように鳴く…。


 その姿はあまりにも… 

「バ、バク…!?」

小動物…いや、幼獣そのもので、


じゃらりと鎖が重くのし掛かる。動けない体でバクに必死に駆け寄ろうとするも動くこともできなくて、


(体が…… 、重い…っ)

「バ、ク……ッ、」


霞む意識の中、辛うじて保つ意識の中、床を這いながらバクに寄る。所々で意識が飛びそうになりつつ、バクの手を握る。

(……ち、からが… はい、らな…い…)


くっくっと笑いながら近づいてくる、聞こえる衣擦れの音に重くなる頭をなんとか少しだけ持ち上げると、目の前には凍えるような冷たい瞳に、口角をつり上げる兄上が… 立っていた──。
感想 47

あなたにおすすめの小説

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。 休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。 転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。 そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・ 知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼不定期連載となりました。 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

僕、天使に転生したようです!

神代天音
BL
 トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。  天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。