断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

- 乙女ゲームの世界観と宿命 -

『自称 神の眷属プーモ、もとい バク』

「え、なんで… わかったんですか？」


『これでも一応、神の眷属だからね、分かるんだよね… 心の声とか、もろに。そういえばキミ、さっきも僕の目をちんちくりんとか言ってたよね…？』

怒ってるんでしょうか？ですけど、その体とちんちくりんの瞳で睨まれても… 怖さ半減。寧ろ、可愛いとさえ思ってしまいます。


『……キミ、喧嘩売ってる？』

微かに眉を寄せるプーモ、もといバクに冗談です。と言えばふーん…の一言。


バクの、このこじんまりした意外とクセになる触り心地の小さな体をもうちょっと堪能しようと目を光らせたときだった。

  バクの・・・


『ああ！もうッ！！埒が明かないよ！』

体が再び、《ボフンッ！》煙のような靄に包まれたのは。


モクモク上がる靄。それが消えると、今まで腕の中にいたはずのバクは消え、代わりに目の前で額に手を当てて溜め息ついて立っている… 黒目黒髪の超絶爽やか系のイケメンがそこにいた。

「・・・だれ？」


なんとなく察しはついたけど、とりあえず聞いてみる。

――‥ なのに、なんでか半眼の目を向けられた。

『今の見てたよね？キミ。察しはついてると思うんだけど？』

キミのせいでさっきから僕の話が全然進まない！と漏らすイケメンに少し申し訳ないと思った。…嘘だけど。


『余計な一言はいらないよ。はぁ… もうっ！キミのせいで大幅に時間を取られたから出来るだけ手短に話すよ』

ただでさえ、時間が限られてるのに！と言う彼に首を傾げる


「時間が限られてる…？」

『そうだよ！ここの空間、見た通り真っ白な空間に僕ら以外誰もいないでしょ？キミを呼ぶために、わざわざこの異空間をキミの精神世界に一時的に繋げたんだよ。簡単に言うなら、此処はキミの夢の中。キミが夢から覚める前に、この世界のことを話さないといけない。……キミの身に危険が迫っているから』


・・・えﾞ！？

「も… もしかして、僕がここに転生したのは貴方の手違いとか、そういう系統の話なんですか！？」


よく、ラノベとか妹が愛用していた乙女ゲームや同人誌、小説でそんな話があったような気がする。確か、大抵、主人公は死ぬ予定じゃなかったのに神様の手違いとかでチートが貰えるパターンの… 

  ぇﾞ、え……ッ！？


『・・・ごめん。なんか、期待してるとこ悪いけど、全く違うから。そもそも、僕は神の眷属でもあるけど、キミの言う神ではないよ。それに、今回キミがこの世界に転生したのも、本人に告げるのも酷な話だろうけど。敢えて言えばキミがあの日、ネコを助けたのが原因だよ。…つまりは自業自得』

「・・・え？ど、どういうことなんですか！？」


それに僕の身に危険が迫ってるって、やっぱりあの断罪フラグのことなんじゃ… サッと青ざめる僕にイケメンになったプーモもといバクは言った。

『ちがう。それはまだ序の口だよ』


……序の口？は？え！？ 僕の断罪フラグが序の口だって…ッ！？


『いい？よく聞いて。キミの魂は今、とても不安定なんだ』

真剣な眼差しで僕に告げる人型になったバクに僕は首を傾げた。