断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

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- 陰の王国と廻りだす歯車 -

『バクの気遣いとプーモの癒し…』

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「バ、ク…ッ?」

そこには見知った顔の… バクがいて、その安堵の気持ちに目が潤んでしまいました。

プモッ!

『なんで泣いてるの?』

不思議そうに首を傾げるバクは僕を見つめて、それから涙で濡れた目尻をペロリと舐めました。
…ってバク!?

「ふ…っバ、ク…ッ!擽ったいですっ」

プギュゥ?

『まったく。こっちはキミが泣いてるから慰めようとしてるっていうのに』


  プモッ

『ところで、何で泣いてるの??誰かに虐められた?』

「ち、違うんです!!そういうのではなくて。ただ、不安で心細くて… このまま、ゲームどおりに進行するんじゃないかと思うと、不安でいっぱいで。でも誰にも相談も出来なくて… いろいろな感情が入り混じって…ッ そんな自分がよくわからなくて…ッ だからッ!」

バクに思いっきり不安をぶつけてしまいました。バクにそんな胸の内を明かすつもりはなかったのに… 不安な気持ちが抑えられなかった。

  だけど、

そんなバクは特に気にした様子はなくて、

プギュゥ!

『それは仕方ないよ。キミにとってこの世界は前にいた世界とは全く違うし、知り合いもいない。キミにとって乙女ゲームのモデルになった世界とは言え、未知の世界には変わりないからね』

   プモッ!

『だから、少しでもキミの不安を取り除くために僕がこうして来たんだよ』

プギュッ。

『人型ではないとは言え、これでも助言くらいは出来るし。それにキミも… 一人より僕が居たほうが寂しさも紛れるでしょ?』

バクが頭に直接語りかけてくる… これはいわゆる念話というものでしょうか?しかし、それにしても、その念話で語りかけてくる度にバクから『プギュッ!』とか『プギュゥウ!』とか『プモッ』とか聞こえるんですが、なんですか!?バクは僕を悶え死にさせる気なんですか///!?

可愛いくって仕方がなくて…

自分が今まで泣いていたのも忘れて思わず思いっきりバクを抱きしめてしまいました。

  プギュゥウッ!!

途端、バクから非難の声が上がりましたが、構わず、ギューっと抱きしめる…

程なくして、バクは諦めたのか、僕の腕の中で静かになっていました。
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